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推し活女子大生が王国を救うまで現代に帰れません!  作者: 夢野少尉
第三章 【現代編】推し活女子大生が王国を救ったので現代に帰りました!
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39.現代のアクア王子

 木曜日、友香は大学の食堂で友達三人とランチを食べながら、近況を報告し合っていた。

 もちろん話題は、最近彼氏ができた友香の話が中心だ。


「鼻血出しちゃったの? 彼氏の前で? それでもまだ幻滅されないの? 本物じゃん!」

「まだ彼氏じゃないよ」

「でも、もう告白されてないだけで、付き合ってるみたいなものだよ、位置情報も共有してるんでしょ?」

「心配なんだって」

「もう保護者だよ……」

「いいなぁ、私も優しい彼氏ほしい〜」


 友香は彼女たちが楽しそうに恋愛論を語り合っている中、いろいろ考えを巡らせていた。


 ーー 優しいのは間違いない。遺伝とかじゃなくて、もうずっと何度生まれ変わっても、あの人は優しい魂を持ってるんだろうな。絶対モテたじゃない、全老若男女に。数百年ずっと。


 そして、友香はまだハル皇子を検索できずにいた。


 ーー 今、光輝さんがいなくなったら、私はどうなるんだろう。異世界の時は自分の体がないし、疾風(はやて)君に会いたかったから必死に現代に戻ってきたけど。こんなに光輝さんに優しくされても、まだ不安だなんて。 恋愛ってしんどいな。



 ※ ※ ※


 橘光輝が所属する芸能事務所の応接室の机の上には、タブレットがおかれ、野岸友香が自宅マンションから出る姿や横顔の画像が映し出されていた。


「何故こんな女に光輝さんが熱をあげてるの? その辺にいる大学一年のバイト生でしょ? 『REDWIND(レッドウィンド)』のライブで見かけて、光輝さんの方が一目惚れとか絶対嘘じゃない!」


 江口美聡はソファに腰掛け、タブレットを操作しイライラしすてながら吐き捨てる。

 そこには、美聡の男性秘書が彼女の側に控えていた。


「しかし、橘プロデューサーはかなり彼女に執着していると噂です。今はとてもプライベートを大事にされていて、人間が変わったようだと。」

「……私が二年前からずっと光輝さんに告白し続けても、毎回断られ続けてきたのに。『出会うべき人がいる』とか訳の分からないことを言われて。それがこの女だって言うの?」

「さあ、そこまでは……」


 秘書も困ってしまって言葉が続かない。


「こうなったら、彼女の方から離れてもらうわ。光輝さんは絶対折れてくれないから」

「どうされるのですか?」

「……疾風(はやて)に協力してもらうのよ」





 ※ ※ ※


 光輝の誕生日前日。友香は大学からバイト先に向かう電車に乗っていた。スマホが震えてラインの通知を知らせる。

 光輝からだ。

『何してるの?』のスタンプの後、明日のスケジュールをたずねる内容だった。

『14時までシフト入ってますが、後は空けてます』と入力して送る。

『僕は16時まで仕事入ってます その後会いましょう 事務所隣のビル一階のカフェで待ってて下さい』


(いよいよ明日だ!)


 友香はスタンプで『OKです』と返信して、光輝へのプレゼントが入った紙袋を握りしめる。


 ーー今の私が買えるプレゼントだもの。社会人の男性に渡すプレゼントとか選択肢があまりないし。


 プレゼントは、タブレットが入るパソコンケース。


(なんて言うかなぁ、緊張する)


 その日、友香は疾風(はやて)のぬいぐるみと光輝へのプレゼントを枕元に置いて、いつもより早く眠りについた。





 ※ ※ ※


 バイトが終わり、友香はプレゼントを大切そうに抱えてファミレスを出る。


 ーーいよいよ! 私の心臓が試される時!


 あいかわらず戦いを挑むような決意をして、友香は駅に向かおうとした。


「友香さん、こんにちは!」


 誰かに路駐している車から声をかけられる。


 ーーこの声は……まさかっっ!!


 その人物は口に人差し指を立てて、しぃーっ静かに、とシグナルを送る。

 マスクにサングラスまでしてるが、紛れもなく『REDWIND(レッドウィンド)』の『疾風(はやて)』だ!

 あまりの衝撃的な場面に友香は全ての動きを止める。


「悪いんだけど乗ってくれる? 会社近くまで行くんでしょ?」

「は、はい……」


 ーーえ? これは乗っていいの?


 スマホの通知音の振動があり確認すると、光輝からラインが送られてきていた。

『店を出たら、疾風(はやて)を乗せた車に乗ってくれる?』

 友香はとりあえず光輝が許可を出した車なら……とドアを開けて乗車する。

 すると、スーツ姿の運転手の男性から、こんにちは野岸様、と声をかけられる。

 友香は思わず、こんにちは、と挨拶を返した。

 それよりも……


「野岸友香さん、ごめんね! 突然!」


 この心臓破りのアイドルの天才が、車で隣に座っているという事実。


「また鼻血出さないでね、大丈夫?」

「た、大丈夫ですが……これは一体?」


 戸惑いの中、車は〇〇エンタを目指して走り出した。

 動揺する友香の横顔をのぞきこみながら、疾風(はやて)は問いかけた。


「友香さん、僕に会ったことない? 橘さんは否定するんだけど……」


 友香は凍りついた。

 彼女は疾風(はやて)にはもちろん個人的には会ったことはない。激似の異世界王子様ならあるが。


「ないです。握手会も当たったことないので」

「そう……なんか友香さんの手にキスした途端、倒れられたような場面が浮かんでさー」


 ーー まさか……というか、やっぱり?!

 疾風(はやて)君は、アクア王子だったの?!




 

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