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推し活女子大生が王国を救うまで現代に帰れません!  作者: 夢野少尉
第二章 【異世界編】ココロとスマホだけ異世界へ
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27.ハル皇子を犠牲にしてでも

 婚約パーティーは、そのまま各国の参列者が順番に祝辞を述べるプログラムに入った。

 オークテリシア大帝国は大国なので一番最後に組み込まれている。


 そんな中、リリーシャの中で友香は一人震えていた。


(何故……?  ビチリア宰相は捕らわれて、事情聴取を受けている。何故私はまだリリーシャさんの中にいるの? リアンナ王国の未来は、まだ変わらないの? )


 そして、いよいよオークテリシア大帝国のナリア伯爵がリアンナ王の前で跪き祝辞を述べる。


「この度は、『リアンナ王国の希望』と名高いアクア王子とリリーシャ嬢のご婚約おめでとうございます」


 リアンナ王は遠慮がちにナリア伯爵に発言する。


「いや……先ほどはあまりにも複雑な状況で取り乱してしまった。ただ、いくらビチリアに脅迫されたとはいえ、我が国の罪人を保護されているのは……」


「ごもっともです。ただ、我々も人命と人権を最優先しての処置でしたので。帰国したら、今回のことは皇帝陛下に報告いたします。とにもかくにもビチリア宰相の罪が明るみになったので良いではありませんか」


 ナリア伯爵は、堂々と隣国の王陛下と渡り合っている。

 やはり、いくら国王といえども相手が大国だと理不尽な扱いを受けようが手も足も出なかった。





 ※ ※ ※


 婚約パーティーも後少しで幕が下りる。

 友香はこの世界に取り残される恐怖を感じていた。


『リリーシャさん……私、私は……帰れないの? ずっとあなたの中でこうやって生きていくの?』


 涙声で友香がリリーシャに話しかけてくる。


『友香様……』


 リリーシャは、パーティーで貴族達と歓談していても、友香の心情を思いやった。そして、思考する。


 ーーどうして? 何故未来が変わらないの? アクアはこのまま学べばきっと良い帝王に成長しますわ。ビチリアは断罪され姿を消すでしょう。何? ……何が足りないというの? 


 リリーシャは、リアンナ王国に足りないものは圧倒的な国力かもしれないと考えた。大国とも渡り合える力。


 ーー友香様にはできるだけのことはしていただいた。アクアも変わりました。ビチリアはいなくなる。私は? 私だけが何もしていないんじゃ……


 リリーシャは決心した。


 ーービチリアを追いやっても、リアンナ国の未来が変わらないなら……私が密かに計画していた作戦を決行するしかない! 友香様、アクア王子、リアンナ王国のため……ハル皇子には犠牲になってもらうしかない! 


 リリーシャは、作戦の決行を、最後のプログラムであるアクアとリリーシャ二人からの挨拶に照準を合わせた。




 ※ ※ ※

 一週間前、友香は簡単に元の世界へ帰れると思い込んでいた。

 リアンナ王国の滅亡の原因であるビチリア宰相がいなくなれば、きっと王国は存続する。

 しかし、現実は甘くはなかった。

 他にも要因があって、王国は滅んだのだ。


 ーーなんだろう……?


 もう答えがわからず、友香は絶望の縁にいた。


『友香様、気落ちなさらず。次は、私が勇気を出してみます。』

『リリーシャさん……?』

『……友香様、今までありがとう。もし、次に出会えたら、友達として会いましょうね』


 リリーシャはそう友香に語りかけて、アクア王子と一緒にホールの上段にあがっていった。





 ※ ※ ※


「皆、この度のパーティーは少し波乱もあったが、こうして無事に終われることを嬉しく思う。リリーシャ嬢との成婚式は、私たちが成人する2年後すぐにとり行う予定である。リアンナ王国がこの先も繁栄するよう協力して欲しい。今日は足を運んでくれて感謝する」


 アクア王子は次世代の王として、14歳ではあるが威厳ある落ち着いた声で最後の挨拶を述べた。


 次はリリーシャ嬢の挨拶があるだろうと、皆が耳をすましていたその時ーー



「オークテリシア大帝国イリアン子爵……いえ、ハル第二皇子!」


 イリアン子爵(ハル皇子)は、リリーシャが突然自分の素性を明かしたことに驚愕し、目を見開いた。


「イリアン子爵はハル皇子です、皆様。まさに『オークテリシア大帝国の頭脳』と異名をもつ御方です」


 会場にいる全員が、イリアン子爵、いやハル皇子に視線を集中させた。

 オークテリシア大帝国ナリア伯爵他一同が、あまりにも突然の出来事に動揺する。


「な、何をおっしゃいます、リリーシャ嬢! 彼は私の護衛として連れてきたイリアン子爵です!」


 ナリア伯爵はリリーシャ嬢を見上げ、動揺しながらも返答する。


「イ、イリアン子爵がハル皇子……?」


 アクア王子も、彼の素性に絶句した。


(僕は……僕はラランカの件で、ハル皇子に剣を向けたというのか……? )


 自分の無礼な行いが、まさに国家間の関係を揺るがすかもしれないと、アクア王子は今更ながらに後悔した。


「も、申し訳ありません! ハル皇子! 先日の私の無礼をお許し下さい!」


 アクア王子は、突然立ち上がって謝罪した。


 ハル皇子は、この事態をどう処理したら良いか即座に答えを出さなくてはならなくなった。


(リリーシャ嬢はどうしたのだ……? 彼女も追い詰められて『賭け』に出たように見える。まさか、別世界の人がまだ彼女の中に存在したままなのか……? ということは、まだこの国は破滅する未来が待っているのか? )


 昨夜、ハル皇子はこういう事態を想定し、部下には予防線も張っている。彼の中ではどう対処するか結論も出しているので、リリーシャ嬢のこの大一番(おおいちばん)に付き合うことにした。






 

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