表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推し活女子大生が王国を救うまで現代に帰れません!  作者: 夢野少尉
第二章 【異世界編】ココロとスマホだけ異世界へ
21/45

21.最大のモテ期は異世界で

 一瞬、その質問をした後、二人の間に沈黙が流れた。

 ハル皇子はあっけに取られて、言葉を失っているように見えた。


「へぇ……僕の過去の人生を知ってるんですか? スマホとやらで調べることが可能でしたよね?」

「は、はい、すみません! 勝手に……ごめんなさい」

「ふふ……僕のことに関心を持ってくれて嬉しいです」

「……怒らないのですか?」

「なぜ? 僕に興味があったから、調べてくれたのでしょう? しかも、君は再婚相手への感情まで気になるようですね。妬いてくれたと、少しうぬぼれていいですか?」


 ーー何、この人……自分のこと、こそこそと検索したこととか、まるで気にしてない。むしろ喜んでる。おかしくない? 


 調子が狂う発言に、彼女はとまどって体温が上昇する。


「……そうですね、意地悪しないで質問に答えましょうか。正直、彼女には『情』はありました。『家族』ですから。しかし、『愛』ではありませんね」


「好きではなかったんですか?」


「彼女は自分自身を壊すほどアクア王を愛してた。僕のことは33年間『アクア』と呼んでいました。彼女にとっては、再婚生活は、ただ寝て食べて起きるだけの毎日でした。生気のない人形のようでしたね。」


「そんな……」


「もうこの世にいない人を愛し続ける彼女を、僕はただ見守るだけでした。そんな存在でした。だから、今、生き生きしている14歳のリリーシャは眩しいくらいです。彼女は幸せにならなくては」


「そうですね。リアンナ王国を守ることが、リリーシャさんの心を守ることに繋がります」


 その時、ハル皇子の表情が一瞬曇る。


「しかし、もし明日歴史が変われば、あなたは元の世界に戻れるかもしれません。いや、戻れるでしょう。」


 友香は、そこでこの体とも離れられることを実感した。


 ーー そうだ、明日全ての作戦がうまくいけば、私は帰れるかもしれない


「はい。明日帰れると良いのですが……」


 彼女は彼をまっすぐ見つめて答えた。


「……自分の世界に帰りたいですか?」


 イリアン子爵(ハル皇子)は真剣な眼差しでリリーシャ(友香)にたずねる。

 彼女は、とたんに鼓動が高鳴り視線をそらす。


「そ、そりゃあ……家族、友達……生活の全てがあっちにあるので」

疾風(はやて)君もですよね?」


 友香は疾風(はやて)の存在を、彼に詳しく説明したか記憶になかった。

「アイドル」の質問で名前を出したくらいで……。

 不思議そうな目でハル皇子を見つめ返す。


「ふふ……様々な場面でその名前が出てきていましたよ。大切な人ですか?」

「は、はい……私の『最推し』です」

「サイオシ?」

「一番応援している人です」

「恋人?」


 ーーう~ん……この世界の人に「推し」という概念をどうやって説明できようか……


「とりあえず『恋人』ではありません」


 悲しいかな『恋人』ではない。

 感情的には近いものがあるけど、今まで『恋人』がいない友香には比較のしようがなかった。


「良かった。じゃあ、私があなたの世界に行ったら、恋人候補にして下さいね」


 友香は、どきっと心臓が波打った。

 自分史上、最大のモテ期が異世界だなんて。


「は、はい。……逢えたら」


「絶対、僕は君を見つけ出します。覚悟していて下さいね」


 イリアン子爵(ハル皇子)は強い口調で、微笑みながらリリーシャ(友香)に断言した。




 ※ ※ ※


 午後からリリーシャ(友香)は、婚約パーティーの最終リハーサルに臨むべく帰城していた。

 数日ぶりに婚約者アクア王子に会う。

 またもやリリーシャ本人はアクア王子と接しようとせず、深層奥深くに意識を沈めていた。

 友香は、疾風(はやて)そっくりのアクア王子と近い距離で話もできてファン冥利につきるが、自分がいなくなった後、リリーシャはどうするのか心配になった。


「リリーシャ嬢、久しぶり。同じ城にいても全然会えないね」


 アクア王子は無邪気にリリーシャ(友香)の手を取って、明るい笑顔で話しかけてくる。


(疾風(はやて)……いやいや、アクア君、数日前の印象と全然違う。かわいい。普通にかわいい。 これは疾風(はやて)君にますます近づいている )


 ドクドクと胸が高鳴ってしまう。

 いや、でもこれは私へ笑顔を向けているわけじゃない。

 リリーシャだ。

 好きな人を前に嬉しさを爆発させている14歳の男の子の表情だ。

 そう思うと、友香は罪悪感を覚えた。


「リリーシャ、こっち向いて」


 彼女はアクア王子に向き直る。

 すると、彼は自分の顔の横で「指ハート」を作ってみせた。


「どう? すぐできるようになったよ!」


 少年のような彼の笑顔に彼女はとまどった。


 ーーいや、かわいいし愛しいし尊い。それは間違いない。しかし、この人はアクア君、アクア王子なんだ


 二人は婚約パーティーのリハーサルをこなした。

 その後、アクア王子の歌唱リハーサルも行う予定だ。


「リリーシャは明日の本番楽しみにしてて。また明日ね」


 アクア王子は、水を持ってきてくれたメイドやホールを飾り付ける使用人にまで、感謝の言葉かけたり、労いの言葉をかけてた。

 人間が変わったようだった。

 彼に何があったか知らないが、友香はこれならリリーシャ本人が彼と対面しても、きっと上手くいくだろう。


 二人はこんなにお互いを愛し合っているのだから。




 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ