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第二十五章 始動


達成後、依頼主から受注証にサインをもらい、評価も「A」と高く付けてもらえた。評価は必ずしも書く必要はなく、依頼主の任意だと聞いていたが、初めての依頼で高評価をもらえたのは幸運だった。


ギルドへ戻り、サイン付きの受注証を見せて正式に達成報告となる。報酬は魔獣十匹で銀貨二枚。私とコリンが二人で受けたので合計四枚。だが、実際は四十二匹を仕留め、規定以上の数ということで追加分もあり、銀貨六枚。そして魔獣の核が計り売りとなり、二人で合計十二枚の銀貨を得るという、初めてにしては非常に実入りの良い依頼となった。


ギルドからも「初依頼達成」と「評価A」を褒められ、さらに受付嬢は小声で言った。

「街の食料問題にも関わるから、出来れば同じ依頼を…」


私は少し考え込み、コリンと目を合わせて軽く頷いた。

「問題なければ受けますが、あまり期待はしないで下さい」

「解りました。期待はせずお待ちしてますね」


調子の良い受付――愛想の良い猫の獣人女性とのやり取りを思い出し、コリンと小さく笑い合いながら宿へ戻った。



---


夕食までには時間があり、昼食も取っていなかったため、途中の屋台で軽く腹を満たしてから宿に入った。

そこへ程なくしてヴァイスがやって来た。


「どうだった?」

「二人で銀貨十二枚でした」

「いい依頼があったな! そんなに稼げるのはなかなかない」


Gランクでは破格の報酬だと、初の任務達成を大袈裟に褒めてくれた。


「そこでなんですが、同じ依頼を頼まれました。私達はその依頼が終わるまで残ろうと思います」

「いいぞ、なんならEまで上げてこい」


そして「次は一週間前後に戻る」と言い、暗くなる前にヴァイスは街を出て行った。



---


それからチラスの駆除が終わるまで、私とコリンは毎日農場へ通った。農場でも働く者や街の者も罠を設置したりと、私たちの成果以外の努力もあり、駆除が無事完了した頃にはFへ昇格。


ヴァイスには、私たちはここでEを目指したいと気持ちを伝えた結果、問題は何もないと言われ、滞在を伸ばすことになった。


報酬の良い魔法を使う依頼を中心にいくつかこなし、農場主からの高評価も加わって数回でEランクに昇格した。


目標ランクに届いた日、次に依頼を受ける目安を受付に尋ねると、

「半年以内にF依頼を混ぜて二十件程度こなせば十分」


目安として確認の為に露骨に尋ねてしまったが、受付嬢は笑いながら答えてくれた。

「まあ早い方だ」

「街の暮らしにも慣れました。良い経験でした」


思っていたよりも早かった街の暮らしを楽しんだのなら更に良い。そう満足そうにヴァイスは頷いた。


飛び立つようにイリスに合図を出し、私達は再び宛のない空の旅へ戻ることになった。



---


私はチラスと呼ばれる小さな魔獣達の討伐を経て、細かい魔力操作が出来るようになった。


背に乗る三人を包むように、風の抵抗を遮断する障壁を展開した。イリスが違和感を覚えぬ程度に抑え、目を開いたまま会話も可能な環境を作り出す。


「ワイバーン便みてぇだな」

乗ったことはあるのかと聞けば「無い」と大笑いするヴァイス。コリンも私も呆れたが、だんだんとおかしくなり、イリスの背の上で皆で大笑いした。


ふと、視界に映る上空から眺める街。高い上空から見ると小さく、滞在した街が意外に大きくはなかったことを知った。


「半月でとりあえず俺もイリスと探索したんだが、イリスが好む森はあっても代わり映えしない所ばっかでな」


その日の夜、皆で焚き火を囲み、ヴァイスが探索の成果を語った。以前の拠点と変わらぬ風景はあっても、面白みがないという。


「俺も国はいくつか超えた経験はあるが…これ見てくれ」

「これは…?」


地図は存在しないと思っていたが、ヴァイスが冒険者時代に自作したもので、訪れた場所を記録していたと言った。


「この地図で言うと今はここだ。この範囲は特に目新しいものはない」

「ヴァイスさんは、この地図にはない所へ?」

「そうだ。折角なら行ったことの無い面白い国…俺はあると思っている」


依頼をこなす便利屋的な冒険者よりも、未知の地を切り開く。ヴァイスの考え方が本来の冒険者らしい姿だと感じた。私とコリンも賛成し、ヴァイスの求める面白いが見つかる未開の地へ向かうことになった。


「ここら辺も…あんまりだな」


それからも魔物を狩り資金を稼ぎつつ、私とコリンは定期的に冒険者の依頼を受け、地図を広げていった。


だが、初めて訪れた国であっても、これまでと似通っていて目立った違いはなかった。


「私達もギルドで近隣国について尋ねましたが、この先も同じような国だと聞きました」

「こことここはじゃあ、×と」


ヴァイスに任された街での情報収集。手分けして集めた結果、地図に進まない方向だけが増えていった。




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