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第十九章 来訪


「お前らは、久しぶりの街だな」

「そうですね。当時のことはあまり覚えていなくて……」

「……そうか。先に身分証を作りに行くか」


石畳に陽が差し込み、街の喧噪が肌に響く。大通りだけでなく路地の奥からも人の声がかすかに聞こえ、風に揺れる旗が街を縫うようにひらめいていた。


上空からの視界では、街の隅々まで見渡せ、小路や軒先の細かな動きも一望できた。


コリンは覚えがあるだろうが、気になりコリンの顔を窺うと、人が多く住む街であっても様子が違うためか特に感慨は無さそうだ。ただ、人の多さに気圧されているのは表情の硬さから伝わった。


目の前にあるのは冒険者ギルド。建物は無骨でありながらも、そこに漂う空気はヴァイスに聞いた通りの「冒険者らしい」と思わせる趣があった。


壁の石には苔が少し生え、年季を感じさせる一方で、入り口の扉周辺は手入れが行き届いていた。大きな扉は外され、出入りする人々は種族も様々だ。人やエルフに加えて獣の特徴をもつ獣人、背丈の低いドワーフの姿があり、さらに異種族間の混血種もごく稀ながら存在すると聞いてはいたが事実のようだ。


「今日は登録だけだ、素材を卸す、必要な物を買う時間がねえからな」

「はい」


コリンも冒険者を選んだ。選択肢は薬師と二つと言われた彼は回復魔法師の道は選ばず私と同じように冒険者を選択した。


「詳しい説明はどうしますか?」

「何か規則は変わったか?」

「いいえ、昔と何も変わってません」


登録を終えると、ヴァイスと受付に座る獣人の女性とのやり取りが続く。かつて冒険者であった彼がその経験をもって説明を引き受けるようで、説明に時間を割くのさえ惜しむように、私たちはそのままギルドを後にした。


街中では子どもたちが追いかけっこをして笑い声を上げ、通行人は各々の用事に追われて足早に通り過ぎる。街で生活している人達を見て、この街は悪くは無いと感じた。


「造りが違いますね」

「あっちは素材を持ち込む所で、こっちはそれを商人に卸す所だから来訪者が違う」


その言葉通り、冒険者ギルドと商業ギルドは一目瞭然だった。ギルド内へ入る扉の前には揃いの服を着た警備の者たちが立ち、出入りする人々を鋭い目で監視していた。


その視線を横に流しながら中へ足を踏み入れる。中は香辛料や果物の匂いが漂っていた。色鮮やかな布や革製品が並べられ、買い付けに来た商人の目を引いていた。


「何も加工してない素材はあっちだ」


受付は用途によって分かれており、案内役が人々を振り分けている。文字は掲示されていないが、職員が慣れた手つきで人を誘導している姿が見えた。建物内には幾つもの照明があり柔らかな光が、棚に置かれた小物や書類を淡く照らしていた。


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