第十四章 克服
それから、魔物素材を仕入れる遠征に出るヴァイスに、毎回同行することになった。
魔物の領域で狩りを行うのが日常となり、その経験を経て、私とコリンはこの生活で大きく成長した。
コリンは、慣れないうちは目を見開き、体を硬直させることもあった。
しかし今では、微かな風の流れや魔物の気配に合わせ、自然に身をかわすことができる。
以前なら魔物と言うだけでためらった小型魔物も、今では必要最低限の力で狩ることができる。
恐怖に耐えるだけではなく、魔物の行動を理解し、制御し、克服していることが伝わってくる。
震えていた目は、今では冷静に獲物を見据え、次の動きを予測しているのが分かる。
手にした得意の弓の構えも安定し、魔法を伴わせた攻撃が確実に目標を捉えるようになっていた。
コリンは使える属性こそ増えていないが、ヴァイス本人が「俺を超えている」と認めるほどの実力を身に付けた。
弓と魔法を同時に放つ姿は、魔物の領域である死が隣り合わせの深い森でさえ、一瞬ここが危険な領域なのも忘れるくらい、静かに佇む彼の姿が幻想的で美しい一枚の絵画のようだ。
回復魔法はさらに効果を高めていた。
私が鑑定した薬効に違いのある薬草をいくつか彼に渡すと、彼は慎重に選び、火加減を見ながら煎じる。
煮立つ香りに混ざる木や草の香りが、彼の手際の良さと集中力を物語っていた。
それらを配合して煎じるだけで、さらに効果の高い薬に仕上がる。
コリンは、自分が煎じた薬も売れないかと尋ねたが、ヴァイスは「今は売れない」と簡潔に述べた。
私もコリンも深く追及しなかった。
私は、様々な魔法の開発に勤しんでいる。
日常の暮らしで解放されたのは、水汲み、火起こし、灯りなど。
他にも、汚れを分解する魔法で水浴びせずとも清潔を保てるなど、日常にも遠征にも役立てている。
ヴァイスは私たちの成長をそれぞれ称賛したが、私には「便利じゃねぇか」と一言付け加え笑う。
イリスもそのやり取りを面白がっていた。
(便利な方が良いじゃないですか)
ヴァイスが笑い、コリンも微笑み、イリスが静かに見守る。
その輪の中にいるだけで、自然と笑みがこぼれる。
便利さや成長の喜びだけでなく、皆が安全で共にいられることが、何よりも胸に染み入る。
「便利じゃねぇか」――私にとって、それは単なる褒め言葉以上の意味を持っていた。




