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第十三章 逆転


初めて狩った魔物、ホーンラビット。ヴァイスは手本を示し、価値のあるものと無いものを仕分けていく。魔物の核、魔核は魔物なら必ず体内に存在し、その位置は種類によって異なる。


ホーンラビットの肉は高値で取引される。ヴァイスは初めて狩った記念として、帰宅後の台所で調理した。夜営では火で炙るだけだが、ここで丁寧に調理するのは、何も言わずともヴァイスの不器用な優しさを示す行為であり、胸が熱くなる。串に刺した豪快な肉、野菜と炒めた一皿、肉入りスープまで、塩で味を整えた男の料理だ。


「すごく、美味しい…」

「美味しい」

「だろ? 魔物は旨いんだ」


普段食べている兎肉とは比べ物にならない美味しさだった。魔物の体格は個体差はあるが、仕留めたホーンラビットでさえ猪ほどの大きさであり、持ち帰れない素材もある。味を整えればさらに美味しくなるだろうと、未来の調理を想像する。


美味しい食卓では会話も弾む。その夜は灯りがいつまでも三人を照らしていた。


翌日、ヴァイスは昨日の獲物を卸しに出かけた。加工は職人が行うため、魔物素材は悪くなる前に売る、その分手間がかからないというのが利点だという。


高く飛び立つイリスを眺めながら、昨日の狩りを思い出していた。コリンの身の危険で曖昧だったが、二匹目のホーンラビットで確信した。私はあの時、体内の魔力を使わなかったのだ。二匹目で意識し、現象を起こした。


魔力は体内にあるエネルギー。この世の理そのものである。魔法も魔力も、美しくはない理論だが、味もなく、咀嚼できず喉に詰まる。しかし、魔力はこの世の常識であるなら、大気中にも存在すると仮定できる。私はその大気中の魔力を利用し、私の知識と掛け合わせた氷と風をその場で発生させて実証してみせた。


(魔法…あなたの負けです。次はあなたが私に屈する時代。)


「となると、いろいろ出来そうですね」

「ネアムー、早く行くよ!」

「はい、直ぐに」


道具を使わずとも現象を起こせる。そう思うと心が弾む、この世の魔力は可能性の塊だ。


重い荷物を背負い、いつもの狩り場へコリンと向かう。ホーンラビットの肉はまだ残っているが、便利な店もなく、未来のことは分からない。この世では常に蓄えておく必要がある。


(そういえば、あれは魔法ですかね?)

当時の記憶も曖昧で、幻として処理していた現象がある。もし魔力の可能性が無限なら、あの光景も理論で説明がつく。


(あの時は、食べられるのか?と考えましたね)

目の前の名もなき花に、大気中の魔力を纏わせてみた。


■■■■■

・ゴゲン

・マメ科

・不味い

■■■■■


(そうでしたか。私はとっくの昔に魔法が使えていたのですね。)

この身体の少年が持っていた才能だろう。私はこれまで魔法の名前を現象で呼んでいた。しかし、この私を助けた少年の情報と才能を知る。


「ありきたりですが…鑑定と名付けましょう」


理由は未だ分からない。少年の意識は今、何をどうしているのかも。



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