表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

126/134

第百二十一話 最上さんはM……?

 バニーガールの衣装がかけられたハンガーラックの前で、最上さんはぽかんと口を開けていた。


「ほぇー……こんなに種類があるんだね」


「大きな差異があるわけじゃないが、色や形状で雰囲気が変わりそうだな」


 ベーシックなのは黒のレオタードタイプだろう。バニーガールといえば、多くの人がこれをイメージすると思う。

 ただ、白や赤もあるし、ネオンピンクなんてもう夜のお店の感じが色濃く出ていた。


 これは少し、最上さんには似合わなさそうだな。

 まだ彼女は女子高生。あどけなさも残るので、大人っぽい色香が突出しているわけではない。セクシーに極振りするよりも、かわいさにも少しポイントを振ってあげた方が、より魅力が増すだろう。


「うさぎちゃん、こんなに用意するのは大変だったんじゃない?」


「おほほ。風子さんのためなら、まったく苦ではありませんでしたわ」


「……これ、レンタルとかではないよな? まさか、全部買ったのか」


「わたくしのポケットマネーですのよ。資金は綺麗ですから、ご安心なさって」


 まるで汚い資金があるかのような言い方はやめてほしい。家業も明言してくれないし、色々と勘ぐってしまうから。

 その点について触れると後で消される可能性もあるので、スルーすることにして。


「サイズは大丈夫なのか?」


「庶民。わたくしを舐めないでくださらない?」


「三日前くらいかな? 学校で測ってもらったよ」


「ほう。で、サイズは?」


「Gカッ――」


「ああー! い、言わないでっ……恥ずかしいから!」


 もう遅い。なるほど、グレイトなカップで何よりだ。

 高校二年生でこれか……まだまだ成長しているらしいので、今後が楽しみである。


「Gカップさん……間違えた。最上さんは、どれが好きなんだ?」


「そんな間違え方はしないよっ。もう、からかってるでしょ?」


「……あれ? なんかニヤニヤしてないか?」


「そ、そそそそんなわけないよ! わたしは別に、そんな……からかわれて喜んだりしてないもん。ただ、ちょっとだけ、からかわれるのは、嫌いじゃないって思ったけど」


 最上さんはあれだな。

 気質でいうとややMか。そういえば、たしかにこの子は迫られるとすぐに受け入れる。しかも嫌々とかではなく、意外とノリノリだ。そういうタイプなのかもしれない。


 よし。じゃあ、遠慮する必要はないな!


「最上さんは何を選ぶ? 俺は網タイツさえ履いてくれるなら、上はどれでもいいぞ。このネオンピンクとか蛍光色以外で、あとはできれば黒がいいな。耳は少し大きめにしてくれ」


「庶民。どれでもって言いながら、指定が多いですわよ。正直になるべきですのよ……これがいい、と!」


 クールぶっている尾瀬さんだが、実は一番ヤバいものを選んでいた。

 彼女が選んだ衣装は、布の面積だけで考えると他のものと相違ない。


 ただ、布のある位置が逆なのだ。

 そう。彼女が持っていたのは……逆バニーだった。


「うさぎちゃん!? それは布の配置が逆のやつだよっ」


「逆バニーはさすがの俺でも引くぞ」


「……お、おほほ。冗談ですわ」


 目がマジだったが。

 尾瀬さん、実は俺よりもこのイベントを楽しみにしている節があるよなぁ。

 最上さんに心をすっかり奪われているのか、彼女の目線は常に熱い。俺に対しては冷めているのに、最上さんにはやけに熱っぽいのだ。


 おかげで、こうやって無理な企画が実現しようとしている。

 彼女の熱量に感謝だ。


「じゃ、じゃあ、とりあえず普通そうなもので」


 とか言いながら、俺の選んだものを全て手に取る最上さん。

 黒のレオタードタイプで、網タイツと、大きめの耳……この時点でもう最高だった。


 ただ、楽しみは一度で終わるわけがない。


「じゃあ、二着目はどうする?」


「え? 一着だけじゃないの!?」


 せっかく用意してもらったのだ。いくつも着てもらう所存だ。

 尾瀬さんも、当然そのつもりだったのだろう。


「全部、お願いしてもよろしくて?」


「おい。逆バニーはいいかげんに諦めろ。それはレーティングとゾーニングに抵触する」


「さ、さすがにこれは……っ~!」


 自分が着ているところを想像したのだろう。

 最上さんは途端に顔を真っ赤にして、そっと逆バニーの衣装から目をそらした。


 これはさすがにアウトだな。

 精神的には大人の俺でも、直視できないかもしれない――。


お読みくださりありがとうございます!

もしよければ、ブックマークや評価をいただけると更新のモチベーションになります!

これからも執筆がんばります。どうぞよろしくお願いしますm(__)m


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ