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第41話 学校⑦

 私はさっちゃんを起こさないように、外に出た。

 走って、ラビーちゃんの部屋を目指す。


 ごめん、ラビーちゃん。そう心の中で呟き続ける。

 こんなクズみたいな私でごめんなさい。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。


 …………。


 気づくと、ラビーちゃんの部屋に前だった。

 扉に手をかけるが、開ける勇気がない。

 怖い。

 まず空いているのだろうか。

 そうやって逃げるような自分が嫌い。

 もう何も考えず、力を入れた。


 空いてない。

 なんだか少しホッとした自分がいる。


 小さくため息をついて、戸をノックする。

 ノックする。

 ノックする。

 ノックする。


 ノックす……。

 空いた。


「なんですか?」


 中からラビーちゃんが出てきた。

 目は赤くて、隈が。


「ラビーちゃん」


 私がつぶやくと、彼女は驚いたような顔をして、すぐに私の手を引いて部屋に連れ込む。


 私はベッドに投げ飛ばされて、抱きしめられる。


「今までずっと……なんで……。」


 私は何も言えない。

 抱きしめ返せない。


「何か言ってよ。抱きしめ返してよ」


 私は言われて抱きしめた。

 すごくあったかい。

 いい匂い。

 でもこんなに髪がパサついていったっけ。

 ラビーちゃんは私を抱きしめる力を強くした。


「ねえ、さっちゃんとそういうことしたって噂。本当?」


 私は胸がザワザワしつつ頷く。


「やっぱ本当なんだ。マリマロが教えてくれたんだ。もう関わんない方がいいかもって。一緒にいると自分たちも悪く言われるよって、かわいそうだけどって」


 私は黙ったまま。


「ねえ、なんで来たの?」


 私は彼女を強く抱きしめてしまった。

 うっ、という声がラビーちゃんから漏れる。


「ねえラビーちゃん。助けて……。」


 なんと言われるか。

 内心ドキドキしつつ返事を待つ。

 は?何?都合良すぎない?とか言われることは覚悟していた。

 もしかしたらめちゃくちゃ怒られて、関係が破綻することも考えていた。

 でもラビーちゃんは私の想像とは違った。


「何があったの?」


 彼女に言われて「え?」と声が漏れた。

 今までずっとほったらかしにしてて、こっちからラビーちゃんの方へ行こうともせず、最後に交わした言葉は、ラビーちゃんの誘いを断るもの。

 それにラビーちゃんも私に今までのように触れ合ってくれなくなっていたから、もう愛想尽かされたのかと思っていた。


 私はゆっくりと今までのことを言葉にしていく。

 ラビーちゃんは疑うこともせず親身になって話を聞いてくれた。

 眼差しが優しすぎて浄化されそう。


 一通り話すとラビーちゃんは微笑んだ。


「もっと早く相談してくれたらよかったのに」


 その微笑みに私はドキドキした。してしまった。

 顔赤くなっていないかな大丈夫かな。

 あ、そういえば朝起きてすぐここに来たから髪もボサボサだろうし、口の匂いとか大丈夫かな。


 気づけば、安心からか、それとも別の理由からか、どうでもいいことを考えるようになっていた。


 ラビーちゃんは私の目をみて言う。


「私ルキちゃんに嫌われちゃったのかと思ってて、これ以上嫌われないためにできるだけルキちゃんのとこ行かないようにしていたんだけど、別にルキちゃんはラビーのこと嫌いじゃないってことだよね?前みたいにルキちゃんにいきなり抱きついてもいいってことだよね?」


 私は頷いた。


「いいよ。むしろ抱きついてきて欲しい。でもラビちゃんはずっと離れてた私を許してくれるの?」


 ラビーちゃんはもちろんと頷く。


「だってルキちゃんはわざと私を突き放すような態度をとったわけじゃないんでしょ。」


 私は頷く。

 嬉しそうなラビーちゃん。嬉しい私。

 クソでカスみたいな私だけど、ラビーちゃんは天使のような優しさで私を許してくれた。


「あ、でもやっぱり許さない。もう私を寂しくさせないって約束してくれるなら許してもいいよ」


 私はうんと頷き、人形を抱きしめるみたいにラビーちゃんを抱きしめた。


 気づけば後数時間で授業が始まるという時間になる。

 ラビーちゃんが言った。


「さっちゃんって実は前から根拠のない黒い噂が後をたたなかったんだよね」


 なぜ私の妄言のような話に耳を傾けてくれたのかわかった。

 さっちゃんは元々そういう感じだったのか。


「たとえば?」


 私は朝食を口にしながら尋ねる。

 ラビーちゃんももちろん朝食中。

 ラビーちゃんはミルクで髭を作った後に答えた。


「男たらしとか、女に強く当たるとかいじめてるとか」


 私はラビーちゃんの髭を拭いてやる。

 自分で拭けると言うラビーちゃんを無視して拭き続けた。

 嫌がるラビーちゃんは可愛かったです。


 ラビーちゃんが作った目玉焼きはぐちゃぐちゃで見た目は酷かったし、焦げまくってて苦かったけど、なぜかたまらなく美味しかった。

 今度は私が作ってあげたいな。


 そんなことを考えていたら、突然さっちゃんが欲しくなった。

 今あの子に触れたくてたまらない。

 あの眼差しを私だけで埋めたい。


 私は朝食を口にかきこんで、立ち上がる。


「ごめんラビーちゃん。私、さっちゃんにどうしても会いたい。もう帰るね。」


 私がそう言って一歩踏み出すと、手を掴まれる。


「ねえ行かないで。約束と違うじゃん」


 こうやってじっとしていると、なんだかえっちな気分が高まってくる。

 さっちゃんのとこ行ったら満たしてくれるのかな。

 早くさっちゃんのとこ行きたい。


 ルビーちゃんが私の前に立つ。


「ねえルキちゃん。今顔やばいよ。なんか、めっちゃ可愛くて、私が変な気分になりそう」


 そんなことを言わないで欲しいな。

 そういうことを言うってことは……ラビーちゃんは私のこの欲を、受け止めてくれるのかな。

 そう考えた瞬間。私はラビーちゃんを押してしまった。

 ベッドにこてりと横たわるラビーちゃん。


 ラビーちゃんはもう一回私を許してくれるのかな。

 私は四つ這いでラビーちゃんに重なる。


 こういうことは無理やりしたくないのに。

 私は一言つぶやく。


「ごめんねラビーちゃん。我慢できないの」

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