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第39話 学校⑤

 私は思い返すと健全な行為をしたことがないように思う。

 大体無理やり。流される私も悪いと思うのだろうけど、いや、悪くないだろ相手が100悪いだろ。


 心でそう考えても意味なんてない。


 さっちゃんは頬を紅潮させ、私の首筋あたりに息を吹きかける。そして、そのまま顔は上に登ってきて、いつのまにか口は奪われた。

 すごく優しい、と思った矢先舌がぶつかる。

 さっちゃんは飢えた犬の食事のようにがっつき、歯がカチカチとぶつかり合う。

 私がどかそうとしても無意味。

 

 さっちゃんは冒険するみたいだった。

 歯を山に見立てたように登って降りてを繰り返す。舌が届く範囲は全て探すように動く。私がアクションをしないでいると、彼女の舌は私の舌の上でバウンドを始めた、たちたちと音がする。


 空いた手は弄るように私の耳を触る。

 くすぐったくて声を出したいのに、声が出なくて窒息しそうで、辛くて、涙が溢れる。


 円を描くように舌が歯の裏を撫でていく。

 しばらくするとさっちゃんが顔を離した。


「すごく気持ちいね。……ねえルキちゃんも動かしてよ。私ばっか動いてるじゃん」

「え、うん」


 私は何返事してんだ。

 でも理由はわかってる。また叫ばれるのが怖いんだ。


 私が少し動かすと吸われる。そして噛まれる。

 さっちゃんの口は小さくて、すごくあったかい。

 ドロドロに溶けちゃいそうなくらい。


 さっちゃんはそれから私の体に触れ始めた。

 優しかったけれど少し怖くて、無理やりどかそうと思えばできたけど壊れちゃいそうで怖くて、されるがままことは進んだ。

 彼女は本当に上手で、なんだか大人の女性を相手にしているみたいだった。

 すごく重くて、優しくて、私に依存するお姉さん。

 でもすごく怖くて、脆い。

 でもやっぱり大人で私が知らないことをたくさん知っている。


 私は一体どうすれば良かったんだろう。

 しばらくして彼女は一度満たされ、私はもう一度食われる。


 蛇の交尾みたいだった。

 すごく気持ち悪くて最悪なのに綺麗で、神秘的。

 私は壊されているんだとすぐにわかった。

 けれどやめられなくて、されるがままをさせた。


 いい匂いで少し臭くて、でもやっぱそれもいい匂い。


「ねえルキちゃん。今度は私を食べて……噛んでもいいよ。痛くしてもいいよ」


 彼女は忘れることを恐れていた。

 だから軽々しく痛みを求める。


 私が休憩しようとすると沼に引き摺り込みように私はベッドに戻される。

 喉が渇いて死にそうなのにさっちゃんはそれを求めてるみたい。

 この数時間私が口にしたのは彼女の体液だけ。もちろん血も。


 最悪の夢と最高の夢を同時に見てるような気分。

 さっちゃんは私の体から口を離すと言った。


「私、ルキちゃんの事私のものにしたくて狂いそう。だってすごく可愛いんだもん。私本当はこんなんじゃないんだよ。でもルキちゃんのせいで。ルキちゃんが私をこうしたんだよ。私みたいな人に軽々しく優しくしちゃダメなんだよ。私欲しがられたらおかしくなるの」

「うん……そっか。」


 100悪い相手に負けるのはもう嫌。

 私は溶かされて、彼女自身も溶けて、自分に相手の一部が混ざって、彼女が個体に再生する時私ごと取り込まれないように、私が彼女の一部にならないように。彼女が私の一部になるように。

 私は負けない。

 彼女をドロドロに甘溶かしてあげたい。

 そう思った。

 でもさっちゃんと重なって温もりと共に湿度が上がって私の心の火は弱くなって消えていく。

 よくないのにどうでもよくなって消える。

 さっちゃんは私の体にまとわりついて、耳を舐めてくる。

 息継ぎをするかのように顔を上げると言った。


「ねえルキちゃんも私の舐めてよ」


 私はさっちゃんの耳に顔を近づけていき、舐める。

 さっちゃんはしばらくすると私の肩を持ち耳から離す。


「耳以外も舐めてよ」


 私は舐めた。彼女が求める場所全て。

 さっちゃんはありがとうと大好きを重ねる。

 自分は求められていると感じる。


 どれほど乱れていたのかわからない。

 私はさっちゃんに抱きしめられていた。

 小さな寝息が聞こえる。

 私もそのまま寝た。


 私は地獄にハマった。

 生暖かい沼に引き摺り込まれて常に飢えに苦しむ沼地獄。

 沼から抜けそうな時、食事を与えられる。それに夢中になって気づけばもっと沼にハマってく。

 飢えてる時間は伸びて、気づけば沼から出ることは諦め、いつかくる食事を待つ。

 それは弱みになり、食事が欲しければ◯◯しろ。と閻魔に言われ地獄は増えていく。

 ◯◯しても時には食事がもらえない。

 閻魔の機嫌が悪いから。だから私は閻魔の靴を舐めるのだ。そしてそれは新たな地獄になるのだけど、私はそれに気が付かない。だって閻魔様、私が靴舐めてる時私のことをよしよししてくれるんだもの。


 地獄はさっちゃんとエッチした瞬間から始まっていた。


 翌日、私はさっちゃんと一緒に学校へ言った。

 さっちゃんは私にずっとくっつきっぱなしで、ラビーちゃんと喧嘩した。


 そんな私たちを見てマリンちゃんは尋ねた。


「あんた達何かあったの?」


 さっちゃんは俯き、躊躇して答える。


「何かあったよ……。」


 マリンちゃんは目をひん剥いて、私を見る。


「え?まじ?」


 私は頷いた。


 さっちゃんは男子にも女子にもモテる。でも私といる時は近づいてくる子を無視して私に構う。

 そんな生活が1週間続いた。ラビーちゃんとはもう3日話してない。家にも来なくなった。補習の教室を横切った時たまに目が合うけどラビーちゃんが目を逸らす。


 相変わらずカズくんは私に意地悪をする。けどさっちゃんが私を庇う。カズくんはさっちゃんに強く言えなくて、カズくんは去っていく。それはとても悔しそうに。自分のものだと思ってた子が私に傾いたからだろうか。


 カズくんはあまりにしつこくて、さっちゃんはついにそれを口にした。


「私とルキちゃんはエッチしたの。あんたより気持ちよくて私はもうあんたいらないから」


 ちょっと何言ってんだと思ったけど私の視界に映るさっちゃんは輝いていた。多分この世界に来ての初恋。


 さっちゃんは人がいない時すぐ私とキスをする。

 それを見られたか、カズくんに言いふらされたか、学校中に私とさっちゃんの関係は噂として広まった。そして尾ひれをつけながら駆け巡る。


 でもさっちゃんはそんなこと気にせず私と接する。


 そんな生活は1ヶ月続かなかった。


 私はさっちゃんとカズくんが学校で仲良く離しているのを見た。キスもしてた。多分Bまでいってた。


 私は、避けられていた。

 いじめはなかったけれど、キモがられた。

 今、女となら誰とでもするとか、男は死ねばいいとか思ってるとか、そんな噂まで流れ始めていた。


 私にはさっちゃんしかいなかった。でもさっちゃんには私以外にいる。

 私は怖くなった。


 そっから私がさっちゃんを求めるようになった。

 さっちゃんは嬉しそうに答えてくれる。

 心の中では私以外の人といたくせにとさっちゃんを恨むけれど、いざ一緒にいるとそんなことどうでも良くなる。

 だってその瞬間は私のものなんだもん。

 だってそれで怒って離れていってほしくないんだもん。

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