第33話 入学試験
私たち受験生は集められると大きな講義室に案内された。中はしっかり管理されているようで掃除が行き届いていた。まさにゴミひとつない。
そして筆記試験が始まった。
さーてと、どんな問題が出るんでしょうか!
私は裏向きにされている問題用紙を表にした。
第一問
魔法で温風を出すためにはどうすればいいか答えよ。
あれ?こんなもんなの?
なんだ簡単じゃん。
第二問
長距離移動で浮遊魔法が適さない理由を述べよ。
いや、簡単だぞ。
全二百問あったけど、どれも第一問や第二問と同じような問題だった。もしかしたら100点あるかもしれない。問題解いている間脳汁が止まらなかった。
こんなに簡単な問題ならみんな100点を取れてしまい試験としてどうなのかと思ったが他の受験生の話を盗み聞きしている感じ、過去問と比べて難易度が上がりすぎていると絶望している人が多かった。
きっと私がたまたま知っていたことが多く試験に出たのだろう。ラッキーだ。
――
筆記試験が終わるとすぐに第二試験の魔物処理試験が始まった。
始まる前に試験監督らしき人が筆記と実技の組み合わせ試験で筆記試験では魔物の弱点属性や急所を筆記で答える、実技試験では実際に4級程度の魔物を討伐してもらうと説明された。
まあ筆記試験は第一試験のように簡単だろう……と思っていたのだが。
終わった。完全にやらかした。
私は魔物処理試験の筆記試験で空白が大量に出てしまった。何かしら書いたところもあっている自信はない、もしかしたら0点かもしれない。そして何より終わったと思う原因は周りの反応で、みんなが口をそろえて簡単だったと言っている。
……とりあえず切り替えないと。
筆記試験後私たちは外に連れ出されて密室に入れられた。
なんだか刑務所の運動場みたいなところだ。
中には眠っている魔物がいて……てかあれあのサソリじゃん。
試験監督は私が準備できたことを確認すると小石を魔法で生成してサソリの頭に落とした。
サソリはもちろん怒り狂ってその怒りは私に向けられた。
サソリは体をブンブン回転させて尻尾を振り回し始めた、その回転の威力のまま私に突っ込んできて尻尾を私に当てようとする。
私はぶん回された尻尾を大繩を飛ぶかのように回避して、隙を見てサソリの脳天に剣を突き刺した。
まあもう正直楽勝すぎて朝飯前ですよ。私が今までに何回このサソリと戦ったことがあると思っているんだ。ざっと数千万回だぜ。夢含む。
私がサソリを倒して次の試験まで休憩する教室に行くと、どうやらこの試験において私は一番早く終わらせたらしく誰もいなかった。
適当な席に座って一息ついたら、今日は起きるのが無駄に早すぎたのもあってでなんだか眠くなってきた。
――
気がついたら私は寝ていた。
なんだか騒がしくて目を覚ますとそこには受験生が集まり始めていた。でもなんか明らか最初より受験生の人数が少ない。
なんだかいやな予感を感じてボッチで昼食を食べていたら横の子たちに話をかけられた。女の子ふたり組だ。
この二人はどっちも金髪プリン頭でどうやら姉妹なのだという。二人そろってかわいい顔だ。特に口まわり、唇とかプルプルすぎる。
「あのーすみません。お名前なんていうんですか?」
最初に声をかけてきてくれたのは姉の方のマリンちゃん。マリンちゃんはどうやら私のことを男の子だと思っているらしくて、入学後仲良くなるために私に声をかけているようだった。
「へールキ君っていうんだ~」
そう会話に入ってきたのが妹のマロンちゃん。
マロンちゃんが、彼女たちがマリマロ姉妹と呼ばれているということを教えてくれた。マリマロ姉妹という言葉の口触りは最高だ。ルリと再会したらルキルリ姉妹って名乗ろうかな。
私がマリマロ姉妹との会話がもりあがってきた頃私はなんか受験生の数減っていない?という疑問について尋ねた。
マリマロ姉妹曰く、受験生が一定時間たっても倒せない、または、命に危険が及びそうになった場合、その時点で不合格なのだそう。受験生が死んでしまったという可能性を考えていたのでホッとした。
「過去問やってないの?」
とマロンちゃん(妹)が聞いてきたときは言葉が詰まった。だって何も対策してないなんて言ったら変なやつだと思われるかもしれないし、最悪の場合『俺ノー勉だわwww』ってイキってる男子学生みたいな感じにみられるかもじゃん。それはマジで嫌。
――
三次試験の実技試験の説明が始まった。
三次試験は対人技術の実技試験だった。
私と戦う相手は試験監督だ。
さっきサソリと戦った場所に行くと試験監督が怖い顔をして仁王立ちでずっしり構えていた。
試験監督は私の戦い方に合わせて剣を持っている。
私が試験監督の目の前に立っても試験監督が何もアクションをしてくれないのでおどおどしていたら、試験監督がバカ大きな声で叫んだ。
「今から試験を始める!!」
ほんとびっくりするからもう二度としないでほしい。
試験監督は叫んだあと剣を私に向けた。それに反射のような形で私も剣を向け返した。ま、剣と言っても木刀のようなもんなのだが。
戦闘が始まると試験監督はものすごい速度で突っ込んできた。私が片腕片目なことなんて気にしてくれていないようだ。
私はその重い一撃を何とか受け止めて、次の攻撃に備える。
しかし試験監督の次の攻撃は私が備え終わる前にきて木刀が腹にめり込み私は吹っ飛んだ。幸いなことにダメージはそれほどない。
その後も試験監督の猛攻は続き私はそれに何とか食らいつくのがやっとだった。
なんとなくすべての攻撃に違和感を感じる。
私はそう思ったので探りながら攻撃を受けていると、試験監督が強化魔法のようなものを使っていることに気が付いた。なんとなくフレアさんのあの時に近い魔力を感じた、もちろんあれほど強大なものではないし、凶暴性があるわけではないのだが。
そういえばこの試験魔法学校の試験だったわ。
相手が魔法を使って戦っているのにも関わらず私は剣一本で勝負している。試験監督のこのなんとも言えない表情の理由はきっとこれだ。
でもあいにく私に使える魔法はほんの基本の一部だ、逆に変に魔法を使うと私は弱体化する。なので私は剣一本で戦い続けるしかない。マジでハンデすぎる。
試験監督は魔力の負荷をちょっとずつあげているらしく毎秒毎秒一撃の重みが増している。
今まともに一撃食らった本気で怪我する。
試験開始からどのくらい経ったかわからない頃、学校全体に響くくらいの大きさのブザーが鳴った。と同時に試験が終わった。
ブザーが鳴ると試験監督がさっきの叫び声はどうした?というようなボリュームで「終了」とつぶやいた。
――
試験結果は三日以内に届くそうだ。
私は宿屋に戻ると頭を抱えた。
もしかしたら不合格かもしれない。
だって魔物処理試験の筆記に関しては0点だろうし、最後の三次試験は防戦一方だったし。採点によるかもしれないが合格の手ごたえはない。
まあ来年もう一度受ければいいだけの話なんだけど、それはなんとなく嫌じゃん?
――
三日後
今日は合否通知が届く日だ。
私が朝食を終えて、特にやることもないので持ち物の整理をしていたら窓から音がした。
私が窓の方を振り向くとフクロウ?が窓を突っついている。その口には紙のようなものが挟まれている。
かわいいフクロウだ。
私は頭をよしよししてフクロウから紙を受け取った。
これはきっと合否通知だ。緊張でなんだか紙を見れない。この紙をずっと握っていると手汗で紙がだめになってしまいそう。
よし見るぞ。見るぞ。……。
おいルキ早く見ろよ。
……よし、じゃあ、せーので見よう。うん。そうしよう。
「せーの!」
私は自分の声に合わせて丸まっている紙を広げた。




