第23話 誘拐
銀貨5枚と銅貨数枚を握りしめてミイさんの家があった集落から出た。いろいろあったし、クセの強い人たちだったけどいい人たちだったなと思い返す。
「まずはルキちゃんの服買いに行かなきゃだね!」
「あそこにも売ってましたよ」
「あそこ地味に物価たかいんだもん」
まあ確かに。あとあそこはあんまかわいい服が少なかったように思う。
私は今エン君のお下がりの服を着ている。少しダボッとしている男物、うっすらとエン君のにおいがある。私的にはオーバーサイズもまあアリかなと、今の姿を見て思う。でもさすがに女物の下着系はほしいところ。あのキャミ気にってたのに汚くてボロボロになっちゃったからってフレアさん捨てちゃうんだもん。
フレアさんと楽しくおしゃべりしながらあぜ道っぽいところを歩いていたら、目の前に馬車が見えてきた。
「お金あるし次の村まで乗ってく?」
「そうですね」
少し疲れて始めていたのでこの馬車はナイスタイミングだ。
私たちが馬車に近づくと、フレアさんが声をかけた。
「すみません!近くの集落か村か街まで乗せてってもらえませんか?」
「ああ、いいっすよ……」
男は覇気がない声で答えた。なんかやな感じ。
私たちは荷物を入れて、乗り込んだ。
「近くの人が住んでるとこまででいいんすよね……」
「はい!お願いします!」
「おねがいしまーす」
カタカタと音を立てて馬車が動き出した。
「よかったね馬車あって!あたし少し疲れてたから」
「そうですね」
この優しい夏終わりの風と気持ちいリズムで揺れる馬車、 なんだか眠たくなってくる。なんだか甘いいい香りもするし。
私の背中にもたれかかっているフレアさんの呼吸リズムが一定になっている。そして、優しい呼吸音。
あー私も寝ちゃおうかな。
私がここまで寝るのを我慢しているのはなんか嫌な予感がするから。
「全然寝ちゃっていいっすよ」
馬車を操作している男のその言葉を最後に私の意識は遠のいていった。
暗くて悪臭が漂う謎の空間。男たちは淡々と作業していた。
「女は傷つけんなよ!価値が落ちる!」
「はい!」
「男はこっち持ってこい!」
「はい!」
「あのすみません」
「なんだこの忙しいときに!」
「男か女かわかんないときはどうすればいいですか?服脱がせます?」
「そんなこといちいちやってたら時間ロスだろうが!胸触ってみろ!」
「あ、はい」
「胸あるか?」
「ないです」
「じゃあこっち持ってこい! あーあとそいつ髪長いから切っとけよ」
「はい!」
「お前らとっと作業しろよ!ボスがお怒りになるぞ!」
「はい!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!触らないで!!」
「おとなしくしろ!」
「ちょ!どこ触ってんの変態!」
「てめえ!俺が下に出てやってたのに!先殴ったのはそっちだからな!もういいぜ、ちょうど溜まってたんだよ」
「いやぁぁ……!やめてぇぇ!」
「おとなしくしろってんだよ!」「……へへへ、いい体してんじゃねえか」
「ごめんなさい……!だから……だからやめてぇぇぇ」
「……」
「触らないで……!」
「……」
「っや!」
「へ、いい声で鳴くじゃねえか」
「おい!なにやってんだよ!!」
「何って欲の処理を」
「女、傷つけるとボスに殺されんぞ!」
「ばれねえって、お前もやるか?」
「いいからやめろ!」
「うるせえな!いちいちつっかってくんな!ここまで来てやめれるかよ! んじゃあ楽しませてもらうぜ!」
「おいてめえ何してる」
「!! ドンバさん……」
「女、傷つけんなって聞こえなかったか?」
「いや、ちょっと―」
「はい、時間切れ!」
ドンバは剣を抜くと男の体をバラバラの肉塊に変えた。そして女の子に近づく。
「嬢ちゃん、ヤれれてねえか」
「うん……」
「よがっだぁぁ!!!」
「!?」
ドンバは膝をついて天を仰ぐように泣いた。
「もし、顔のいい女に何かあったら俺は、俺は!ボスに殺されるところだったぁぁぁ!」
ドンバの行動は狂気そのもので少女の背筋はさっきよりも凍り付いた。
「じゃ、じゃあ君こっちおいでね」
それを見ていた男の一人が女の子を連れていく。
ドンバさんってたまにあんな感じになるんだよね。と思いながら。
私は水をぶっかけられて目を覚ました。
「いつまで寝てんだ!」
巨漢が寝転がっている子供たちに水をかけながら叫んでいる。
ここはどこだ。たしか私は馬車に乗ってて、それで。
そっかあのまま寝てしまって。
フレアさんはどこ?
周りを見渡してもフレアさんの姿はない。
子供たちが起きだしてざわざわとしだした。泣き叫ぶ子もいる。ほとんどが男の子だ。女はもしかして私だけ?
「うるせえんだよ!」
巨漢は泣いている子に豪快なビンタを食らわせた。
ひっでぇ。男の子は壁際に吹っ飛ぶ。と同時にあたりはシーンと静まりかえり、大人の男たちの叫び声だけが響いている。
巨漢は奥からつるはしのようなものを大量に持ってくる。
「一人一個もってけ!」
男が叫ぶが誰も取りに行こうとしない。
私は殴られるのが嫌なので我先にという感じで足を動かした。
私が動くと周りもぞろぞろと動き出した。
私はつるはし達を眺めた。
うん。これにしよう。私は比較的きれいで丈夫そうかつかなり小さいものを選んだ。どうせならきれいなやつがいい。あとこれならなんとか片手で振れる。
ここにいる子供たちにつるはしが一通りまわったところで巨漢は何やら説明をし始めた。
男のとってもわかりやすい端的な説明が終わる。
わかったことは、私たちは今からここで一生働くということ。それだけ。
内容は鉱物の発掘と、大きな地下通路の開拓。
私は地下通路の開拓にまわされた。どうせなら鉱物の発掘がよかった。珍しいものがあったらくすねてやろうと思ったのに、もちろんそんな勇気は私の中に存在していないが。
私を含め、小学校の一クラス分くらいの人数の男の子たちが地下通路を作っている。
私はこんなやばい状況なのに妙に冷静だった。でもなんとなく理由はわかる、私は今までもっとやばい状況にあっているから。足かみちぎられそうになったり、頭貫かれそうになったり、上半身の断面図見たり、腕失ったり。そう思えばただ労働するだけなんて、別に痛くないし、怖くない。殴られてる子を見るのは少し心が痛むけど。
私は単純なネチネチした作業はきらいじゃない。前世ではよくプラモデルを作ったものだ、ただ作業がしたくて、知らないアニメのプラモも作ったっけ。
「お前は、軽そうなつるはしでいいよな」
私が黙って作業していると右から声がかかった。
「え?」
「それ、軽そうじゃん。俺のと交換してくれよ」
なんだこいつ図々しいな。これしか持てねえんだよ。
「いいからくれって!」
「ちょっ!」
右横の小太りは私からつるはしを奪おうとした。
ちょっと取ろうとすんなよ。あーイライラする!もうちょっとでこのでかい石取れそうなのにじゃますんなよ!
「おい、やめてやれよ」
小太りともめていたら次は左から声が聞こえた。
小太りの手が止まり左を向くとそこにはすらっとした男の子がいた。
わお。イケメン!
左の男の子は私より背が高い、イケメン少年だった。
「お前なんで入ってくんだよ!これは俺たちの問題だよ!」
いえ、君が問題です。
「この子左手ねえんだよ、だから多分その大きさしか持てないんだよ」
左の少年は私の左手を見ながら言った。
「そ、それ本当かよ」
「ああ、見てみろよ」
小太りは私の左側に回った。
「マジじゃん」「なんかごめんな」
「まあいいよ」
私は不服そうに言ってやった。
「俺、アイゴって言うんだ」
「あ、俺アゲーラ」
小太りはアイゴ、イケメン君はアゲーラと名乗った。
「わt、」
「ん?」
「ぼ、ボクはルキって言うんだ」
「よろしくねルキ」
「うん」
私はここではボクと自称することにした。
私の予想では労働に充てられている人は男しかいない。そして私はなぜだか男と思われている。
ここで女だと言ったあかつきにはきっと欲に支配された盛った男の子たちに犯されてしまう。なんだかそんな気がした。
そして労働開始してしばらくしたとき嫌な感じが首にした。
首を触るとない!
髪がない!私はウルフだったのに今はバッサリ切られていてマッシュみたいにないた。
これがここにきて一番のショックだった。




