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第10話 ハンター

 翌日

 私はフレアさんにフェル大陸中の地理を軽く教えてもらった。冒険者をするうえで知っといたほうがいいと思ったから。

 フェルさんは頼られるのが好きらしく、教えてくれとお願いしたとたん嬉しそうに話し始めた。


 王都ルミナグレイス:名前はルミナグレイス。フェル大陸最大都市で人口は30万人越えで8割が人族。経済格差が大きく生まれで地位が決まる。地位が高い上級市民が低級市民を使い私服を肥やしている。アテナ直属の中央審議院が対策政治をしているらしいがうまく機能していない。

 魔法を学べる魔導学院、図書館、その他の学校が集中していて、市民の識字率と魔法修得率はほぼ100パーセント。食品・魔道具・書物・工芸品の交易中心。周辺諸国から留学生・貴族も訪れる。中央には"魔王アテナの神殿"がそびえ立っている。アテナ城には”アテンプス騎士団”が駐屯している。

 

 グリーナロー:二番目に大きい都市。魔法工芸の街。魔道具と書物の生産で有名。地方から多くの職人が集まる。冒険者をするならここ。


 フレアさんが言うにはクソ大陸もっといい政治しやがれということだ。


 私はフレアさんがこんなに地理を理解していることに驚いた。もっとポンコツなのかと。

 私がめっちゃ詳しいですねと褒めると、昔、魔王級魔法使いを目指したい子が集まる学校の教師を一瞬だけしていたことがあると衝撃な告白をしてきた。


 その会話の後フレアさんが黙ってしまい少しの沈黙が続いた。

 少しするとフレアさんが口を開く。


「ねえ。ルキちゃんは冒険者したい?」

「したいです。」

「…………」


 フレアさんは考える素振りを見せてまた黙ってしまう。

 そして自分の中で何か納得したのか、よし!と一言。


「じゃあ私と一緒にするって制限付きでいいならいいよ!」


 私はついに冒険者になれるとはしゃいだ。

 お金を稼いで美味しいご飯をたべるために冒険者を目指し始めたことなんて忘れていた。

 この時の私は本当に冒険者がしたかった。

 きっとロイやミアがカッコよくて憧れてしまっていたのかもしれない、それか、ルリが頑張っているのに自分は…。 という気持ちがあったのかもしれない。

 


 ーーーーーー


 私たちは冒険者をするためにグリーナローの少し過疎地域になっているところを訪れた。グリーナローはきれい都市で坂が多い作りになっている。

 グリーナローについて早々に小さな冒険者ギルドを訪れた。ここの支部マスターは初老の男性でフレアさんと知り合いなのか顔を合わせるなりすぐに世間話をし始めた。

 その横で私は冒険者登録をすました。フレアさんは話をしている最中も私のことを気にかけていろいろ教えてくれたのでスムーズに登録することができた。


 登録後冒険者カードを受け取り、

 いろいろ説明を受けた。

 私は今10級冒険者であるということ。

 冒険者の等級は

 10級<9級<8級<.....<1級<<<<<魔王級となっていること。

 これは魔物にもいえるということ。

 冒険者の等級はその冒険者の討伐状況をみて全大陸の全ギルドで話し合って決まり、昇格すると冒険者カードが更新されるということ。

 2級の魔物までは同級の冒険者1人で対処可能だが、1級以上の魔物からは同級の冒険者最低5人必要、魔王討伐には魔王級相当の強さの者が最低10人必要と言われているということ。

 現在冒険者は60万人前後いるということ。

 そのうち1級以上の冒険者は100人だということ。


 かなり長い話であったが何とか食らいついて要点を理解した。

 

 説明後、今日の宿代のために早速魔物討伐依頼を受注した。受注したのは、毒団子虫ポイズンピルパグ(10級)の対処。

 内容は、毒団子虫ポイズンピルパグ100匹以上の討伐と糞の掃除で任務達成証拠として、目玉と糞を持ってくる。

 毒団子虫ポイズンピルパグは30cmくらいのダンゴムシで、この魔物自体は無害だが、糞に猛毒が含まれているということだ。



 私たちは毒団子虫ポイズンピルパグの糞を集めながら巣に向かった。

 巣に入ると100匹以上の毒団子虫ポイズンピルパグがいた。私は一体一体足で体をひっくり返して、丸くなる前に剣で切っていった。

 15匹ほど切った時、フレアさんが面倒だから私に任せて、というと手を地面に置いた。

 約1秒後、地面全体がうねるように盛り上がり、無数の鋭い棘状に変形していく。

 その棘が一気に伸び、残るすべての毒団子虫ポイズンピルパグたちの身体を貫き、戦いに終止符を打った。

 

 あっという間だった。


「さすがですね」

「まあね!これくらい朝飯前の前の前よ!」


 私が褒めると、調子に乗ってきてもっとすごいものを見せてやろうかと言ってきたが、長くなりそうだったのでまた今度と断った。


 毒団子虫ポイズンピルパグの目玉を100個以上と糞を持ってギルドに戻ると、交換で銅貨3枚をもらった。銅貨一枚の価値がわからなかったので尋ねると、銅貨、銀貨、金貨、の価値について教えてもらえることになった。


 銅貨10枚で銀貨一枚。

 銀貨10枚で金貨一枚。


 銅貨10枚あれば、3日間はお金を気にせず贅沢できる。

 銀貨10枚あれば、学校に通える。

 金貨10枚あれば、家が買える。と支部マスターは教えてくれた。


 この日は報酬の銅貨3枚で安い宿に寝泊まりして、質素なご飯を食べて1日を終えた。


 ーーーーー


 初めて冒険者としてご飯を食べた日から数ヶ月ほどはフレアさんと一緒に討伐依頼をこなしていった。

 私は正直楽勝だった。まずフレアさんが強すぎるし、私自身も前より成長してきたからだ。

 そこでこれからは2人別々の依頼をこなしていこうとフレアさんに言った。

 言ったときはしばらく悩んだ末に危ないからダメだと言われてしまったが、最初より私は強くなったこと、フレアさんが別の高難易度の依頼をこなして、私ができる範囲の低難易度な依頼をこなしていけばもっと稼ぎがよくなるということを熱弁したら、しぶしぶ了承してくれた。

 フレアさんが了承してくれた時、ほんの少しでも自分の実力を認められた気がして、胸が高鳴り、思わずガッツポーズをした。


 その翌日。

 私はいつも通り10級の魔物の討伐依頼を、フレアさんはたまたま一件あった1級の魔物の討伐依頼を受注した。

 ギルドから出ようとした時、いかにも荒くれといった見た目のごつい兄ちゃんたち5人が、フレアさんに絡みだした。

 

「おい!そこの女!依頼を勝手に横取りしてんじゃねえよ!」


 ちなみに彼らは2級以下の冒険者の集まりらしいのだが、1級相当の力があると言い張っている。


 荒くれのリーダーっぽい男はフレアさんに唾がかかりそうな距離で、すごい勢いで吠えていて、後ろで「そうだ!そうだ!」「女が出る幕じゃねえ!」と野次を飛ばすものもいた。

 かなり盛り上がってきて、その男がフレアさんの胸ぐらを掴みだす。

 

「おい!どう責任とってくれんだよ!」


 そこに、他の荒くれたちがフレアさんにいやらしい目を向ける、「泣いて詫びろ!」という野次を飛ばす、不愉快な笑い声で笑うといった追撃をする。

 

 典型的なクソ男たちはこんなこと言っているが、フレアさんは横取りしてはいない。まだこの依頼は誰にも受注されていなかったのだから。誰の目から見ても完全に男たちが悪いのは明白だった。


 こんな状況だが、フレアさんは大人だった。


「すみません。知りませんでした。」


 謝っているときは本気で反省しているだろうと思わせる顔であった。


「この依頼あなたたちにお譲りするので許してください。」

「ふん!おめえみたいな女には100年早いんだよ!譲るってなんだよ!代わりに討伐してください!だろうが!」

「すみませんでした。代わりに討伐してください。」


「本当に言いやがった!」という荒くれの声と笑い声がギルド中に響く。


「最初からそう言え!」


 そう捨て台詞を言って男たちはフレアさんの依頼を討伐をするために外に出ていった。

 ギルドにいた他の男の人がフレアさんに近づいてくる。


「あんなの気にしたら負けだよ!」


 そう言葉をかけた。


 フレアさんは言葉をかけてくれた人に感謝を伝えると私の方を見た。


「じゃあルキちゃんはルキちゃんで頑張ってきてね!」


 フレアさんの顔は何事もなかったかのように明るかった。なんでこんなに冷静でいられるのかわからない。私ならキレ散らかして、愚痴をいっぱい言っていただろう。


 私はフレアさんに軽く挨拶をすると、討伐依頼のために外に出た。後ろから「本当に気をつけるんだよ!」というフレアさんの声が聞こえる。私はその声に手を振って返した。

 

 

 今回討伐するのは”サンドワーム”。


 指定されたところにいくと、そこは砂丘のような砂が多いところだった。

 砂は水が沸騰しているかのようにボコボコと動いている。

 よく見るとすべてミミズだ。ミミズが動いて砂を動かしていた。

 砂のミミズでサンドワームかとそこで理解した。

 砂の表面がボコボコと盛り上がりながら、こちらへと近づいてくる。私の足元に達した瞬間、足がズボッと砂に沈んだ。

これ以上沈まないよう、沈んだ箇所に水をかけて固めると、動きは収まり、やがて砂の中からミミズが現れてピチピチと跳ね始めた。

私はそれらを一匹ずつ潰し、動かなくなった死体を丁寧に集めていった。

 他にも同じように数箇所ミミズが砂を動かしているところがあったので、見えるところはすべて討伐した。


 討伐依頼が終わったので帰り道を歩くために向きを変えた。

 ?! 私の体がビクッと跳ねた。

 今までいなかったはずの大きなサソリが目の前で私をとおせんぼうをしていたからだ。

 私の2回り〜3回りほど大きいくらいのサソリだ。10級の魔物ではない。それとは比べものにならないほど強いと肌で感じる。最初に青蜂(ブルービー)と対峙した時に似て、体が動かない。これは恐怖だ。最近感じてなくて忘れていた。

 けど今思い出した。

 死ぬかもしれない......。そう頭をよぎる。

 

 でもフレアさんの反対を押し切ってここにきた。ここで死んだらフレアさんは悲しむ。1人で行くことを許可した自分を一生恨むかもしれない。あの人優しいから。


 私は剣をしっかりと握り直し、サソリの目をしっかり見た。

 このサソリを倒して生きて帰るために。フレアさんを後悔させないために。

 

  (我を宿しものに試練を与える)

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