表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
改訂版 アニマルな君たちは今日も戦う  作者: しゅうらい
第5.5章 小休止編(2)
84/92

84 君をどんなことからでも守ってみせる

 庭に出ると、やわらかな日差しがさしこんでいた。

「あっ、ここは誰もいませんね」

「とりあえず、向こうに座ろうか」

 レンが指さした方角には、大きな木があった。

 それを囲むように、ベンチが置かれていたのだ。

 荷物を置き、ハルも座ろうとすると、レンに手を掴まれる。

 それに、ハルは首を傾げた。

「レンさん、どうしたんですか?」

「ハル、弁当を食べる前に、渡したい物があるんだ」

「渡したい物?」

「あぁ、これなんだが……」

 レンが取り出したのは、炎をモチーフにしたペンダントだった。

「あっ、レンさんも作っていたんですね!」

「君に渡そうと思ったんだが、タイミングがなくてね」

「えっ、私に?」

 ハルが驚いていると、レンは目線をそらした。

「君が吸いこまれる時、俺は駆けつけることができなかった」

「でも、あの時は、薫さんたちもいましたし……」

「あぁ、そうだな」

 レンは一旦目を閉じ、ハルに視線を戻す。

「だが、君のアニマなら、あの時優先すべきは、君だったはずだ」

 ハルを見つめたレンの瞳は、真剣なものだった。

 そのことに、ハルは一瞬ときめいてしまう。

「レンさん……」

「今度は、君をどんなことからでも守ってみせる!」

 レンはハルの手を取り、ペンダントを握らせる。

「これは、俺の想いだ。どうか、受け取ってほしい」

「ありがとうございます……」

 ハルは微笑んだが、あることを思いだし焦りだした。

「でっ、でも、私はマサのペンダントつけていますし……」

「大丈夫だ」

「えっ?」

「マサのは、外さなくていい」

 ハルからペンダントを取り、レンはチェーンを外す。

 そして、ハルの首につけ始めた。

「俺の気持ちも、マサと同じだ。だから、俺のもつけて」

「はい……」

 ハルはうれしくなり、涙があふれそうになる。

 やがて、ペンダントをつけ終わったレンは、ハルの頬に手を添える。

 だが、ハルは一瞬怖くなり、強く目を閉じてしまう。

 それにレンは驚いたが、すぐ優しく微笑んだ。

 そして、ハルの右頬にキスをする。

 キスされたハルは、目を開けて顔を赤くした。

「れっ、レンさん?!」

「今は、これで我慢するよ」

「がっ、我慢って!」

 赤面して慌てるハルの耳に、レンは近づき囁いた。

「ハルが俺の方を向いてくれたら、教えてあげる」

 レンの囁きに、ハルは硬直した。

 だが、気をよくしたレンは、持ってきた弁当を出し始める。

「さぁ、早く食べてしまおう。ハル?」

 レンが振り向くと、ハルはロボットのように、ぎこちない動きをしていた。

 やっとベンチに辿り着き、ゆっくり座った。

 レンさん、大人すぎる……と、ハルは思ったのだった。

 レンは、ハルの動きに笑いをこらえていた。

 そして、咳払いをひとつして、ハルの隣に座る。

 ハルは一瞬肩を上げたが、弁当を食べ始めて笑顔になる。

「このからあげ、すっごくおいしい!」

「あの人は口は悪いが、料理の腕はいいと評判だよ」

「確かにこのからあげ、皮がパリッとしていて、おいしいですね!」

「ふふっ、ハルはご飯を食べている時、すごく幸せそうだね」

「えへへ……お腹空いていたのもあるかもです」

「じゃぁ、俺のをひとつあげよう」

「えっ、いいんですか?!」

「君がうれしいと、俺もうれしいんだ」

 レンの微笑みに、またハルはときめいてしまう。

「あっ、ありがとうございます!」

 それから二人は食事を終え、研究所の中に戻った。

 弁当の袋をゴミ箱に入れ、ハルは何気なく談話室を覗いた。

 すると、薫がコーヒーを飲みながら、テレビを見ていた。

「薫さん!」

「おや、ハルさんたちもお昼かい?」

「私たちは、さっき食べました。薫さんは、休憩ですか?」

「あぁ、そうだよ。それより、二人はお熱いねぇ」

「えっ?」

 薫の笑みに、ハルは首を傾げた。

 だが、すぐ自分たちが手をつないでいることに気づき、慌てて手を離す。

「いや、違うんです、これは!」

「照れなくてもいいだろう。彼はうれしそうだったぞ、しっぽ振っていたし」

「あっ、レンさんは、犬のアニマだから……」

 隠そうとしても、感情がしっぽに出ちゃうんだなぁと、ハルは苦笑した。

 薫はコーヒーをひと口飲み、レンに微笑んだ。

「よかったな、レン。大切な人ができて」

「あぁ……」

 レンと薫が見つめ合っているのを見て、ハルは気まずい気持ちになった。

 二人を見ないように、ハルはテレビに視線を向ける。

 すると、あるニュースが流れだした。

『ここで、速報です』

「えっ、この人たちって……」

 そこに映っていた人物に、ハルは驚いていた。

 さらに、女性アナウンサーはニュースを続ける。

『禁止されている戦闘用アンドロイドを、違法と知りながら無断で製作したことにより、男たちが逮捕されました』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ