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改訂版 アニマルな君たちは今日も戦う  作者: しゅうらい
第4章 アニマの暴走編
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64 上層部の企み

 メイドはハルに振り向き、先へ促した。

「どうぞ、お入りください」

「入るの怖いなぁ……」

「では、私が開けましょう」

「まっ、待って、心の準備が!」

 ハルは止めようとしたが、お構いなしにメイドはドアを開ける。

「さぁ、どうぞ」

「うぅ……しっ、失礼しまーす……」

 メイドに再度促され、しかたなくハルは部屋に入った。

 中では、ふくよかな中年の男性や、眼鏡をかけて髪を七三にした男性など、数人が座っていた。

 すると、中年の男性が、ハルに近づいてきた。

「やぁ、待っていたよ。君がハルさんだね?」

「はっ、はい、神崎ハルです!」

「そんなに緊張しなくていいさ」

 ガチガチに固まっているハルに、男性は笑顔で話しかける。

 そして、あごに手を当て、数回撫でた。

「しかし、先ほどは大変だったね」

「えっ、私たちの戦い、知っているんですか?」

「あぁ。彼女の目から全部見ていたよ」

「彼女の目?」

 なぜ、男性はハルたちの戦いを知っているのか。

 首を傾げるハルを見て、男性は微笑みながら指をさした。

 ハルが、指さされた方を向くと、先ほどのメイドが立っていた。

「彼女の名前はサラ。対アニマ用アンドロイドだ」

「アンドロイド?」

 ハルは首を傾げたが、ある言葉に疑問が浮かんだ。

「あの、『対アニマ用』ってなんですか?」

「なにって、そのままの意味だが?」

 ハルの問いかけに、今度は男性が首を傾げる。

 ハルが困っていると、今度は七三分けの男性が近づいてきた。

「藤原さん、ちゃんと説明してあげないと、ダメじゃないですか」

「おぉっ、それもそうだね、柊君」

 男性二人は笑い合い、ハルはぽかんとしていた。

 そして、中年の男性が藤原、七三分けの男性が柊だということが判明した。

 すると、柊は咳払いをして、説明を始める。

「ここ一年くらい、アニマたちが暴れているでしょう」

「はい……」

「しかも、建物の破壊や、一般人にも被害が及んでいます」

 説明を続けながら、柊はサラの肩に手を置く。

「なので、私たちは防衛のために、彼女たちを作りました」

 柊はハルに視線を移すと、口角を上げた。

「好き勝手するアニマを、これ以上野放しにはできません」

「名付けて、『アニマ一掃作戦』だよ」

「アニマを一掃?!」

 とんでもない作戦に、ハルは驚愕した。

 慌てて頭を振り、暴走についての説明をする。

「アニマたちが暴れているのは、桂木博士がアニマを利用したからで……」

「そうだとしても、人間に危害を加えないというのを、彼らは守っていない」

「そんな奴らは、この国にいらないんだよ」

「そんな……」

 藤原と柊の圧に押され、ハルは言葉に詰まってしまう。

 その様子に、藤原はいやらしい笑みを浮かべた。

 そして、ハルに歩み寄る。

「そういうことだから、君にも手伝ってもらいたいんだよ」

「いっ、嫌です!」

「なんだと?」

「その話だと、私の契約しているアニマたちも、含まれるんですよね?」

「あぁ、そうだが」

「彼らは、私にとって大切な仲間で、友達なんです!」

 ハルは、必死に訴えた。

 アニマである彼らを守るために。

「だから、協力はできません!」

「君は、自分の立場をわかっていないみたいだね」

 ハルに断られ、藤原の片眉がぴくぴく動いていた。

 明らかに怒っているのが、ハルにもわかった。

 藤原は咳払いをし、指をパチンと鳴らした。

 すると、天井からモニターが降りてくる。

「君が断れば、彼らがどうなるか……おや?」

 勝ち誇ったように、藤原はモニターを指さした。

 全員の視線が、モニターに集まる。

 しかし、そこに映っていたのは、無人の部屋だった。

「なんで、誰もいないんだ?!」

「彼らはどこに……」

「みんな……」

 ハルが不安になっていると、指輪が光りだした。

 それと同時に、頭に声が響く。

『ハル、どこにいる!』

「えっ、レンさん?」

 その声はレンであり、ハルはほっとする。

 そして、大声で自分の場所を示した。

「私はここです、レンさん!」

「騒ぐな、小娘!」

 藤原がハルに近づこうとすると、窓に影が映った。

「イグさん、レンさん!」

「イグ、俺を投げてくれ」

「わかった、はあぁーっ!」

 イグに投げられたレンは、その勢いのまま、蹴りで窓を割った。

「ぎゃぁーっ、窓を割ってきただと?!」

「ここ五階だぞ?!」

 慌てる藤原たちをよそに、レンは涼しい顔でハルに歩み寄る。

「ハル、無事でよかった。早く逃げるぞ!」

「はいっ!」

「逃げられるとでも?」

「サラ、手始めにあのアニマを始末しなさい」

「承知しました」

 命令を受けたサラは、手を変形させ、レンに標準を合わせる。

 すると、ハルがレンを庇うように、間に入った。

「ダメ、攻撃しないで!」

 しかし、いくらたっても、サラは攻撃しなかった。

 その様子に、ハルは首を傾げる。

「あれ……動きが止まった?」

「しまった!」

 その時、柊の焦る声が響いた。

「どうしたんだね、柊君」

「人間を攻撃しない、というプログラムをしているので、それが裏目に出たようです」

「なんだとぉ?!」

「ハル、今のうちに!」

 レンはハルの手を引いたが、突然ハルの足が止まる。

「あのー……まさか、ここから降りるんですか?」

「もちろん!」

「まっ、待って、ここけっこう高いんだけど、きゃぁーっ!」

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