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30 彼らの居場所

 ため息をついたハルは、静かに席を立つ。

「あら、ハルさんどちらに?」

「ちょっと気分が優れないから、二階で休んでるよ」

「大丈夫ですか? 私も一緒に……」

「平気、少し休んでれば大丈夫だから」

 そう言ってハルは、二階へと上がっていく。

 部屋に入ると、すぐベッドに横になった。

 天井を見上げて、ハルはマサのことを考える。

「マサ、怒ってはいたけど、かほさんのこと気にしてたな……」

 本当は、かほさんのところに戻りたかったんじゃないかな……と、ハルは思った。

「今頃、なにしているのかな……楽しそうだったら、どうしよう……」

 抑えきれない不安が、ハルの頭を支配する。

 すると、部屋の外から、大きな足音が聞こえてきた。

 ハルは、誰が来たのかわかったため、ため息をついた。

 それと同時に、勢いよくドアが開けられる。

「ハル殿、作戦が決まりましたぞ!」

「えっ、本当にするの?」

「もちろんでござる!」

 目を輝かせているユキに、ハルは頭が痛くなった。

「どうかされたのでござるか?」

「うぅん、あのね、マサのことなんだけど……」

 首を傾げるユキに、ハルは気まずそうに話す。

「このままにしてあげた方が、いいんじゃないかな」

「……なぜ、そのようなことを?」

「だって、いろいろあったかもしれないけど、最初に契約した人の方がいいと思うの」

「……俺は、そうは思いませぬ」

「ユキ?」

 ユキの声には、少し怒りが混じっていた。

 それを感じ取ったハルは、首を傾げる。

「マサ殿が怒っていたのを、見られたでござろう」

「うっ、うん……」

「かほ殿がマサ殿に、なにをしたかはわかりませぬが、戻ろうという気はないと思いますぞ」

 そう言ってユキは、手を強く握りしめる。

「俺なら、戻ろうとは思いませぬ」

「まっ、まぁユキの場合は、契約したのがあんな人だったからね」

「それもですが、俺はハル殿といるのが、楽しいのでござる!」

 語尾を強くして言うユキに、ハルは小さく微笑んだ。

「ありがとう、ユキ……」

「言っておくでござるが、これは励ましとかではなく、本当のことでござるよ!」

「うん、そうだね」

「だから、マサ殿も同じだと思いまする!」

「だといいなぁ……」

「イグ殿も、言っていたでござろう?」

「あっ、私のためだって言っていたね」

「それに、マサ殿の居場所は、ここでござる。そのことは、変わりませぬぞ」

「そっか……そうだよね!」

 ユキは励ましとは言っていなかったが、ハルは元気を取り戻した。

 それがわかり、ユキも微笑む。

「ユキさーん、ハルさんは大丈夫ですか?」

 心配になったユミが、少し顔を覗かせる。

「ごめんね、もう平気だから」

「よかった……」

 ほっとしたユミは、ハルのそばまで近づいてきた。

「ハルさん、作戦が決まったので、明日決行します!」

「やっぱり、そうなっちゃうのね……」

 ハルは苦笑したが、あることを思いだし机に近づく。

 そして、白い羽根の横にあるキーホルダーを手に取った。

「ユミちゃん、これ渡すの忘れていたよ」

「これは……」

「ひびが入っていたから、違うの作ってつけてみたんだけど、どうかな……」

 それは、ハルが作っていた白い小鳥とイルカのキーホルダーだった。

 ユミはうれしくなり、強く握りしめ胸に当てた。

「ありがとうございます、大切にします……」

「よかったでござるな、ユミ殿」

 そして三人は、部屋を後にして階段を下りていった。

★★★

 次の日、かほの家を探すのは、イグとユミである。

 空を飛べる二人が、上空から探すこととなった。

「じゃぁ、二人とも気をつけて」

「任せてください。必ず見つけてみせます!」

「マサの気配も、わかっているからな」

 少し会話を交わして、二人は飛んでいった。

「行ってらっしゃーい!」

「では、俺たちは中で待機しておきましょうぞ」

 しばらくして、二人が戻ってきた。

「おかえりなさい、どうだった?」

「私の方は、全然見つかりませんでした」

「イグさんの方は、どうでしたか?」

「俺の方は、ここからだいぶ離れた所に、大きな屋敷があってな……」

「屋敷?」

 ハルが首を傾げていると、イグが頷いた。

「そこにマサの気配がした」

「なら、早く行きましょうぞ!」

 ユキが興奮していたので、ハルが肩を叩いて落ち着かせる。

「待って、ユキ。二人とも帰ってきたばかりなんだから」

 そして、時計をちらっと見た。

「ちょうどお昼だし、行くのはご飯食べてからだね」

「むぅー……」

 すねていたユキだったが、昼食の時は上機嫌だった。

 機嫌なおるの、早いな……と、三人は呆れながら思った。

 昼食を終え、ハルたちはかほの家であろう、屋敷に向かった。

 ハルはユミに、ユキはイグに抱えられていた。

「あのー、イグ殿?」

「なんだ」

「なぜ俺の方は、横抱きではないのでござるか?」

「おや、姫抱っこの方がよかったのか?」

「ちっ、違うでござる!」

 ユキが慌てたので、落ちないように腕に力がこもった。

 それを見ていたハルたちは、吹き出しそうになっていた。

「イグさんとユキ、仲良さそうでよかった」

「本当ですねぇ」

 飛んでいるうちに、目的の屋敷が見えてきた。

「あそこに、マサが……」

 ハルには、まだ不安があったが、頭を振りまっすぐ屋敷を見つめた。

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マサ奪還作戦開始!! かほが住んでいる家は大きな屋敷なんだね〜!
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