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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部一年生
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第九十六幕 新人戦

 ──“数日後、ダイバース新人戦”。


 今月も少し経ち、いよいよ始まったダイバースの新人戦。今年の大会はこれで最後になって、後は来年だね。

 先日送別会をしたルミエル先輩達の顔に泥を塗らないよう、しっかりとしよう!

 練習はバッチリ済ませたし、チームワークも完璧だよ!


《さあ! 始まりました! “多様の(ダイバース・)戦術による(タクティクス・)対抗戦(ゲーム)”の新人戦! 将来のスター達による試合が行われます! ルールは通常と同じくチームによる団体戦! そして三日後には個々による個人戦となっております!》


「こ、個人戦!? そんなのあるんだ……」


「そういや言ってなかったかもな~。取り敢えず説明通りだ。新人戦は人数も試合数も少ないから、1vs1の戦いとかがあるんだ。と言うより、むしろそっちを主体と考えた方が良いかもな。トーナメント形式で個々の実力を確認する。団体戦じゃどうしても目立てない事があったりするからアピールする場としては結構重宝されるんだ。一、二年生の特権だしな」


「そうなんだ」


 どうやら新人戦には個人戦の部があるとの事。考えてみたら形的に1vs1になる事はあったけど、最初からそう言う戦いになる事は無かったもんね。

 私達みたいな人数が少ないところはまだしも、一、二年生でレギュラーになれる人は少ないだろうし、アピールポイントを示す為にもそう言うのがあるんだね。


《それでは入場を頂きます! 選手の皆様!!》


「「「ワアアアァァァァァッ!!」」」


 前までは世界的な試合を見ていたからか、心なしか声量が少なく感じる。そんな事は全然無いんだけどね。

 でもやっぱりスカウトの人とか有名企業の看板とか色々見える。原石を掘り当てるみたいな感じでも注目の的なのかもね。

 各種チームのプレートを持ち、開会式が数十分で終了。一回戦はすぐに開かれる。


《それでは一回戦、第一試合──》


 開戦の合図が起こり、試合開始。

 私達の試合は第五試合で結構後ろの方。それまで他のチームの試合を見て研究。流石に代表戦程の戦いじゃないけど、レベルは高いような気がするな~。

 そして私達の番もやって来た。


《それでは! あのチームがついにやって来ます! 高等部のルミエル・セイブ・アステリアは今年で卒業! しかし! その意思を受け継ぐ後輩達! 中等部の彼女達は、これからこの界隈に君臨する事でしょう! “魔専アステリア女学院”!!!》


「「「ワアアアアアァァァァァァァァァッッッ!!!」」」


「この瞬間は相変わらずドキドキだね~」

「またドキドキしてる。流石にもう慣れたでしょう」

「そう簡単に慣れるものじゃないよ~」


 団体戦が始まった。

 今日で行われるのは三試合。そこで好成績を収めれば晴れて次のステージへ。

 個人戦が三日後だから、今日からの日数で団体戦は全部終わる予定なんだね。参加人数は少ないけど、チーム数は相変わらず。大所帯。結構ギチギチな日程なんだね。

 因みに新人戦は団体・個人の両方。この一週間のうちに行われて、その成績次第で代表決定戦とかが決まるとか。都市大会が来月。代表決定戦が再来月。代表戦がその次の月……って感じになるみたい。思ったより長期に渡って執り行われるんだね。


《スタァァァトォォォッ!!!》

「「「ワアアアァァァァァッ!!!」」」


 そして開始。レギュラーメンバーの数が一人少ないだけでやる事はいつもと変わらないから結果だけ言えば、見事都市大会への切符は掴んだよ! しかもまだ私達の隠し玉とか新しく身に付けた魔法は使わず温存出来たの! これは大きなアドバンテージになると思う!

 この日から三日後、個人戦の方が始まった。


《さあさあ! 先日の白熱の団体戦は如何だったでしょうかァーッ!? しかァし! 新人戦はそれだけじゃない! 個々の見所個人戦! それが待ち受けています!!》


「「「ワアアアァァァァッッッ!!!」」」


 司会者さんの声と共にお客さん達が沸き立つ。

 ダイバース新人戦、個人の部。ルール自体はいつもの試合とあまり変わらず、人数やステージの広さが少し小さくなった感じ。自分の実力を発揮するだけだからこっちの方が楽~って人も居るんだって。まあボルカちゃんなんだけど。


《無論! 個人でも知力をもちいた試合はありますよォ~ッ! 知と力! 両方備わってこその一流のダイバースプレイヤーです!!》


 その場合は個人に向けたルールが適用されるのかな。全体的に縮小されているのは変わらないとして、単純な戦闘の一回戦を終えたら次は個人による迷宮脱出とか謎解きとかあるのかも。と言うか絶対あるね。うん。

 何はともあれ、個人戦の第一試合が始まった。


 トーナメント表を見ると私達は少し後。個人戦の都市大会まで行けるのは二位までの人らしいよ。ブロックごとで決まっていて、その中での一位と二位が晴れて都市大会へ。なるべくチームメイト同士は別ブロックになっているけど、それでも当たる事はあるからその時はその時だね。

 一つのチームが強過ぎると最終的な選手がそのチームの人達ばかりになっちゃうから、その辺も考慮してトーナメントは組まれるみたい。運営さんも大変だね。

 続々と試合が進んで行き、私の番がやって来た。


《さあさあさあさあ! 次なる試合はこの方々! まずは“魔専アステリア女学院”の新星! 前大会でも今大会でも持ち前の植物魔法による制圧と場の支配力を見せております! そう、この方、ティーナ・ロスト・ルミナス選手ー!!》


「「「ワアアアアアァァァァァァァァァァッッッ!!!」」」


 私の紹介が入り、会場が大きく盛り上がる。

 私だけじゃなくて他の選手達の時にも同様の盛り上がりを見せているから、やっぱり個人戦も人気なんだな~ってのが改めて分かった。

 相手選手の紹介も入り、私達は転移の魔道具でステージへ。個人戦は、一応ステージは限られているけど同時進行。だから観客の数はその時で変わるっぽいよ~。家族とかまだ試合が来ていないチームメイトとか色々。


 その中で私はそこそこ注目度が高いみたい。やっぱり表面上の人形魔法と植物魔法が珍しいからかな。

 何はともあれステージへ。今回の場所は雲の上。水蒸気とかで出来た乗れない雲じゃなくて、魔法で作られた綿みたいな雲。フワフワしてて気持ちいいけど、足の踏ん張りが利きにくくて少し動き辛いかもね。


「取り敢えず行ってみようかな。既に相手も潜んでいるだろうし、探索は任せたよ。ティナ」

『ウン……任セて!』


 少し感覚が戻ってきたような気がする。なぜかは分からないけど。何となく。

 なので私はティナと感覚を共有して辺りを見渡す。いつもは無防備になるから誰かに手を繋いで貰ったりしているけど、今回は相手も一人。そして私にはママ達の三人が居る。

 数の差では有利だよ!


「居た……南西から北上中……って私の方に向かっているんだから当たり前だよね。やる事は一つ!」


『フふ、任せて。ティーナ』


 ママに魔力を込め、植物を展開。雲の上に無数の木々が伸び、相手の位置を捉える。

 あの人はどんな力を使うのか。お手並み拝見!


「ウソでしょ……映像では何度も見返していたけど……このレベルの植物魔法を中等部の一年生が……!? ホントだったの!?」


 近くにはティナが居るから聴覚も共有済み。初見じゃないけど驚いているみたいだね。やっぱり目の当たりにすると違うのかな?

 でも驚きはそのまま隙に繋がるよね! 魔力からなる武器で植物は破壊していたけど、


「そーれ! 確保!」

「しまっ……!」


 ツタを絡み付かせて手足を絞め、体を固定させる。

 気絶させなきゃいけないんだけど、どうしよう。このまま締め付けて大事に至ったりしないかな……。いつもは締めた所でボルカちゃんが的確に意識を奪ってくれるけど、今回は私がやらなきゃだもんね。


「ご、ごめんなさい!」

「クッ……ま、参った。参りましたから~!」


 そう告げ、相手は転移の魔道具で控え室へ。

 個人戦は自己宣告でリタイアもありなんだ……と言うより、団体戦でもそうだったのかな? いつも相手がまいったて言う前にボルカちゃん達が倒していたから分からなかったよ。


《勝者! ティーナ・ロスト・ルミナスゥゥゥッ!! 持ち前の植物魔法で見事対戦相手の降伏を勝ち取りましたァァァ!!!》

「「「ワアアアアアァァァァァァァァァァッッッ!!!」」」


「あ、戻ってた」


 気付いた時、会場の方へ私は戻っていた。

 けどこの迫力……いつもはみんなが近くに居たから大丈夫だったけど、こうして見るとちょっと怖い。ママ達ともここじゃ話せないもんね……。


《では次なる試合は──》


 そして、その後にちょっとした紹介? インタビュー……って程でも無かったかな。

 とにかく私への話が終わり、今行われていた各ブロック別の試合が終了したのを見計らって次の試合へ移行する。

 私は第一試合を余裕を持ってクリア出来た。次の試合以降も頑張らなくちゃ! 謎解きとかは早さが重要。私が相手より早く答えなきゃだし、実質的に一人で考えなきゃいけないから大変かも。

 先にワクワクと不安をいだきつつ、改めてダイバースの新人戦が始まった。

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