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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部三年生
432/458

第四百三十幕 新生“魔専アステリア女学院”出陣

 ──“ダイバース新人戦”。


「よっ。観戦に来たぜ」

「やっほー!」

「まあ、暇だからね」

「乗り気だったじゃないですの」


「先輩方!」

「チーッス!」

「こら。サラ。態度が悪い」

「ふふん、私達の華麗なる勝利を魅せて差し上げますわ!」


 少し経ち、学院祭や体育祭より前に行われるダイバース新人戦。私達はディーネちゃん達……ううん。サラちゃん率いる新生“魔専アステリア女学院”の応援に来ていた。

 彼女達の実力なら地区大会、都市大会くらいは問題無く突破出来ると思うけど、やっぱり気になっちゃうよね。

 今の私達は選手ではなく観客。なので軽く挨拶を交わした後、指定された観客席の方へと行く。


「オイ、見てみろよ……ティーナ・ロスト・ルミナス及びボルカ・フレム。“魔専アステリア女学院”のメンバーだ」

「成る程な。推測するに、今年はもう終わったから新人戦を見学に来たんだな……!」

「それ以外で此処に来る理由はねーよ」


 席に着くや否や、私達は目立っていた。それは当たり前かもね。つい先月まで代表戦やってたんだから。選手用の観客席じゃないのもまた新鮮だね。

 だけど注目を浴びるだけで見学の邪魔立てしようって人は居ない。なので私達はちょっと人目を気にしつつ、なるべく試合に集中する。


「観客席からの様子はあまり分からなかったけど、こうなってるんだ。なんか新鮮な感じだね」

「そう言や、ティーナはほとんど観客席から見た事は無かったもんな。アタシもだけど、ティーナよりは多い。なんなら地区大会はアタシら全員がそうじゃないか?」

「それはそうですわね。基本的に地区大会は突破しておりましたもの」

「そうね。だけどそんな大きく変わるって事もないわ。元よりこのスタジアムはプロの試合でも使われているから、余程の場所じゃなけりゃ環境が悪いって事にはならないわよ」


 地区大会の観客席。私達は、自分で言うのもあれだけど実力者。なので此処で見る機会は無かった。

 だけど変わらず快適であり、試合に集中出来るような作りだね。


《それでは! “多様の(ダイバース・)戦術による(タクティクス・)対抗戦(ゲーム)”! 新人戦を開始します!》


「「「わあああぁぁぁぁっ!!」」」


 司会者さんの声と共に会場も盛り上がりを見せる。

 代表戦に比べたら声量は少ないけど、沸き立つ感覚は伝わってきていた。

 まずは選手の入場。今まではボルカちゃんを筆頭に私達が前列に居たけど、今回からはサラちゃんを筆頭に進む形。緊張の色は見えておらず、前回王者として堂々とした入場だった。


《それでは選手の皆様は──》


 それから各チームの紹介を含めた開会の言葉を終え、選手達は各々(おのおの)の控え室に戻る。試合が始まる前の時間は観客にとっても自由時間。トイレに行ったり食べ物を買ったりそれぞれが試合に備えていた。

 トイレとか買い物は観戦中にも行けるけど、やっぱり試合はじっくり見たいもんねぇ。


「ティーナ。ビブリー、ルーチェ。食い物とか買いに行こうぜ~」

「うん、ボルカちゃん」

「相変わらず品の無い言い方。……いいけど」

「お供しますわ!」


 観戦の心得……と言うものは別に無いけど、より快適に見れるならそれに越した事はない。

 なので一度会場の購買エリアに向かい、私達はその準備をする。居なくなったら席が取られちゃうかもしれないので、ティナやゴーレムを見張り役として座らせているよ。


「ティーナ・ロスト・ルミナスの人形だ」

「ゴーレムも居るぞ」

「此処で観戦してんのか~」

「今までは試合で見ていた人達が居るなんて不思議な気分だね~」


 私の……お人形も世界的には知れ渡っている。ゴーレム達も然り。なので地区大会の観戦に来るような人達は全員に伝わるから席の心配は無いよ。

 そんな感じで会場を進み、飲食コーナーへ辿り着いた。


「これとこれとこれくださーい!」

「毎度~。よく食べるねぇ。ボルカ・フレム選手」

「育ち盛りなんで! それと来年まで選手じゃないッスよ~!」

「ハッハ! そうかいそうかい! そうだった!」


 沢山の食べ物を購入するボルカちゃん。店員さんにも顔を知られてるね~。一般のお客さんも知ってるくらいだから当然かもしれないけど。

 そんな感じで色々買い、私達は観客席に戻った。


「こんなに沢山食べてお昼食べられるの? と言うか、まだ朝食から一時間も経っていないような……」

「だからガッツリした物じゃなくてお菓子とかデザート類だ。甘い物は別腹だからな!」

「流石にそんなに入らないような……ボルカちゃんはイケるんだろうけど」

「成長期だからな~」


 確かにボルカちゃんの成長率は目に見張る物がある。体格とかそう言うものじゃなく、魔導操作とか身体能力とか。ちゃんと背も伸びてるけどね~。

 沢山食べるのは成長と……炎の使い手だから燃費が良いのかもね。


「お、試合も始まるぞ」

「うん」


 私が買ったのは飲み物くらい。口に含んで飲み込み、試合へ集中する。

 ディーネちゃん達なら心配は要らないと思うけど、新生チームでの組み立てがどうなるか見所だね。

 ダイバース新人戦が始まった。


──

───


「いや~。圧勝だったな。流石だぜ」

「単純な戦闘から謎解き。ちゃんと全部上手くいったね~」

「まあ、新生チームの不安は他のチームも同じですものね。連携なら散々やってきたから問題無さそうだわ」

わたくし達の人数が少ないのもありましたけれど、後輩ちゃん達は代表戦でも試合に出ていましたものねぇ。実力や経験も他のチームより積んでおりますわ!」


 午前の部が終わり、私達はお昼を食べながら感想を話し合っていた。

 考えてみれば元々人数が少なかった私達。実践経験は他の新しいチームより多いね。

 この調子なら地区大会は問題無さそう。他の試合も見ていたけど、相応の実力者揃いって感じかな。

 午後の試合も楽しむよ~。


「“水球”!」

「そいっと!」


 次の試合も勝利を収め、その次も勝ち進んだ新生“魔専アステリア女学院”。ディーネちゃん達二年生もさることながら、ムツメちゃん達一年生も活躍を見せていた。

 余裕を持って初日は突破。それから後日も勝利を収め、新生“魔専アステリア女学院”は地区大会を優勝で終えるのだった。

 それと個人の部でもみんなが勝ち上がったよ。都市大会からはチームメイト同士の戦いも増えるけど、誰が勝つかは分からない。都市大会はほんの数日後。このままの調子で勝てると良いね。



 ──“ダイバース新人戦・都市大会”。


《さあ、此度もやって参りました! “多様の(ダイバース・)戦術による(タクティクス・)対抗戦(ゲーム)”都市大会! 地区大会を勝ち抜いた強者達が──》


 都市大会が始まり、地区大会より広い会場に赴く。

 設備に大きな違いは無いけど、観客数は明らかに多くなっているね。ボルカちゃんは早速食べ物を購入しており、私達は観戦を楽しむ。


「へえ、あの選手の実力は高いな~」

「こうして見ると他のチームもちゃんと特訓してるってのがよく分かるね~」

「そうね。鍛えればそれに応じて魔力や能力が変わるこの世界。他の人達の努力の方向性が窺えるわ」

「最も、その中でもずば抜けてるのは私達の後輩ちゃんですけれどね!」


 選手の立場ではなく、観客目線で見てみるとまた新たな発見がある。

 努力の形跡。各チームの得意分野。それこそ研究自体は録画された映像から出来るけど、こうして違うチーム……研究の時はあまり注目していない敗れるチームとかの戦い方を見ていると明確に弱点とかも分かってくる。

 してない訳じゃないけど、これからは私達の試合でも自己分析をしっかり取り入れた方が良さそうだね。大会の優勝は出来たけど、個人戦だとまだまだ粗かったりつたない部分もある。新人戦以外で個人の部が無くても、1vs多数なんてザラにあるから自分をより深く知っておいて損はしないよね。


《それでは試合……スタァァァトォォォ━━━ッ!!!》

「「「わああああぁぁぁぁぁっ!!」」」


 地区大会より増えた声量。都市大会、団体の部が始まった。


───

──


《試合終了ォォォ━━━ッ!! “魔専アステリア女学院”!! 無類の強さで都市大会、団体の部を突破しましたァァァ━━━ッ!!!》

「「「わああああぁぁぁぁぁっ!!」」」


 そんな団体の部は無事に突破する。やっぱり都市大会でもみんなの強さは上澄みだね。心配はしていなかったけど、この数日間でほとんどストレート勝ちだった。流石だね。

 そしてそんな実力者揃いの後輩チーム。問題点があるとしたら、そんな実力者同士が執り行う、確実に誰かは上がれない個人の部について。それももう数日後。その時が来ようとしていた。



 ──“ダイバース新人戦都市大会・個人の部”。


昨日さくじつまでは白熱した団体戦でしたが! 今回からは個人の部へと移行します! 団体戦が苦手でも個々が優れている者多数居る筈! そんなアナタ方の真価を今発揮する時です!!》

「「「わああああぁぁぁぁぁっ!!」」」


 都市大会団体の部から後日、個人の部が開始された。

 地区大会では運良く誰も当たらなかったけれど、此処では代表決定戦に行ける規定人数からして、どんなにくじ運が良くても誰かは脱落してしまう熾烈な争いが繰り広げられる。

 みんなに勝って欲しいけど、果たしてどうなるのか。試合が始まる。


「はあ!」

「やあ!」

「だあ!」

「はっ!」


 一回戦はみんなが突破した。

 やっぱり個々の実力も優れているね。ちゃんと変わらない練習量をこなしているんだ。

 このままの調子で二回戦、三回戦と順調に勝ち上がっていく。此処まで順調でも、そろそろ他の子達がぶつかり合う頃合い。それは今──


《──続いての試合はァ! 此処まで破竹の勢いで勝ち上がっていた“魔専アステリア女学院”同士の対決となりまァす!! 個人の部、初日の最後を飾るメンバーはこの選手達だァ━━ッ!!!》


「私達が大トリみたいだね。ムツメちゃん」

「そ、そうですね。ディーネ先輩……!」


 ディーネちゃんとムツメちゃん。

 実は二人とも気が合うのか一緒に居る事が多く、戦力としても唯一無二の魔力量と無効化能力で新生“魔専アステリア女学院”の主力を張っている仲。

 だけどムツメちゃんの身体能力は魔力を使わない常人と同じであり、単純な戦闘力では遥かに劣る。そこをどう埋めるかが勝利の鍵であり、ディーネちゃんとしては如何に無力化されず攻撃を当てるかが鍵。見逃せない戦いだね。


《それでは! ディーネ・スパシオ選手vsムツメ・ノーマ選手!! スタァァァトォォォ━━━ッ!!!》

「「「わああああぁぁぁぁぁっ!!」」」


 そして二人の試合が開始される。今回のステージは様々なギミックがある“船ステージ”。

 ダイバース新人戦、新生“魔専アステリア女学院”同士の対決が始まった。


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