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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部三年生
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第四百二十九幕 中等部三年目の二学期開始

 ──“新学期”。


「おはよー」

「おっはー」


 朝に飛び交う他の生徒達の挨拶。とても長く思えた長期休暇が終わり、また学校が始まった。

 今年はダイバースでも色々あったし、本当に波乱万丈なお休みだったね~。と言うか私達は休めたのかな? そもそも元凶も私……。

 何はともあれ、始業式として私達は先生のお話を聞く。今日は授業らしい授業も無いからのんびり出来るね。部活動も終わったので後は来年の高等部へ向けた準備くらいかな。


「ティーナ。終わったし遊びに行こうぜ~」

「うん。ボルカちゃん。けど何処に行くの? そんなに時間は無いけど」

「テキトーにブラブラするくらいだ。休日以外は門限もあるしな~」


 ボルカちゃんに遊びに誘われ、私は行く事にした。

 同じくしてルーチェちゃんとウラノちゃんも近くを通る。


「お、丁度良いや。ビブリーにルーチェもブラブラしようぜ~」

「断るわ」

「良いですわね。丁度私達も暇しておりましたもの!」

「私は行くなんて一言も……」

「んじゃ、近場のカフェへレッツゴーだ」

「ですわね!」

「はぁ……しょうがないわね……」


 二人とも快く? 受けてくれた。

 なんだかんだで付き合ってくれるウラノちゃん。遊びに誘うたびにそう言ってるかも。結局ウラノちゃんは優しいんだよね~。

 そんな感じで私達は近くのカフェに入り、紅茶とクッキーやケーキを頼んでティータイム。話す内容は近々あるイベントについて。


「そろそろだな。後輩達の新人戦に学院祭や体育祭に職場体験」

「二学期は相変わらずイベント事が目白押しだもんね~」


 新人戦、学院祭に体育祭。そして私達中等部三年生は職場体験。

 二学期は一月ごと、なんなら一月の中で複数の学校行事がある。今から待ちきれないね。


「新人戦はまあディーネ達を信じるとして、アタシ達は自分等のやる事だ。今年はどんな出し物と劇をするんだろうな~」

「一昨年が“男装喫茶”と“蕾のお姫様”。去年が“お化け屋敷飲食店”に“魔導パフォーマンスショー”だったね」

「ま、飲食店率は今年も高そうだな~。そうなるかは分からないけど、候補にはメッチャ挙がりそうだ」


 去年や一昨年のおこなった内容から、飲食店の可能性は高いんじゃないかなーと話し合う。

 そこに、ウラノちゃんはもう一つの事について話す。


「学院祭とか体育祭とか学校行事も良いけれど、今年の一番大きなイベントは職場体験じゃないかしら。特にティーナさん。貴女に宛はあるのかしら? 結構人見知りする方でしょう」


 それは職場体験について。

 ウラノちゃんの指摘通り、親しくなった人達となら結構話せるんだけど、“職場”って事は知らない人も沢山居るという事。なので上手くやれるか分からない。


「うーん……それはそうだね。許可さえ降りれば良いからやりたい所でやれるかもしれないけど、私が出来そうな仕事ってなんだろう?」

「ティーナって割と器用だし大抵の事はやれるんじゃねえの?」

「それについては間違いないわね。問題点は人間関係よ。私達は貴女を知ってるけど、だからこそ心配だわ」

「確かにそうですわね。ティーナさんなら職種問わず大抵の事はやれると思いますけれど、殆どの仕事では人間関係が必要ですものね」

「だよねぇ」


 懸念ポイントは人間関係。

 私のパパのお仕事を参考にするとして、様々な人と関わりを持っているのは間違いない。

 世界各国を飛び回ってお家にもほとんど帰れない状態であり、将来的にも私が受け継ぐとかじゃなきゃそのお仕事に就く事は無さそうだけど、初対面の人相手にどこまで踏み込めるかな……。


「それについてだけど、そう言うビブリーは何処に行くか決めてるのか? 将来何になりたいとか含めて」

「将来的には安定すれば良いわ。深くは求めない。職場体験は図書館とかにでも行きましょうか」

「完全に趣味に割り切ってんな~。ま、将来ってもまだ不確定だからな~」

「そう言う貴女はどうなのかしら。ボルカさん」

「アタシもまあ楽しい所に行きたいな。将来的には何すっか全然考えてねーけど」

「相変わらずですわね。私は将来的に家を継ぎますので……職場体験は人脈を広げやすい所に行きましょうか」

 

 ボルカちゃんは楽しさ重視。ウラノちゃんも実はそんな感じ。ルーチェちゃんは将来を見越して。決まった訳じゃないけど、みんなちゃんとそれぞれの目標は定めてるね。

 本当に目標が無いのは私くらいかな。楽しさか、将来性か。


「私はやっぱり特に無いかも」

「それなら行き着けの雑貨屋に行けば良いんじゃないか? よく手伝いとかしてるし、馴染みの店だから常連とかも知り合いが多いだろ」

「あ、そうだね。確かに店主さんにも来てみたらどうかなって言われた気がするからアリかも」


 私が求めるのは雰囲気の良さ……かな。ボルカちゃんにも近いけど、重視するのはそれだね。

 それなら馴染みのお店に行けば大体オーケーかも。


「これで職場体験については良さそうだな。やっぱ学院祭なら──」

「スムーズに移行するわね。まあいいけど。学院祭は基本的に多数決になるから周りを説得させる術が一番重要になるわね」

「今年は何を案に出しましょうか。楽しみですわ!」

「アハハ……議論を純粋に楽しんでるんだね。ルーチェちゃん」


 学院祭に職場体験。体育祭は学校側が決めるから良いとして、自分達で選択するものは考えておかなきゃね。決断力は大事なこと。

 話しているうちに紅茶とお茶菓子が運ばれ、私達はのんびりと過ごした。



*****



 ──“数日後”。


「それでは、今年の学院祭に置ける出し物の決議会談を始めたいと思います」


 少し経ち、学院祭の出し物についての話し合いが行われる。

 既に周りは盛り上がりを見せており、今か今かと話し合いたい欲求が見えていた。ルーチェちゃんもそうだったけど、もはや議論が本番だね~。


「それではアイデアがある方は提案して下さい」

「はい! “プラネタリウム”!」

「“宝石展示”!」

「“フレンチ”!」

「上質な料理でおもてなししましょう!」

「“絵画展”!」

「“美術館”!」

「“博物館”!」

「“展覧会”!」


 なんか年々規模が大きくなっていると言うか、うん。思ったより飲食店は少なかったね。

 中等部は最後になるから、みんな大きな何かをしようって気になってるみたい。

 一応他にも“喫茶店”とか“お化け屋敷”とか定番もあったけど、その全てに“高級”が付きそうな感じ。


「それではこの中から選びましょう。提案者は前へ。自分の行う事についてのアピール、及び将来性や如何様な感性が鍛えられるか等のメリットを発表してください」


 そして当然、ただ案を出して多数決という訳じゃない。クラスメイトは全員審査員となり、発案者の意を汲んで票を入れる。それが伝統的な在り方。

 学院祭も授業の一貫。なのでそれによって生じる教養の行く末について話し合う必要があるの。

 そんな感じで去年や一昨年もおこなったような会議があり、最終的に選ばれたのは──


「それでは私達Ⅲ-Ⅰ(3-1)の出し物は“創作展示会”となりました」

「「「意義無ーし!」」」


 これで出し物は決定。今回は展示系の案が多かったので、自分達で手作りしてそれを飾ると言う結論に至った。

 勿論それについて手を抜く事はない。いずれも上質な素材をもちいたプロにも比毛を取らない展示物となる筈。私も頑張らなきゃ!


「続きまして、今年執り行う催し物についての話し合いを行います。案のある方は挙手の後に発言してください」


 続いて決めるのは劇とかの出し物。

 これは衣装は本格的にするけど、議論とは言えやりたい事をやるだけだから出し物よりは白熱せずに済んだりする。基本的にはみんなが知ってる物語だもんね。

 早速他のクラスメイト達は挙手と同時に発案する。


「“恋の子守唄”!」

「“初恋の夏”!」

「“愛気道”!」

「“小鳥の鳴く丘の上で”!」

「“闇に恋する女神様”!」

「“獅子は兎に恋をする”!」

「“結局私で良いのかよ”!」

「“最終選択恋模様”!」


 全体的に色恋的な物語が多く挙げられてるね。そう言うお年頃なのかな? 同年代だけど私はまだあまりピンと来ないや。

 何はともあれ、ボルカちゃんのように“お前がやらなきゃ俺が狩る”……みたいなバトル物を提案する人も居るには居るし、去年やった“魔導パフォーマンスショー”のように完全オリジナルを提案する人も居る。

 そんな中で選ばれた物はこれ。


「それでは多数決の結果、“お姫様と騎士王子”をする事になりました」

「「「了解でーす」」」


 さっきに比べるとちょっと不満の色が見えてるクラスメイト達。

 多数決だから大多数はこれに投票したんだけど、やっぱり思うところはあるみたい。出し物みたいに要素を織り混ぜる事は出来ないし、どうしても譲れないところがあるんだね~。

 何はともあれ、これで私達が学院祭でする事ら決まるのだった。


「それでは皆様、学院祭まで準備を頑張りましょう」

「「「はーい!」」」


 そして話し合いが終わる。

 学院祭の前にはディーネちゃん達のダイバース新人戦もあるし、まだほんのちょっぴり先の話だね。


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