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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部三年生
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第三百六十九幕 修学旅行・初日の終わり・二日目

 ──“数時間後”。


 お城を見た後、私達は次の場所も記録。修学旅行は観光だけじゃなくてそこで何を学んだかも大事なことだからね。

 そんな感じで今日一日の日程は終了。集合地点にてみんなで集まり、貸し切りの宿泊施設へと入った。

 広さはそれなり。さっきのお城よりは流石に小さいけど、一部屋一部屋は十分な大きさだった。

 荷物は既に従業員の人が運んでおり、私は部屋のソファーに座る。


「ふぅ。楽しい一日だったね~。後は夕食にお風呂に班長は報告会と、まだやる事はあるけど自由に過ごせるよ」

『ふふ、そうね。お疲れ様。綺麗な街だったわね』

『私も飛び回って見たかった~』

「ダメだよ~。お人形のフリをしなきゃいけないんだから。一応私の魔法って事になってるから、日常的には自由に動けないよ~」

『そうよ。ティナ』

『うーん、残念』


 本来は生徒一人一人に割り振られた部屋を使うんだけど、私にはママとティナが居るから一人じゃない。

 するとそこにノックの音が。同時に声も掛かる。


「ティーナ~。メシ行こうぜメシ~!」

「あ、ボルカちゃん。うん、今行くー」


 声の主はボルカちゃん。夕御飯を食べに行くんだって。

 お腹も空いたし断る理由は無いので私もその方に向かい、途中でルーチェちゃん、ウラノちゃんにカザミさんと合流した。


「夕食は自由らしいですわ。何を食べましょう」

「なんだかいつもと変わらないわね」

「良い食材を使っているけど、品質は“魔専アステリア女学院”とあまり変わらないからかな」


 ルーチェちゃん、ウラノちゃん、カザミさんが話す。

 自由って事は選べるビュッフェ式って事かな。どれも“魔専アステリア女学院”並みに良い食材を使っているとか。シェフ達の努力がうかがえられるね。

 食堂に行くと既に同学年のみんなが集まっていた。これは結構並びそうだけど、学院の食堂も似た感じだから慣れてる方。

 私達は並んで食事を摂り終え、その後にお風呂に入って今日の感想を言い合う。


「いや~。何事も無く一日目を終える事が出来て良かったなー」

「そうだねぇ。やっぱりみんなと居るのは楽しいし、色んな学びを得られて充実した一日だったよ~」

「修学旅行は二泊三日。早くも半分が過ぎたって感じだぜ」

「まだ気が早くないかな? 確かにそんな感じがするけど」


 白いお湯に浸かり、髪から水滴を垂らし腕を撫でながら話す。

 あながち間違っていないんだけど、明日も一日あるからまだまだ楽しめる。でも今日がこんなに早く感じちゃうし、間違いなく明日もそんな風に思っちゃうよね。


「明日は個別班じゃなくて全体行動中心だっけか。美術館とか舞台を見に行くんだったな」

「そうだね。今日も色んな彫刻は見れたけど、本格的な場所に行く事になるんだ」


 明日は学年全員での行動となる。美術館などの施設を貸し切り、それの見学って感じかな。

 美術館と舞台だけで一日を終える訳じゃないよ。その後にも見て回る場所は沢山ある。あくまでメインの一つ一つってだけ。

 ボルカちゃんは伸びをするようにお風呂から腕を出した。


「アタシに美術館や舞台は合うかな~? ぶっちゃけあまりそう言った感性に鋭く無いし。知識としてはある程度知ってるけどな」

「きっと楽しいと思うよ~。大騒ぎは出来ないけど、他のお客さんは居ないから縛られる感覚も無さそうだし」

「それはそうだな。美術館はともかく、舞台なら代わり映えするから退屈しないだろうし……けど問題点は修学旅行後に出される感想を纏める課題だぜ。“絵がスゴく上手だと思いました。”じゃダメだろ?」

「そりゃあね~。どんな風に見えたとか、具体的な事を書かなきゃ。その辺もボルカちゃんは得意分野なんじゃないの?」

「まあ、初等部的表現なら花丸貰えると思うけど、それを考えるのがまた大変なんだなぁ」

「うーん、それじゃ美術的……芸術的な感じに表現するとか?」

「“スゴい上手い絵に感銘。思い描いた高い期待をひょいと粉砕”」

「韻踏んでもダメだよ~」


 明日の予定も目白押し。思えば夜までずっと行動している訳だもんね。活動時間だけで言えばいつもの学校より遥かに多いや。

 でも楽しいのは間違いない。寮での生活とやってる事はあまり変わらないんだけど、修学旅行だと特別感があるもんね。


「ま、課題は後の事。今考えても仕方ないな。取り敢えず明日も頑張ろうぜ」

「うん!」


 何だかんだで十数分は経過している。なのでお風呂から上がり、自室へと戻った。


「──それで、何で私もティーナさんの部屋に?」

「そりゃ宿泊なんだからみんなで集まるのは定石だろ~。話そうぜ~!」

「そんな定石聞いた事無いんだけど」

「先生方が見回りに来た時は気を付けましょうね!」

「既に声が少し大きいよ二人とも」

「アハハ……」

「はぁ……みんな乗り気ね……」


 戻ってから数分後、班メンバーのボルカちゃん、ウラノちゃん、ルーチェちゃんにカザミさんが部屋に集まった。

 ボルカちゃん達とはプライベートや部活動繋がりでよく遊ぶけど、カザミさんはあまり無いから新鮮~。

 クラスでは仲が良いんだけど、部活動の日程が決まっている私達とカザミさんの都合はイマイチ合わないんだよね~。だからこの感じがなんか良いかも!


「まあこの際それはいいとして、何を話すの?」

「そりゃもう何でもないただの雑談だぜ。話題は尽きないからな!」

「もう数年間居るのによく尽きないわね……」


 夜はみんなでお話会。私とは三年間、ボルカちゃん達は初等部からだから九年くらいだもんね。

 それで話題が尽きないのは流石のボルカちゃんだ。


「そんじゃ、眠くなるまで話そうぜ~」

「それではダメでしょう。怒られるわよ」


 そしてお話の続きへ。睡眠時間が減るとかの理由で朝までクラスメイトと一緒はダメだからね。眠くなるまでは出来ないや。

 でもそれなりの時間みんなで話、途中で班長会議や報告会とかの理由でボルカちゃんか抜けたりもして夜が過ぎていく。

 修学旅行一日目が終わるのだった。



*****



 ──“修学旅行・二日目・美術館”。


 修学旅行の二日目。私達は美術館に来た。

 身支度や朝御飯を終え、“魔専アステリア女学院”の中等部三年生一同は美術館に来ていた。

 まだ朝も早い時間帯。でもだからこそ落ち着く雰囲気の館内は静かでピッタリだね。


「でっけぇな~」

「初等部並みの感想ね」

「アハハ……昨日言ってた通りだね」


 美術館は神殿のような場所であり、かつて実際に使われていた所なんだって。

 そこの入り口にある大きな彫刻を見てボルカちゃんは懸念していた通りの感想を言っていた。

 ここは歴史館の役割も担っており、美術品を通してこの国の在り方も知る事が出来るの。


「流石は世界的に有名な美術館。入り口から綺麗な造りだね~」

「そうね。細部の拘りや職人が何を思ってこれを造ったのか。見てるだけでその意思が伝わってくるわ」

「アタシ的には石彫るの上手ぇな~器用だな~程度の感想しか出てこないな」

「それもまた感性ですわ」


 入り口の彫刻に感動を覚えながら館内に入り、そこの作品に目を通す。


「スゴい荘厳な絵画……」


「かつての英雄の戦いを描いた物ね。多元宇宙、存在する物から存在しない物まで、読んで字の如く全ての次元を超越して巻き込んだ一人の反逆者との戦争よ」


 一番最初に目に付いた作品は、英雄の最後で最大の戦いを描いた物。

 多分この美術館で最も偉大な作品。それを入り口に飾る事でお客さん達は一気にこの空間に引き込まれる。私達もそうだった。

 しばらく絵に見惚れ、ハッとして次の場所に向かった。その先では様々な作品が目に入る。

 入り口の“英雄の戦い”から始まり“英雄と支配者”・“神の王”・“侍の国”・“英雄の旅路”・“神々の領域”・“魔王”etc.一部は他国やこの国の王様関連の物もあるけど、英雄関連が大半。


「やっぱり英雄の時代を想像して描かれた物が多いね」

「一大イベントだしな~。やっぱり描く人は多いんだな」

「そんな単純な事ではないでしょう。けれど、目撃者は今のこの世界に居ないから英雄関連の絵画が全部妄想の域を抜けないのは間違いないわね。どれも英雄の時代より後に描かれた作品ばかりだわ」


 確かに全部が英雄の時代より後の作品。保存の魔道具を思えばそれより前の物があってもおかしくないけど、それ程までに英雄単純は印象的だったんだね。

 それ以外にもかつての魔法やかつての人々の暮らしなども描かれた作品がある。多種多様で、午前中いっぱいの時間を使っても制覇する事は出来ないかも。

 その考え通り、回り切るより前に時間が来てしまった。後はプライベートで来るしかなさそうだね。


「っしゃあ、メシメシ~」

「下品よ。相変わらずの言葉遣いね」

「そんだけ楽しみなんだ!」


 お昼の時間になり、ボルカちゃんは嬉々として昼食を摂る。場所は私達も同じく、みんなで食べる感じ。

 後は午後の時間と明日の午前中。丁度一日くらいで修学旅行は終わりかな。

 充実した修学旅行。それも後半へ差し掛かるのだった。


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