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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部二年生
285/457

第二百八十四幕 ダイバース新人戦・都市大会・チームの部・決着・個人の部・開始

 ──“医務室”。


「……!」


 意識が覚醒し、私は医務室で目覚めた。

 まずは体調の確認。既に痺れは無くなっており、痛みも感じない。

 戦っている最中も思ったけど、傷自体は軽傷だから完治したみたいだね。

 そして気になる結果の程はと言うと、


「すぅ……すぅ……」

(エメちゃんが居る……私達の戦いは引き分けって事かな)


 少なくとも私とエメちゃんの戦闘は引き分けたと考えて良さそうな雰囲気。

 それについては良かったかな。私だけ離脱して相手の戦力を削れなかったら大変だったから。


「結果はどうなったんだろう」


 周りを見渡し、モニターへ視線を向ける。どれくらい眠っていたかは分からないけど、決着が付いていてもおかしくないよね。


「オイーッス! ティーナ! エメ! 居るか~?」

「あ、ボルカちゃん!」

「むにゃ……?」


 するとそこに、ボルカちゃん達がやって来た。

 その騒ぎでエメちゃんも目覚める。と言うか、みんながやって来たって事は……。


「試合が終わったんだね! どうなったの?」

「ああ。アタシ達の勝利だぜ! ティーナとエメが離脱してからすぐに決着が付いたんだ。んで、表彰式が終わって今に至る」

「そっか~」

「みんな負けちゃったんですね。残念だけど仕方無いです」


 どうやらボルカちゃん達は見事に勝利を掴んだみたい。流石だね! エメちゃんも強かったし、良い決勝戦だったんじゃないかな!


「じゃあ後は個人の部だけになるね。個人の部で当たったら今回みたいに相討ちの形じゃなくて、きっちりと勝利を掴むよ! エメちゃん!」

「私もそのまま返すよ。ティーナちゃん。最後に降り注ぐ樹を受けるまでは意識保ってたもん!」

「あちゃー。やっぱり危なかったんだ。それに、個人の部で今回みたいな結果なら私が負けちゃってたし、もっと頑張らなきゃ!」

「私も!」


 これでチームの部、団体戦は終了。

 今回はみんなが居たから勝てたけど、今話した通り個人の部じゃこうはいかない。気を引き締めて行かなきゃね。

 団体戦が終わり、私達はそれぞれ帰路に付くのだった。もちろんみんなでご飯は食べて帰ったよ!

 でも、個人の部はすぐに始まるから常に準備はしておかなきゃね。



*****



 ──“ダイバース新人戦・個人の部”。


《さあ皆様!》


 次の日、今度は個人戦の為に私達は集まっていた。

 司会者さんの言葉が入り、団体戦より試合数が多いのですぐにでも開始される。



 ──“個人戦・一回戦~三回戦”。


「そーれ!」

「ぐはあ!」


「これは……ここ!」

「くっ……」


「見ーっけ!」

「先を越された……!」


 そして初日の試合は、一回戦から三回戦までストレート勝ちを決める事が出来た。

 都市大会も難所が多いけど、気配を読める人の少なさや魔法の範囲等々によって常に優位を取る事が出来、結果的に勝利を収める事が叶ったの。

 ボルカちゃん達やエメちゃんも順調に勝ち星を重ね、みんなが初日を突破する。



 ──“個人戦・二日目・四回戦~六回戦”。


「それそれ!」

「なんと……!」


「よいしょっと!」

「んなっ……!」


「これで終わり!」

「此処に来て……!」


 二日目の試合。それも三つが行われ、ストレート勝ちした。

 このレベルまでならまだ余裕を持って勝利を収められるね。個人戦だと数の有利を取れる私達が地味に有用なんだ。

 一人に集中していても割り込まれる事は無く、逆に囮や陽動で隙を作る事が出来る。

 有象無象の量産型じゃなくて一つ一つが強い力を持っているから相手も無視出来ないんだよね。

 それもあり、私は順調に勝ち進む事が出来ている。ボルカちゃん達も全員が上り詰めているね。

 トーナメントを見てみたところ、どうやら私のブロックで友達と当たる事は無いみたい。それは幸い。心置き無く勝利を重ねる事が出来るよ。


 ──……そう、あくまでも私のブロックでは。



 ──“三日目・準々決勝”。


《ゲーム終了ォォォッ!! 勝者はティーナ・ロスト・ルミナスゥゥゥッ!!》


 三日目。つまり最終日は準々決勝、準決勝、決勝と順を追って行われる。

 昨日も言ったように私のブロックに友達や知り合いは無し。このまま調子をキープ出来れば代表決定戦入りはほぼ確実。

 問題は、今回も私以外のみんな。


《さあ!! 盛り上がりを見せる“多様の(ダイバース・)戦術による(タクティクス・)対抗戦(ゲーム)”!! 個人の部!! 次のカードも注目の組み合わせ!! ボルカ・フレムvsウラノ・ビブロスだァァァ!!!》


「「「どわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」」」

「「「ウオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォッッッッッ!!!!!」」」

『『『グギャアアアアアアァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!』』』

『『『キュオオオオオオオォォォォォォンンンンンンンッッッッッ!!!!!』』』


 ダイバース新人戦、個人の部準々決勝。対戦の組み合わせはボルカちゃんとウラノちゃん。

 記憶の中じゃ二人が公式大会で戦った事はない筈。実力も近く、どちらが勝つか分からない。と言うか友達同士の試合は毎回そんな感じだよね。

 素の身体能力や魔力センスではボルカちゃんに分があるけど、手数や物事の観察力はウラノちゃんに軍配が上がる。

 そしてそれを埋めるであろう運も二人は持ち合わせている。目が離せないね。


《それでは、スタァァァトォォォ!!!》


 そして二人による試合が始まった。



*****



 ──“準々決勝・一掃ゲーム・森林街ステージ”。


「……さて、相手はビブリー。こりゃ手強いな」


 今回のステージは森林街。なんの事やらと思われるかもしれないから説明しておくと、森林街だ。

 別にふざけてる訳じゃない。樹をそのままいたような建物が街の形を作っており、自然に囲まれた場所。


 そして今回のゲームは一掃ゲーム。ルールは魔獣がこの場所に放たれ、時間内に倒すとポイントを獲得するシンプルな物。対戦相手を倒すとより大きなポイントになるので優先的に狙うのはあり。

 でもプレイヤーが一人になった時点で終了だから、時間制限ギリギリまで稼いだりある程度稼いだら倒しに行くとかの戦略を練れる。

 ま、やる事は変わらないけどな。


「まずは一通り稼いでいくか~」


 何はともあれ魔獣を倒してある程度のポイントを稼いでいく。

 ビブリーも早速行動に移ってるだろうし、アタシが気配を読んで一直線に狙ったとしても到達するまでの間にどれくらいポイントを取られるかも分からないしな。備えはしておかなきゃならない。


『『『ガギャア!』』』

「居たな~。更に群れだ」


 炎で加速し、魔獣達を見つける。沢山ゲット出来る群れなのはラッキー。

 一気に片を付けんぜ!


「そらよっと!」


 呪文を言うまでもない。群れへと入り込んで炎剣を振り回し、殲滅。魔力からなる魔獣狩りのゲームだから良いけど、本物の群れだったら堪ったものじゃないな。

 アタシとしてもゲームだから嬉々として生き物を狩れんだ。


「そーら!」

『『『…………!』』』


 遠方の魔獣は炎魔術で焼き尽くす。

 これで一気にポイント獲得。もう少し集めたらビブリーの気配を追うか。

 魔獣にも気配はあるからそれを追えば簡単に見つけられる。アタシが逆にモンスターっぽいな。


「──こんなもんか」


 それから数分。この辺りの魔獣はゲーム名通り一掃した。

 ビブリーの方も大分やってるだろうけど、そろそろ仕掛けてみっか。


「気配は……向こうだな」


 ビブリーはおそらくアタシの気配を読み取れない筈。だから受け持ちって感じ。

 てな訳でアタシが攻めに行ってやるか。

 炎で加速し、森林の住宅街を焼き払いながらそちらへ到達した。


「……来たみたいね」

「気付いていたか! ビブリー!」

「あんなに派手に燃やしていたら嫌でも気付くわよ。なんなら魔獣を倒している時点で大炎上させているもの」


 気配は読めずとも、アタシの事には気付いていたみたいだ。ま、ビブリーが言う通り派手に燃やしたしな。

 向こうから攻めて来るのを待つのも良かったけど、アタシの方が先に行動を起こしたしな。一気にケリを付けんぜ!


「そらァ!」

「既にそこは私の罠よ」

「……!」


 真っ直ぐに進んでいたら、身体中にワイヤーみたいな物が引っ掛かった。

 リゼ相手に使ったやり方か。炎を放出してるのは後ろだし、正面に張られたら見ての通り大変だ。

 なので燃やし尽くす。


「“ファイア”!」

「自分ごと。相変わらず無茶するわね。貴女自身の火耐性と初級魔術だから大丈夫そうだけど」

「そうだな。て事で仕掛ける!」


 ワイヤーは焼き尽くし、炎剣を片手にけしかける。

 ──その瞬間、横から戦斧が迫っていた。……っこれは……!


「ミノタウロス……!」

「ええ。罠はワイヤーだけじゃないわ」

「っぱアタシが攻めて来るのを待ってたか……! 誘い受けタイプだな!」

「待ってたのはそうだけど何の話?」


 戦斧には魔力によるガード。ミノタウロスの力は強く、吹き飛ばされて複数の樹からなる建物を倒壊させた。

 出鼻挫かれてんな。リゼの時もそうだったけど、自分の得意領域に誘い込んで迎え撃つやり方。相変わらず考えてんぜ。


「まあでも、それがアタシの負ける理由にはならないけどな!」

「そうね。私としても100%勝つとは限らないわ。データは集めているけど、そのデータを遥かに凌駕する可能性くらい入れておかなきゃ都市大会のみならず地区大会ですら勝てなくなるもの」


 樹の瓦礫は吹き飛ばし、焼き払って向き直る。ミノタウロスはあの場から動いておらず、ビブリーもそのまま。

 でも周りにキラキラ光る戦のような何かに本の鳥達。そしてそれをわざとらしく見せ付ける素振り。まだまだ企んでんな。

 ハッ、面白い。やっぱり仲間同士の対決は燃えるな! 実際に燃えてるし!


「テンション上がってきたぜ!」

「常にハイテンションでしょう。疲れるわ」


 都市大会、準々決勝。負けたら代表決定戦に行けなくなるアタシとビブリーの試合が始まった。

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