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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部二年生
248/457

第二百四十七幕 二日目・第一試合・決着・結果

「はあ!」

「おっと!」


 空中に造り出された複数の島。それらは念動力によって次々と投擲され、一つ一つが大きなクレーターを形成する。

 便利な力だな。超能力。サイコキネシスの一つだけでお釣りが来る程に多種多様で万能だ。


「随分と余裕があるみたいだね!」

「余裕があるんじゃなくて、弱味を見せないようにしてんだ。実際、かなりキツいのが今の状態だからな。今すぐ倒れて昼寝でもしたい気分だ!」

「だったらやられちゃいなよ!」

「それはNOだ! アンタを倒してアタシ達の勝利を確実な物にする!」


 島々は避け、駆け抜けてリテとの距離を詰め寄る。

 お、そう言やこの島そのまま足場にも出来そうだな。周りのクレーターからして十分な強度も保証出来る。

 どの道アタシも相手も後一撃。より確実に終わらせるには、なるべく大きな攻撃を至近距離でぶつけるのみ!


「本当に疲れてるの!? なんて身軽な……!」

「気合いがありゃ大抵なんとかなるんだよ!」

「根性論は嫌い!」


 跳躍し、此方に向かって降り注ぐ土塊から土塊へと跳び移る。その間にも迫っていたけどそれは足場とし、小さな欠片くらいは炎を放って打ち消していく。

 距離が更に近付いた辺りでリテも力を込め直し、アタシは炎剣を振り下ろして仕掛ける。眼前には今しがた込められた超能力からなる見えない質量が差し迫っていた。



*****



「“樹木大連打”!」

「面倒だな」


 気を取り直した私は、無数の木々を更に打ち込む。ダクさんはそれらをかわし防ぎながら進み、近くまで高速で踏み入る。

 だけどダメージが残っているからか速度がさっきよりも遅く、私でもなんとか目視出来るくらいにはなっていた。

 

「だったら……!」

「……攻撃の方向が変わった……成る程な。受けて立つ」


 植物の在り方を微調整。正面へと誘い込むように動かし、それに気付いたダクさんはそこへ向かってくれる。

 ダクさんとしても大ダメージは負っている状態。正面からの攻撃でどちらかが終わるのなら、それに乗ろうって魂胆だよね。

 迷惑掛けちゃったお詫びとして、今回は逃げずに正面から迎え撃つ……!

 打ち込んで止まった植物を道とし、眼前へと迫り来るダクさん。私も植物を纏め、そこに一点集中の魔力を込める。

 互いに放つのはこの一撃。勝負の行方は今──



「そーらっ!」

「無詠唱の単純攻撃……! 負けない!」


「“樹木拳”!」

「トドメだ……!」


 ──別方向から声が聞こえた気がした。

 次の瞬間に樹木の一点集中パンチとダクさんの拳がぶつかり合って衝撃波を散らし、周りの大地をめくって土の壁を形成。

 私達の攻撃は拮抗してせめぎ合い、樹木が軽くなったのを感じ取った。



 ──どっかで誰かが戦っているのか、アタシが攻撃を放つと同時に声が聞こえた。

 次の刹那に超能力がアタシの半身に当たり、激痛が走る。でも別に抉り取られた訳じゃない。正面から受けたら確実にやられるんでギリギリで逸らしてダメージを現状の最小限に留めたまで。

 既にアタシの振るった炎剣はリテの体を打ち抜いており、吹き飛ばすと同時に剣尖が軽くなったのを感じ取った。


 相手は私達アタシの攻撃によって吹き飛び、数百メートル離れた大地に着弾。それに伴い大きな粉塵が巻き上がり、その中から光の粒子が飛んでいったのを確認した。

 その瞬間、アタシはダイバースの会場に戻っていた。


《──試合終了ォォォ━━━ッ!!!》


 そして聞こえたのは、第一試合が終わった合図である司会者(さん)の声。



*****



《今回も白熱した試合展開でしたァァァ━━━ッッッ!!! 主な主体は人間の国と魔族の国でしたが、獲得ポイントはどうなっているのか!? 結果発表と行きましょう!!》


 その言葉と同時に映像伝達の魔道具からなるモニターに試合結果の獲得ポイントが映し出される。今回はその場で勝利チームの発表じゃないみたいだね。モニターに出し切ってから言われるみたい。

 まずは個人得点。


《第一試合、個人ポイントの栄えある1位! 6ポイント獲得!! ボルカ・フレム選手だァァァ━━━ッ!!!》


「「「わあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」」」


「っしゃあ! やりィ!!」

「やったね! 流石ボルカちゃん!」

「ああ! やったぜティーナ! っとと……痛て……」

「だ、大丈夫!?」

「ああ。ちと無茶しちまってな」


 獲得ポイント、20の数が参加した中で6ポイントを得たボルカちゃんが見事1位に輝いた。だけどダメージが大きいみたいで立っているのもやっと。スタッフさんが治癒係と椅子を持ってきてくれたので安静にする。

 そして順次得点が発表される。とは言え名前を呼ばれるのはトップ3で、その後はズラっと並んで総合得点だろうね~。


《1位では無くとも、こちらもMVPと言っても過言じゃありません!! 2位! 5ポイント獲得でダク選手ゥ━━ッ!!!》


「「「ドワアアアアアアアアァァァァァァァァァッッッ!!!!!!」」」


 2位は私が戦う前に既に4ポイント獲得しており、私の不注意で倒されてしまったメリア先輩の分が加算されたダクさん。

 やっぱりスゴい強敵だったね……。本来なら勝てない相手だったと思うけど……何故か全部の攻撃を受けてくれたんだよね。


《さあ個人の部も大詰め! とは言え後に纏めてモニターに映されますよ! こちらも立派な銅メダル! 3位! 3ポイント獲得! ティーナ・ロスト・ルミナス選手ゥ━━ッ!!》


「「「わあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」」」


「わ、私だ!」

「やったな! ティーナ!」

「うん! ボルカちゃん!」


 3位はなんと私。最初に戦っていた二匹の幻獣さんと魔物さんを横槍の形で倒して、情けでダクさんを倒した事による不本意な得点だけど、3位という位置に立ってチームに貢献する事が出来た。


《それでは! 3位以下の確認をしましょう!!》


 そんな司会者さんの言葉と同時にモニターに映し出される結果。

 4位が2ポイント獲得で魔族の国“レイル街立暗黒学園”のゾルさんとやら。5位は同率でメリア先輩とリテさんの1ポイント。今回は私とボルカちゃんが残ったから全部合わせると計18ポイントになるんだよね。

 司会者さんは口を開いた。


《残念ながら今回、幻獣の皆様と魔物の皆様は目立った活躍が出来なかったようです! 次の試合に期待しましょう!》


『『『ウオオオオオオオオオォォォォォォォォォッッッ…………!!!』』』

『『『キュオオオオオオオオォォォォォォンンンッッッ…………!!!』』』


 心なしか声に覇気がない幻獣さんと魔物さんのオーディエンス。

 そして、総合得点から現時点での結果が発表される。


《さて! 既に計算の早い方は理解している事でしょう!! なので総合得点の発表に参りまぁす!! 総合得点、1位! 10ポイント獲得!! “魔専アステリア女学院”の皆様でェェェ━━━っす!!!》


「「「わあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」」」


「やった! また1位を取ったよ! ボルカちゃん!」

「ああ。やったな! 治療のお陰で体も楽になったし、存分に喜べるぜ!」


 1位は私達人間の国“魔専アステリア女学院”。合計10ポイントを取り、見事勝利する事が出来た。

 司会者さんは更に続ける。


《2位! 合計8ポイントで魔族の国“レイル街立暗黒学園”となりましたァァァ━━━ッ!!!》


「「「ドワアアアアアアアアァァァァァァァァァッッッ!!!!!!」」」


《3位は同率、0ポイントで幻獣の国と魔物の国の皆様! 次の試合では是非とも活躍したいところです!! 名誉挽回! 汚名返上! 試合はまだまだ続くのですから!!》


『『『ウオオオオオオオオオォォォォォォォォォッッッ…………!!!』』』

『『『キュオオオオオオオオォォォォォォンンンッッッ…………!!!』』』


 2位はもちろんダクさん達“レイル街立暗黒学園”で、3位は幻獣の国と魔物の国の皆さん。

 第一試合は無事に最高得点を獲得する事が出来、勝利を飾る事が出来た。

 だけど色々と重なった結果の産物に過ぎないので、今度の試合はちゃんと周りに迷惑掛けないように心掛けるよ!

 これにより、ダイバース二日目、第一試合は終わりを迎えるのだった。

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