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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部二年生
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第二百十三幕 二年生の長期休暇

 ──“長期休暇”。


 テストから数日を経てついに長期休暇に入った。

 何をしようかワクワクするけど、基本的には代表戦前なのもあって連日の部活動。つまり備えた練習。ルミエル先輩から教わったストレッチのお陰で疲労を蓄積はしないけど、結構大変だね。


「“空間掌握・弾”!」

「狙いは良いけど、アタシは掴まんないぜ」

「……!」


 ディーネちゃんが空間魔術を使い、ボルカちゃんが手と視線から位置を把握してかわす。

 そのまま迫り、炎剣を振り抜いた。


「させませんよ! ボルカ先輩!」

「おっ、サラ。大分速度が上がったな!」

「そうっしょ? じゃなくて、はい!」


 そんなボルカちゃんの炎剣はサラちゃんの加速による蹴りで防がれる。その横からベルちゃんが魔力を込めていた。


「“土壌掬い”!」

「本当に巻き上げられそうだ!」


 地面がり上がり、足場が浮上。そしてそれは植物で包み込んで止めた。


「ティーナ先輩……!」

「ボルカちゃん一人じゃないからね!」


 反応を示し、向き合う。うごめく植物。すると上空から風が吹き抜けた。


「貰った! “風刃”!」

「そしてそれは阻止ですわ! “光球”!」


 リゼちゃんの風からなる刃が迫り、ルーチェちゃんが光魔法で阻止。目映い爆発が起こり、視界は悪くなる。

 そこへパラパラと捲られる本、“魔導書グリモワール”が。


「これでおしまい。“栞挟”」


 巨大なしおりを挟んで塞ぎ、一年生達四人を封じ込めた。

 既に周りには植物と炎で覆っており、仮にあれを破壊しても脱出不可能。勿論足元の下にも張り巡らせてるよ。

 これにより、勝負は決着が付く。


「それまでー! 二年生対一年生の模擬戦は二年生の勝ちー! これで二年生が10勝! 一年生が0勝!」


「ま、また負けました……」

「今回はイケると思ったんだけどな~」

「先輩達の立ち回り、やはり参考になる」

「実質中等部のレギュラー総出ですもの。難関ですわ!」


 今行っているのは模擬戦による本格的な実践形式の練習。

 代表戦も一ヶ月後に迫っているのでこんな感じの練習を主体にしてるの。

 軽く魔力を慣らしてからその日の時間いっぱいを使って試合を行う。一日でやれるのは十試合くらいだから今日はもう終わりかな。

 因みに二年生チームは五回を私達いつもの四人。もう五回をメリア先輩を加えた私達のメンバー入れ替え方式で執り行っている。日によっては一年生チームと私達を完全に分けたりもするよ! だからちゃんと全員で連携が取れるようになっているの。


「よーし。今日はここまで! 明日から数日は休みだから存分に遊べるぞ~!」

「やったー!」

「ボルカさん。サラさんも。ちゃんと出された課題はやってるのでしょうね?」

「この学院は課題の量も多い。ずっと遊び呆けては要られませんよ。ボルカ先輩。サラ、君もだ」

「「うっ……」」


 今日の練習が終わり、しばらくは“魔専アステリア女学院”からも離れる期間。まあそれは人に寄ってだけどね~。私も久し振りにお家に帰る予定。

 そんな部活の合間の休み期間。遊ぶ気満々のボルカちゃんとサラちゃんにウラノちゃんとリゼちゃんが指摘する。

 二人は周りを見やり、私と隣に居るルーチェちゃん、ベルちゃんと視線が合った。


「じゃ、じゃあさ! ティーナかルーチェかベルの家で勉強お泊まり合宿でもしないか!? ほら、三人とも実家に帰るんだろ?」


「お泊まり合宿……勉強する気無さそうだけど……。確かに私はこの数日お家に帰るけども」

「楽しそうですわね! 皆様の仰有おっしゃる通りお勉強はしなさそうですけれど!」

「私もお友達や先輩方をお呼びするのは賛成ですわ! お勉強をしなさそうと言うお二人の意見にも賛成ですけど!」


 上手い事理由を付けてサボろうとしているのは明白。お泊まり合宿は私も良いと思うけど……なんだかねぇ。

 ボルカちゃんとサラちゃんは手をパンッ! と合わせた。


「じゃあそうしようぜ! アタシも一度親に顔見せる為家に帰るから二日後くらいに集合してさ!」

「良いじゃん! 良いじゃーん! 楽しくなってきたー!」


 そして乗り気の二人。咄嗟の案っぽかったけど、思いの外私達も嫌な気にはならないからその方面で纏まりつつあった。

 ウラノちゃんとリゼちゃんはお互いに話し合っていた。


「そう言ってますけど、どうしますか? ウラノ先輩」

「そうね。本当なら一日中読書とかして過ごしたかったけど、それくらいならティーナさん達の家でも出来る。彼女達が何より勉強をしない可能性の方が高くなるし、見張り役として私達も同行した方が良さそうね」

「そうですね。しかと勉強メニューを考え、ボルカ先輩やサラにしっかりとさせましょうか」

「ええ。私一人なら億劫だったけど、貴女が居るなら頼れるわ。リゼさん」

「お褒めに預り光栄です」


 な、なんかまるで王女様と騎士の会話みたい……。

 楽しそうにするボルカちゃんとサラちゃんは話に夢中で気付いていないけど、大変な勉強合宿になるかもしれないよ……。


「ディーネとメリア先輩、リタル先輩にレヴィア先輩はどうしますか?」

「わ、私も……みんなと一緒に行きたい……です……」

「勿っ論良いよー! なんてったて私が中等部では一番の先輩だからね! 後輩達に良いところを見せなきゃ!」

「楽しそうですねぇ~。でも私ぃ~、高等部ですけど、よろしいのでしょうかぁ~」

「悪くなさそうだけど、お邪魔して良いものか……」


 そしてディーネちゃん。メリア先輩も来てくれる事になった。

 リタル先輩とレヴィア先輩は少し考え中。私達は良いんだけど、高等部なのもあって一線引いた方向で考えてるみたい。


「全く問題ありませんよ! 高等部の頭脳があれば勉強会も百人力ですから!」

「そッスよ! 先輩達も一緒に遊び……勉強しましょう!」

「本心が隠せてませんよぉ~。ボルカさぁん~」

「それに私達が居なくとも君達なら解けない問題は無いと思うけど……ま、まあ、そんなに言うなら行こうかな」


「やったー! これで決定ー!」

「“魔専アステリア女学院”ダイバース部、勉強合宿だぜー!」

「それに、先輩達が居るのなら大会に備えた話し合いも出来ますわー!」

「……なんか、勉強はやっぱり疎かになりそうな気配しかないわね」


 何はともあれ、先輩達も参加決定。

 休み期間だから練習は程々に、勉強とか話し合いなどそっち方面を中心に考える事とした。

 二日後からの数日間、家にみんなが来てくれるのは楽しみ~。私が行くのも楽しみ!

 今日の部活動は終わり、諸々の準備を経て寮を出る。ある意味長期休暇の本格スタートだね!



*****



 ──“二日後・ルミナス家”。


「やっほー! ティーナ!」

「お邪魔しますわ!」

「お邪魔します」


「おっ邪魔しまーす!」

「お邪魔しますわ!」

「お邪魔します」

「お、お邪魔します……」


「邪魔するよー!」

「お邪魔しまぁ~す」

「お邪魔します」


 お邪魔しますがゲシュタルト崩壊を起こしそうな挨拶と共に私服姿のボルカちゃん達が私の家にやって来た。

 ヘソ出しスタイルにショートパンツのボルカちゃんに夏用ワンピースに麦わら帽子のルーチェちゃん。肌をあまり見せないけど薄着ではあるウラノちゃん。

 ボルカちゃんに近いファッションのサラちゃんや此方もワンピースのベルちゃん。動きやすい軽装のリゼちゃんと可愛らしい服装のディーネちゃん。

 そしてまたまた軽装のショートパンツスタイルのメリア先輩にゆったりとした薄着なリタル先輩。ブラウスにワイドパンツコーデのレヴィア先輩。当たり前だけど全員がこの季節の装いだった。

 こうして見ると大人数だねぇ~。まだまだ部屋には余裕があるから問題無いけど、賑やかで楽しいかも!

 使用人さん達もボルカちゃん達へ挨拶をする。


「「「ようこそお越し下さいました。お嬢様方」」」

「「「お荷物お預かり致します」」」

「「「お部屋の案内は此方の程へ」」」


「ありがとうございますわ」

「お願い申し上げますわ」


「な、慣れてますね」

「二人ともお嬢様だからなぁ~。っても、ディーネ達もお嬢様なんじゃないのか?」

「私より遥かに上流なのがベルちゃんで、ティーナ先輩のお屋敷並みなので……」

「成る程なぁ~。ま、アタシにとっちゃ全員すげぇ所さ」

「今時家柄なんて関係ありませんよ。私より遥かに優れているボルカ先輩が何よりの証拠です」

「ハハ、アタシを褒めても何も出ないぞー?」


 荷物をメイドさん達に預け、私達はリビングの方へ。

 これから早速勉強会の方にいきたい所だけど、


「っし。半年振りのティーナんだ。冒険しようぜー!」

「お供しまーす! ボルカ先輩!」


「ボルカちゃん!? サラちゃんも!」

「やっぱりこうなるのね」


 ボルカちゃん達は私の家探索に出掛けちゃった。

 確か年の終わりに来たけど、それ以降は来てなかったね。サラちゃん達に至っては本当に初めて。

 まだ朝と言える時間帯だけど、長期休暇の課題は一日中やらなきゃ終わらないんじゃ……。私は小まめにやってるからもう終わってるけど……。ウラノちゃんやリゼちゃん辺りも終わってそうだよね。レヴィア先輩も終わらせてるかも。あとリタル先輩。

 とにかく、二人にやる気は全然無いみたい。


「まあ、彼女達は要領が良いから午後から始めても終わらせられると思うし少しは遊ばせても良いんじゃないかしら」

「アハハ……なんか保護者みたいだね。ウラノちゃん」

「実際そんなものでしょう。あんなヤンチャな子供を産んだ記憶はないけど、手間が掛かるもの」


 取り敢えず午前中はまだ勉強をしない方向になったみたい。

 まあディーネちゃん達や先輩達は私の家の間取りもよく分からないし、ある程度慣れておくのはありなのかな? 知られたところで悪用するような人達じゃないもんね。


「えーと、そんな訳だからみんなもお屋敷の中を見て回ってね。部屋は色々あるし知っておくのは悪くないと思うから」


「わ、分かりました」

「そうしますわ!」

「では水場や自室など必要な場所を見ておきましょう」


「オッケーイ! それじゃあ探索探索ゥ!」

「良いですねぇ~」

「確認くらいはしておこうか」


 みんなにも告げ、取り敢えず寝泊まりするに当たって必要な場所を見て回る事から始める。

 長期休暇、私達の勉強合宿。早速方向性がズレちゃってるけど、始まったよ!

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