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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部二年生
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第二百十一幕 いつもの日常・テスト期間

 ──“数日後、学生寮。ウラノ・ビブロスの部屋”。


 ダイバースの代表決定戦から数日。長期休暇前の期末テストが明日行われる。

 練習詰めでテスト勉強はあまりしてなかったけど、一学期の〆なので応用とかそう言った問題が多く範囲を確かめてみたところ何とかなりそうではある。

 とは言え油断大敵。なのでウラノちゃんの部屋で勉強会が行われる事になった。


「それでこれは……って言わなくても分かるわよね。一度習っているんだもの」

「うん。ある程度はね~。でもつまずく場所も出てくるから、その辺をお願い」

「ま、問題集なんて文字や数字の配置が変わってるだけだしな。それに中等部の歴史や科学に魔導は基本的に暗記だけで何とかなるぜ」

「学校によってはそこで提供しているまんまの問題が出題されるようですものね。“魔専アステリア女学院”ではそこから推測される事象や応用など、問題集だけでは足りない問題が出ますから大変ですわ」


 教える役目はウラノちゃんとボルカちゃん。でもお互いに苦手な所はカバーする感じだよ。

 ボルカちゃんは平均的に最上位級とは言え、割と得意不得意は分かりやすい。

 得意な問題が満点なら不得意な問題は85点とか少し低くなるみたいにね。

 ウラノちゃんは全教科満点で、ちょっとしたニアミスで95点を前後するくらいだから心配は無さそう。

 因みにルミエル先輩は初等部から全ての問題全てのテストで全教科満点だったらしい。流石にそのレベルには到達出来ないよね~。

 それはさておき勉強会は順調に進んだ。みんな教えるのが上手く、テスト範囲から少し先の場所までやっちゃった。

 そんな感じで夕方。私達は伸びをして楽にする。


「これで勉強会も終わり~。んで、折角だしこのまま打ち上げについても話し合おうぜ~」

「良いかもね~。テストがあるから今回のダイバースでの打ち上げは保留にしてたけど、期間は一週間で終わるから後は自由だもん」

「それを私の部屋で話すの? まあいいけど」

「許可も降りましたし、早速行いましょう!」


 今日の分が終わったのでそのまま打ち上げの話し合いへ移行。今日の分って言ってもテストは明日だから、少し前からしていたよ。

 とにかく、打ち上げももう恒例になってるよね~。テスト後のパーティも兼ねられるから一石二鳥って感じ!


「取り敢えず打ち上げと言ったら飲食店が主流だけど、いつもルーチェに店の予約とか任せちまってるのが問題だな~」

「私は別に構いません事よ。誰に頼まれたでもなく、好きでやっている訳ですし」

「でも任せっきりって言うのは私も思うところがあるかなぁ。資産的には私の家とそんなに変わらないと思うから、私も出すのに。パ……お父さんも友達の為なら断らないと思うよ?」

「自分の為でもどんどん出すかもなぁ。ティーナの親父さん溺愛してるし」

「そ、そうかな?」


 パパも今の私もあまり家に帰らないから実際の所どうか分からないけど、ルーチェちゃんに全部頼むのが問題なのは分かってるのでそれについての話し合い。

 本人は気にしていないみたいだけど、いつもこんな調子だからやっぱり思うところはある。でも別に良いお店を知ってる訳じゃないんだよねぇ~。


「一先ず、私に気を使う必要はありませんわ! 卒業までの間、ダイバースの回数分お店を貸し切っても余裕があるのが一週間のお小遣いですから!」


「一週間でそれかよ……更に言えば貸し切るお店には“超高級”の文字が付き物だろうし、分からない世界だ。一般家庭出身のアタシは一週間どころか一月でお菓子や飲み物を十数個買うだけで無くなるくらいしか貰ってなかったぜ~。今は金銭面の支援が“魔専アステリア女学院”から出てるから問題無いけど」


 家庭にも色々あるんだねぇ~。私は流石にルーチェちゃんよりは多くないかなぁ。今の話だけだと同じくらいはあると思うけど、私自身がお金はあまり使わないからねー。

 やっぱり趣味とかそう言うの見つけた方が良いのかな。そうじゃなくてもルーチェちゃんみたいな思い切りの良さがあればいいのかも……と、話が逸れちゃったね。取り敢えずお店の件はまた今度にした。


「んで、次は先輩達と後輩達だな。誘ってみるけど、都合が合わないと欠員も出るかもしれないし明日にでも聞いてみよう。今日の食堂や浴場で会ったらその時に聞くのもありだ」


「そうだねぇ。みんなと一緒の方が楽しいもんね~。私も聞いてみるよ」


 メリア先輩やディーネちゃん達の都合がどうなるかも重要事項。

 レヴィア先輩やリタル先輩はどうしよっか。高等部と中等部じゃ大会の日時も違うし噛み合わない事が多いんだよね~。

 でも今すぐ聞く事は出来ないし、今回も保留。保留ばかりだね。後日諸々聞くから良いけど。

 連絡先も知ってるけど、何かしてたら迷惑だもんね。それに約束事は直接話した方が良い気がする。何より今はテスト期間だから勉強で忙しそうだし。


「基本的にはまた今度って感じになっちまってるな~。都合が合わないから仕方無えけど。んじゃ、話し合いの結果は全部が後日って事で決定!」

「イエーイ……って、何も決まってないような」

いずれにせよこの数日中には決まりますわ!」

「そうね」


 何はともあれ、今回の話し合いは終了。全部先延ばしにしただけでもはや話し合いじゃないけど、連日のダイバースや勉強の疲れもあって頭が回らないんじゃないかな。私もなんかテンション変な感じになってるし。

 諸々が終わり、私達はウラノちゃんの部屋でのんびりと寛ぐ。


「いえ……目的を達成したんだから出ていってくださらないかしら。私の部屋は屯場じゃないのよ」

「まーそう堅い事言うなよ。どうせすぐ夕飯で移動するんだからさ」

「私は売店で済ませようと思っていたんだけれどね」

「えー、勿体無いよ。ウラノちゃん。確かにここは売店の物も美味しいけど、せっかく料理を作ってくれてるんだから」

「そうですわ! 味は勿論、栄養管理のバランスから彩りによる目の保養。食べても見ても疲れが取れる絶品ですのに」

「私はどちらかと言えば本を読みながら食べたいのよ。行儀が悪いけど、案外食事中って暇なんですもの」

「だからこそアタシらと行こうぜ! 友達なんだからさ!」

「友達が必ずしも一緒に行動する理由は無いわよ」

「そんな~。一緒に食べようよ~!」

「ですわ~!」

「……貴女達……そんな初等部の子みたいな駄々のね方……。……はあ……分かったわよ。行けば良いのね。行けば」

「「「やったー!」」」


 説得? の効果もあり、一人で食べるつもりだったウラノちゃんも一緒に食堂へ行く事にした。

 あれ? 元々は何の話だっけ。ま、いっか。取り敢えず良い時間帯だし、私達四人はそちらに向かう



 ──“魔専アステリア女学院・食堂”。


「やっぱり美味いな~。此処の学食は!」

「本当にそうだよねぇ~。食べ飽きないって言うか、一年以上朝食とディナーをここで摂ってるけど、何年も通えるもん!」

「その為の味付けなんですわ! 小さな野菜の一粒一粒にさえ繊細な配慮が施されており、噛む度に旨味が押し寄せてくるこの感覚! 食事の手が止まりませんわ!」

「貴女達賑やかね。食レポを今更するのも変。食事って言うのは本来もっと静かな筈なんだけど……まあ食堂全体が賑わいを見せているけど」


 マナーを重んじる校風の“魔専アステリア女学院”だけど、道を踏み外さないのなら生徒達の意思を尊重したり明るく楽しげな雰囲気を醸し出す事には特に何も言われないの。

 去年まではルミエル先輩とイェラ先輩が来たら人が変わったように周りは大人しくなったけど、もう卒業しちゃったからね~。

 そんな感じで楽しい食事の一時を過ごしていく。



 ──“浴場”。


「はぁ……勉強の後のお風呂は身に染みるね~」

「勉強疲れは回復魔法じゃどうにもならないからなぁ~。ダイバースの時とはまた一風変わった気持ち良さがあるぜ」

「そうですわねぇ。勉強は首や肩が凝るのでお湯の暖かさが心地好いですわ~」

「何も全員で入る必要は無いんじゃないかしら」


 食事の一時間程後、私達は同じタイミングでお風呂に入った。ボルカちゃんが私の部屋に誘いに来て、そのままルーチェちゃんとウラノちゃんも誘ったいつもの流れ。

 みんなと入るのは楽しいもんね~。お話が弾んじゃってついつい長時間入っちゃわないように気を付けなきゃね。ふやけちゃう。


 そんな感じでお風呂も終了。のち、少しの間ボルカちゃんの部屋で過ごして良い時間になった辺りで解散。

 ママとティナにおやすみの挨拶をし、この日は終了した。

 明日はいよいよテスト当日。



 “期末テスト当日”。


 ──“語学”。


(ここに当てはまる表現は……これだね)


 最初のテストは語学。文章から当てはまる物を選ぶだけだったり、文の中に答えはあるから簡単。


 ──“数学”。


(この公式は最初にこっちを解いて)


 少しランクが上がった計算だけど、まだ中等部二年生の範囲。複雑そうに見えて根本的な部分は変わらないから結構簡単。


 ──“魔導科学”。


(溢れないように魔力を加える事で)


 魔力による科学変化の確認。まだ使えない属性の物があったり、一番難しいかも。でも実技じゃなくて習った範囲だから解ける。


 ──“歴史”。


(支配制度の撤廃を行った英雄と他の二人と二匹の偉人は……この人達だったよね。初代や三代目とかじゃなくて最後の支配者は……間違いない!)


 偉人の名前を書き込む問題。基本的には暗記中心だから記憶を頼りに書いていく。

 常識問題だからこれもそこそこ簡単な方かな。色んなお話になってるから普通に過ごしてるだけで入ってくる情報だよね。


「っしゃあ、一日目終了。遊びに行こうぜー!」

「そう言う事の為の午前中授業じゃないよボルカちゃん」

「っても、一日でやれる事なんて限りあるしな~」

「それこそ後日の範囲を纏めたりとか」

「うーん、せっかく早く帰れるのに堅苦しいぜ」

「仕方無いよ。テストの為だもん」


 そして初日はこれで終了。午前中授業だから早く帰る事も出来、テスト勉強の為に部活も休みだから結構時間は空く。

 ボルカちゃんは普通に遊ぶ気満々だったけど、一応引き止めておく。彼女なら本当にノー勉でも余裕で学年上位に入っちゃうと思うけどね~。


「ま、これが終わりゃ長期休暇。ラストスパートってやつか」

「うん。そうだよ。ボルカちゃん」


 何はともあれ、テスト勉強の為にも早めに寮へ帰る。

 今日は初日だったから基本的な問題を午前中一杯やったけど、本来は二、三時間目で終わるから明日以降はもうちょっと早く帰れるかな。

 長期休暇前の期末テスト。ちゃんとしっかりやるよ!

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