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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部二年生
188/457

第百八十七幕 選手グッズ・都市大会の初日終了

 一回戦を突破した私達は再びエメちゃん達と共に他の試合を観戦する。

 そんなエメちゃん達の試合も行われ、彼女達もまた一回戦を無事突破した。


「やったね。お互いに一回戦突破だ!」

「うん。順調に進めば準々決勝辺りで当たりそうだね」

「あ、ホントだー。どのチームも地区大会突破の実績はあるし、油断せずに行かなきゃね。……ふふん、エメちゃん。決勝で待ってるよ」

「いやだから準々決勝だって」

「そうじゃなくて~。本とかじゃこういう場面ではそう言うんだって言ってたの~」

「でもそれ系の本ってまだ見ぬ強敵とかダークホース相手に約束したチームが負けちゃう展開が多いよねー」

「そ、それはそうかも。それじゃあまり言わない方が良いんだね。エメちゃんと戦いたいし!」

「うん。私も言わないでおくよ」


 試合観戦しながらの雑談。

 お互いに一回戦を突破したから少し心持ちが穏やかになってる感じ。

 一応トーナメント表を見ても初参加のチームとかは無く、都市大会常連の面々だけ。とんでもない一年生が入ってきた可能性はあるかもだけど、一回戦を見る限り順当に予想通りのチームが勝ち上がってるね。


「オーイ! ティーナ! エメー! 会場を見て回ろーぜー!」

「あ、ボルカちゃん。うん、今行く」

「うんー!」


 試合観戦だけじゃなく、大会の会場にも色々あって一つのテーマパークみたいな感じになってる。

 なので私達は一通り見て回る事にした。


「お、見てみろよこれ。応援用のアイテムが色々置かれてるぜ」

「ホントだ。Tシャツとかまで……確かに会場を見てみると着用してる人は多いね」

「身に付けてるだけで伝わるもんね~」


 私、ボルカちゃん、エメちゃんはグッズを見て回る。

 近くにはルーチェちゃん達やディーネちゃん達、エメちゃんのチームメイト達が居たりとちょっとした大所帯。

 だけど通行の邪魔になるような位置には集まってないし、ちゃんと心掛けてるよ!


「オイ、あれ……」

「ティーナ・ロスト・ルミナスにボルカ・フレム」

「メリア・ブリーズやウラノ・ビブロスと言った“魔専アステリア女学院”の面々まで」

「エメ・フェアリも居る」

「お土産でも選んでるのかな?」

「わあ、話し掛けちゃおっかな~」

「お、俺……ティーナのティーシャツにサイン貰おうかな……!」


「ティーナのティーシャツ!?」

「ハハ、選手達のグッズは売り出されてるっぽいな。ほら、一応規約には大会運営に云々ってあるから、それに同意してる時点でグッズは出されるんだ」

「そんなのあったんだ……」

「一応断れば販売停止を申し込めるらしいぜ? ルミエル先輩とかはメチャクチャ乗り気で先輩のグッズを身に付けてる人は多いけどな~」

「あ、確かに心当たりはあるかも……」


 このメンバーが集まっていると自然と注目度も高くなっちゃうみたい。

 そして選手グッズの云々。規約に同意したから売り出されてるって……。その辺の手続きは去年の時点でルミエル先輩達に任せたけど、確かに先輩の意向ならもっと盛り上げる為にそうしそう。

 それによるトラブルに発展する可能性もあって、解決の事柄も色々あるみたいだから気になる人は運営に言えばOKなのは良心的だね。


「どうする? 因みにアタシのグッズは売上三位。上にはルミエル先輩やイェラ先輩の物がまだあるから勝てる訳が無いけど、都市大会では実質一位だぜ!」

「そう言うのもあるんだ……ちゃんと商売になってるんだね~」

「会場は基本的に無料解放だから資金がなきゃ開催も出来ないしな~。ティーナのグッズは都市大会だと六位だぜ」

「思ったより人気!?」

「ビジュアル良いし、人形を持ってるから小さな女の子にも人気なんだとさ~」

「そうなんだ……」


 思ったより人気がある私のグッズ。更に言えばこのグッズの売上は大会資金だけじゃなく、それぞれの部費やチームの経費とかにも回されているから気兼ね無く活動出来てるとの事。

 案外ちゃんと循環してるんだね。自分のグッズが恥ずかしかったり、売上が伸びないのが嫌だとかの理由じゃない限りは出しておいた方がお得なのかも。


「で、どうする?」

「私はそのままでも……うん。良いかな。悪質なファンとかが現れない限りは」

「ハハ、確かにな~。エメは出してないんだっけ?」

「うん。それこそ恥ずかしいから……」


 エメちゃんはエルフ族とのハーフだけあり、人間の国では異質とも言える存在。

 もちろんエメちゃんはかわいいし、優しくて素直で良い人だけど、本人が他の人達とはちょっと違う見た目を気にしているから出さないとか。

 私もどちらかと言えばそちら側の人間だから分かるなぁ。実際、あると分かった今の時点で少し恥ずかしい。


「ビブリーもグッズは出してないんだ。後輩達も此処に登録した時点でそれについて聞いて、ディーネとリゼは断ったな」


「アハハ……なんとなく想像は付くかも」


 それこそまさに人それぞれの体現。私もどちらかと言えばエメちゃんやディーネちゃんタイプだけど、ルミエル先輩の意向を尊重しよう。

 結果に出てるならその方が大会や部活動の為だもんね。

 何はともあれ、それらを一通り見た私達は特に何も買わず観戦席の方に戻る。

 今日はあと二試合あるから、気を引き締めて行かなきゃね。



*****



 ──“二回戦・謎解きゲーム”。


「“三つの印が結び付く点に交わり到達せよ”。ここの文が示す言葉の意味は……そうね。あの山頂に答えがあるわ」

「一目見ただけで……スゴいです」


 二回戦の謎解きゲーム。今まで通り紙に書かれた謎を解く単純なルールで、ウラノちゃんは簡単に解いちゃった。

 答え合わせを言えばこの山岳ステージには複数の山があって、決まった三つの山を線で繋げた中心に正解の山があるというもの。その過程が謎解きで、見ての通りあっさりと到達する。

 今までもこんな感じだったからこれ系は彼女の専売特許だね!



 ──“三回戦・肝試し脱出ゲーム”。


「そこを掛け合わせちゃうんだ……」

「ま、暗くて狭くて動きにくくて、脱出ゲーム的に考えれば相性は悪くないしな~」


 三回戦の肝試し脱出ゲーム。それは少し問題だった。

 なぜなら怖いのが苦手だから。

 視界確保の為にボルカちゃんとルーチェちゃんは参加したけど、私が出る必要は無かったんじゃないかなって思う。

 だってこの暗がりじゃティナの感覚共有もあまり意味を成さないし、狭い所だとママの植物魔法も使えないし、デメリットしかない。

 それならまだ他の人の方が良かった気がするよぉ~。


「ちょ、ティーナ先輩可愛いですね!」

「だろー? 話が分かるじゃないか。サラ」


 他にも明かり役として参加しているサラちゃんは先輩である私にこの態度。態度は別に気にしないけど、ボルカちゃんとのやり取りを見る限り面白半分で私を参加させた事が明白だった。


「な、なんで私なんですか? ウラノ先輩の方が堂々としているじゃないですか……」

「もち、この反応が見たかった!」

「お、気が合いますね! ボルカ先輩!」


 そして他にも巻き込まれた哀れな子羊。ディーネちゃん。

 理由で言えば前の試合にウラノちゃんが参加したから今回は出さないとの事だけど、そんなの納得出来ない!

 私達は弄られながら暗い道を行き、辿り着いた先は……。


「お墓……」

「しかも各国仕様……」

「多国籍なお墓だな~」

「こんなに種類があるんですわね~」


 やっと着いたと思えばそこはお墓のど真ん中……。

 うぅ、ひぇーん。怖いよぉ。


「如何にもって場所だ。んで、脱出ゲームって事は墓下に何かしらのヒントがあるって訳だ」

「掘り返すの……!?」

「大丈夫だって。死体とかは出てこないさ。出てきたとしてもハズレの場所にアンデッドモンスターくらいだろ」

「十分怖いよー!」


 嬉々としてお墓を掘り返すボルカちゃん。中からは棺桶とか骨壷とか見るからに問題ありな物が大量に出てくる。

 流石に本体は無いけど、敷き詰められたお花とか骨をかたどったレプリカとか恐怖を引き立てるのに十分過ぎる物が沢山あった。


「お、鍵見っけ。アタシ達が最初みたいだな!」

「そうですね! ボルカ先輩!」

「よく骨壷の中に平然と手を突っ込めるね……」

「ん? 別に本物じゃないしな。これは想定だろ?」

「そうだけど……スゴいや」


 その中の骨壷から鍵を取り出し、私達はお墓を抜け出す。

 すると背後から変な気配が……。


『『『ァ゛ア゛ア゛……』』』

「アンデッドモンスター!?」

「成る程なー。ハズレの場所に出なかったかと思いきや、鍵を取ったら現れる仕組みだったか~」

「だったら倒してしまいましょうか! “光球”!」

「即断即決ですね……」

「流っ石先輩~!」


 ルーチェちゃんが光球を放ち、背後に光の爆発が巻き起こる。サラちゃんのヨイショもスゴいや。しかも善意100%

 この暗さだと見つかっちゃいそうだけど、後は抜け出すだけだから時間の問題だよね。


「今ここで爆発が……!」

「“魔専アステリア女学院”だ!」

「それにアンデッドモンスターの群れ!」

「つまり脱出のキーをもってる!」

「文字通り!」


「見つかった!」

「想定内! 戦闘するにしても逃亡するにしてもいずれそうなるからな!」

「そうですわー!」

「付いて行きまーす!」

「わ、私も……!」


 お相手にも見つかった。でも後はどっちが抜けるかの速さ勝負。

 速度なら私達の敵じゃない。ボルカちゃんが居るから! そして妨害もお手の物!


「“樹木壁”!」

「……っ! 足止めを……!」


 植物魔法で壁を作り出して足止めし、多重に張り付けて動きを止める。

 そこから更に加速して鍵を入れ、ゴールが開いた。


《勝者、“魔専アステリア女学院”ンンン!!》

「「「わああああぁぁぁぁっっっ!!!」」」


 暗闇から光差す方へ。到達と同時に勝利宣告が告げられ、私の勝利が確定した。


「っしゃあ! これで三回戦も突破だぜ!」

「最後白熱しましたねー!」

「ふふん、余裕でしたわ!」

「「あー、怖かったー」」


 三回戦も勝利で終わり、“魔専アステリア女学院”の初日は順調に勝ち進む。

 その後、エメちゃん達のチームも順調に勝ち上がって進み、都市大会の初日は無事に終わりを迎えるのだった。

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