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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部二年生
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第百六十五幕 新ダイバース部・指導

「それじゃ、改めて自己紹介でもしよっか。私はティーナ・ロスト・ルミナス。植物魔法を使っていて……あ、ルミエル先輩の後継者とか言われてたけどそんな事は全く無いから!」

「なんですの。その若干ネガティブな自己紹介……コホン、わたくしはルーチェ・ゴルド・シルヴィアですわ。ご令嬢で……と言うのはこの学院の半数以上おりますので割愛しますわ」

「ウラノ・ビブロス。よろしく」

「メリア・ブリーズ! こう見えて中等部では最年長だよ!」

「フッ、アタシはボルカ・フレム。中等部二年にして部長。そして天に選ばれし才を宿し──」


 取り敢えず、最初は自己紹介から。

 ボルカちゃんは相変わらず回りくどい感じの言い回しだけど、概要は伝わったかな。

 そんな私達に対し、後輩達も向き直って口を開いた。


「ちっす! ウチは“サラ・フォティ”でーっす! 得意系統は火! なんか今は様子が変ですけど、ボルカ先輩に憧れてます! よろしくお願いしまーす!」

「ディ……“ディーネ・スパシオ”と申します。こんなんですけどお願いします……」

「“リゼ・シルフ”です。風魔法が得意であり、同じ系統を得意とするメリア先輩には尊敬と対抗心があります」

「“ベル・ノーム”ですわ。得意系統は土ですけれど、個人的にルーチェ先輩とシンパシーを感じますの」


 オレンジ髪の子がサラちゃん。大人しい子がディーネちゃんで、クール系の緑髪の子がリゼちゃん。そして茶髪の子がベルちゃん。

 結局残ったのはこの四人だけになっちゃったけど、まだ仮入部でもなく部活動体験の段階だから全員が入らない可能性もある……。やっぱり難易度が高過ぎたかな?

 ルミエル先輩のアドバイスを聞いてやってみたけど、先輩達の人気に比べて入部者が少ない理由が分かった気がする。

 多分私達の体験よりも遥かに厳しかったと思うから。改めてそれを経て入部したレヴィア先輩達のスゴさを理解した。


「それじゃ、ここからはまた体験会の延長だ。と言っても開始前にメリア先輩に聞いただろう。基本的に練習と言うのは魔力の応酬。面白味はあまり無いかもしれないぞー!」


「「はい!」」

「はーい!」

「は、はい!」


 お、いつものボルカちゃんに戻った。ちゃんと中等部の部長らしく振る舞ってるねー。

 その変わり身に後輩達は戸惑いながらも返事をし、私達はいつもの活動に移る。


「今日は後輩達が来ているからな。図に乗っちまうぜ! “ファイアボール”!」

「ふふん、私もですわ! “光球”!」


 ボルカちゃんが火球を放ち、対抗するようにルーチェちゃんが光球を撃ち込んだ。

 炎と光がぶつかり合って衝撃を散らし、部室前を大きく揺らした。


「スゴい迫力……」

「初級魔法でこの威力……!」

「流石です……」

「見事」


 後輩達も感心している。これは成功かな? あ、そうだ。折角だしお茶とか用意しようかな。

 実はルミエル先輩からレシピを教わっていたんだ~。


「良かったら食べる? 紅茶とクッキー! ダイバース部では休憩時間とかに食べてるんだ~。手作りだけど大丈夫?」


「あ、はーい。大丈夫でーす!」

「頂きます」

「頂きますわ!」

「も、貰います」


 練習風景を見ながら紅茶とクッキーを食べる。

 うーん、まだまだルミエル先輩には及ばないけど、思ったよりは美味しく作れたかも!


「美味しいですねこれ! ティーナ先輩のオリジナルですか?」

「ううん。ルミエル先輩が作ってくれていたレシピだよ。まだまだ先輩には届かないけどねぇ~」

「これでですか!? 本家の味はどれ程だったのか……」


 ふふ、ルミエル先輩のレシピは大盛況。流石だね!

 あまり料理をしない私でもこんなに美味しく作れちゃうんだから、もっと鍛えれば更に美味しくなるかも!

 そんな感じで私も練習に参加。ちゃんとパフォーマンスを出来たかな?

 後輩達も練習に参加させたりし、時間が過ぎていく。


「今日はこれくらい! ずっと居てくれたね~。他の部活動もあったのに。魔導の鍛練だけで見栄えは無かったよね?」


「いえいえ。そんな事無いですよ。魔法の使い方とか参考になりましたし」

「やっぱり“魔専アステリア女学院”の醍醐味はダイバース部っしょ! じゃなくて、ですよね!」

「ふふん、華麗な魔導の数々。お見事で御座いました」

「その……良かったです……」


「そうかな? それだけで良いなら良かったけど!」


 他の部活動に比べて体験らしい体験はさせてあげられなかったけど、この四人は満足してくれたみたい。

 それがお世辞であっても嬉しいね。

 何はともあれ、今日のところは解散。体験は一週間くらい続くから気に入ってくれると嬉しいなー。

 

「それではお疲れ様っしたー!」

「お疲れ様でしたわ!」

「お疲れ様でした」

「お疲れ様です……」


 そして後輩達は帰って行く。寮生活なのは変わらないから会う機会自体はありそうだね。

 取り敢えず部活動は終わりだから、魔法の練習でメチャクチャになった大地や森を再生させて私達も切り上げる。

 けど、ふふ。これが先輩の在り方かぁ。なんかそれっぽくなれたかな? 明日も頑張ろう!


「んじゃ、帰ろーぜー」

「うん!」


 私達も部室を後にする。

 今日は後輩達と初めて会ったり、ダイバースを体験させてみたり色々あったね。中等部二年生の新生活、それがスタートするのだった。



*****



 ──一週間後。


「それでは、よろしくお願いします!」

「お願いしますわ!」

「よろー! じゃなくて、お願いします」

「お、お願いします……」


「歓迎するよ。ようこそ、アタシ達のダイバース部へ!」

「君達、本当に入ってくれたんだな。四人とも。嬉しいよ」


 少し経ち、ディーネちゃん達が入部してくれた。

 あれから毎日ここに来ては見学と体験をし、まさか全員が入ってくれるなんてね!

 中等部の部長としてボルカちゃんが。高等部を含めた総部長としてレヴィア先輩が迎え入れ、部活動が本格的にスタートする。


「それじゃ、いつもみたいに練習しよっか! 正式な部員になったなら、私達の誰か一人を付けて他校と練習試合をしてみるのも良いかもね!」


「は、はい! 優しいままですね……。仮入部期間だけ優しく、本格的に活動を開始したら厳しくなるかと思ってました……」


「なにそのイメージ……私達は素のままでやってたよ……」


「でも確かにそんな感じのイメージはあるよな~。アタシ達って、まあぶっちゃけ強豪校な訳だし、部員数が少ないから入るまで優しくして手中に収めたら鬼に変貌するってのはありがちかもしれないだろ?」


「流石にそれは無いんじゃ……」


 何か悪いイメージを持たれてたけど、多分ディーネちゃんって基本的にネガティブっぽいよね。だから悪い方向にドンドン考えていっちゃう。

 それについて弁明しておこう。


「少なくとも私達はそんな事無いから安心して! 優しい先輩になって見せるよ! ……というより、後輩持った事ないから接し方が難しいと言うかなんと言うか」


「ああ……! 気を遣わせてしまってすみません……!」


「ううん。新生活だもん。不安になるのは当たり前。それを和らげる為に私達先輩が居るんだもん! ドンドン頼っちゃって!」


「ありがとうございます……」

「ふふん、ウチら、先輩に恵まれたかもな~!」

「ああ。だが、甘過ぎないか心配だ」

「私達が心配する立場ですの?」


 とにかく、これで改めての紹介は終わり。さっきから改め過ぎてるね。

 早いところ部活に専念しちゃおう。ルミエル先輩の時よりは優しくするつもりだから、最初はこの練習から!

 部活動が始まった。


──

───


「ぜぇ……はぁ……」

「こ、これが優しい先輩ですの……」

「ふ、ふふ……これくらいはして貰わないと困る……」

「つ、疲れました……」


 それから数時間後、体験入部の時と違って本格的な練習を終えた後輩達は全員が満身創痍だった。

 アハハ……やり過ぎちゃったのかな……。


「これでもルミエル先輩達の時よりは軽くしたんだけどねぇ。先輩達は今の三倍はキツかったよー」


「さ、三倍ですの……!?」

「何ですかソレぇ……三倍って三千倍くらいの比喩……?」

「これでまだまだ序章とは……」

「中等部の部活動って大変……初等部のクラブやサークルとは比較にならない……」


「まあ、通常の練習は三倍ってだけで、大会前とかの大詰めとかは今の練習の五倍くらいにはなったかな~」


「「………」」

「「………」」


 絶句し、何も言わなくなる。

 とは言え、大会前の数週間前がそれくらいで、数日前ならメンテナンスをする為にもっと練習は軽くなるんだけどねぇ。

 あくまでそんな感じ。取り敢えず、さっきも考えたけど何より経験が大事だからルミエル先輩が私達にしてくれたようにどこかと練習試合を組んでみようかな。


「それじゃあ解散! ゆっくり休んでね~。ストレッチも忘れずに~!」


「はい……」

「はーい……」

「はい」

「ですわ……」


 ルミエル先輩から教えて貰った後日に疲れを残さないストレッチも終え、この場は解散とする。

 私は私で、知り合いのつてで練習試合を組めそうなチームを探してみよっか。もうすぐ休日だし、部活は午前中で終わるから午後なら探せそうだね。

 それについてボルカちゃんと相談してみる。


「って思ったんだけど、どうかな?」

「良いんじゃないか? それならアタシも協力するぜ。中等部の責任問題は担ってるからな!」

「うん! 頼りにしてるよ!」


 ボルカちゃんの調子も戻ったみたい。これなら問題無く今後を過ごせそうだね。

 次の休日、私とボルカちゃんは知り合いを経て練習試合の相手を探してみる。そしてそれはすぐに決まるのだった。


「──それじゃあ、よろしく頼む。ティーナ殿達の頼みなら断れる訳がないからな」

「よろしくねー! レモンさん!」


「し、“神妖百鬼天照学園”……!」

「ルーナ=アマラール・麗衛門さん……」

「全国屈指の超強豪校……!」

「ふ、不足なしですの……!」


 決まった相手、“神妖百鬼天照学園”からレモンさん達。

 もちろん向こうもレギュラーじゃなく、あくまで練習試合。新入生達の実力を図りたいという利害が一致してすぐに決まった。

 ユピテルさん達やエメちゃん達、シュティルさん達のチームもOKしてくれたから一気に経験が積めるね!

 新・魔専アステリア女学院のダイバース部。これは期待出来ちゃうよ!

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