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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部一年生
131/457

第百三十一幕 ダイバース新人戦・代表決定戦・団体の部

 ──“新人戦・代表決定戦”。


《さあ! さあさあさあさあ!! やって参りました!!! 多様の(ダイバース・)戦術による(タクティクス・)対抗戦(ゲーム)!!!! 新人戦ッ!!!!! 代表決定戦ンンンンーッ!!!!!!》


「「「ドワアアアアアアァァァァァッッッッ!!!!!!」」」

「「「ヒューヒューッ!!!」」」


 司会者さんの言葉と同時に辺りが一気に盛り上がる。この感じも久々だね。

 現在、ダイバース新人戦の代表決定戦試合会場。始まる手前、既に大熱狂の大盛り上がりだった。


《早速ご来場いただきましょう!! 各校及びチームの入場です!!!》

「「「ワアアアアアアァァァァァァァッッッッ!!!!!!」」」


 大歓声の中、私達は入場をする。

 来る度に思う事だけど、ここに居る人達は全員が地区大会と都市大会を勝ち抜いた人間の国でも有数の強豪達。事実、私達も前は一回戦で負けちゃったからね。

 中等部の一、二年生やそれに準ずる年齢の人達が主体とは言え、強敵なのには変わらない。

 今回は団体戦。数日後に個人戦。せめてベスト8くらいには残るのが目標かな。

 入場からの開会式。前回優勝のチームがトロフィーを返上し、段取りが執り行われる。

 そしていよいよ大会が始まろうとしていた。


《それでは新人戦! 代表決定戦!! 団体戦!!! 一回戦!!! スタァァァトォォォ━━━ッ!!!》

「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!!」」」


 新人戦の代表決定戦の団体戦の一回戦……仕方無いとは言え“戦”が多い。語感も悪くてそれぞれが独立した一つの競技みたいになってる……。

 何はともあれ、団体戦が開始された。

 私達は第三試合だね。


《“フレイムスピアー”!》

《“ウォーターウェーブ”!》


 炎の槍と水の波が衝突してステージを白く包み込む。瞬時に爆発魔法が放たれて映像伝達の魔道具が大きく揺れた。

 一回戦から激しい試合運びだね。全員が人間の国内でのどこかの代表チームだもん。


「やっているな。一回戦から白熱している」

「何処が勝ち上がってもおかしくない戦い。腕が鳴ると言うもの」

「あ、レモンさん。それに……ユピテルさん!」

「少し我を忘れたな? まあ確かに君達は“神妖百鬼学園”にはばまれ、勝ち上がれなかったから接点は少ないが」


 私達が試合を観戦していると、レモンさん。そして前に一回だけ会った“ゼウサロス学院”のジュピター・ユピテルさんがやって来た。

 レモンさんはともかく、ユピテルさんもここに居るって事は中等部の一年生か二年生なのかな。

 二人も当然勝ち上がって来た。エメちゃんは個人戦の方だけだけど、多分来てるんじゃないかな。

 そんな感じで他校の知り合いと試合開始まで観戦をする。


「お、これは決まるかもなー」

「あ、そうみたい。見応えある戦いだったね~」


 試合の流れや状況によってどちらが勝つのかを予想出来るくらいにはなった。

 私もそのレベルにはなれたんだ。我ながら感慨深いよ。どっちが勝つかに賭けたりはしないけどねー。

 そんな感じで団体戦の方も進んで行く。全部の試合が高レベル。ここまで残ったチームだから当たり前だけど、多分対戦相手次第じゃ二回戦まで行けるようなチームばかりなんだろうね。


「あ、エメちゃーん!」

「あ、ティーナさん!」


 試合を観戦していると、人混みの中からエメちゃんを発見。呼び掛け、彼女も一緒に試合の流れを見ていく。

 第一試合と言ってもチーム数はそれなりだからね~。同時進行でサクサク進んでいるよ。

 するとそこに別の人だかりが。


「さて、此方では次の試合に出る選手達が集まっております。真剣な表情で試合経過を見ており、話し掛けるのも難しい状況ですが、我々取材班は勇気を持ってインタビューしていきましょう!」


 音声伝達の魔道具と映像伝達の魔道具を持った人達が複数人。もしかしてこれって!


「インタビューだって。ボルカちゃん!」

「そう言やよくダイバースは特集されてるもんなー。夏の大会じゃ出会わなかったけど、こんな感じで集めてたんだなー」


 後々全国に流れる映像を録っているみたい。

 私もダイバースを始めてからそう言う番組を見るようになって、ルミエル先輩とかよく出てたような気がする。

 本物だー。


「むむ! あちらをご覧下さい! なんとなんとなんと、あの“魔専アステリア女学院”の方々と“神妖百鬼学園”のルーナ=アマラール・麗衛門レモン選手! “ゼウサロス学院”のジュピター・ユピテル選手! エルフ族とのハーフであるエメ・フェアリ選手が居ますよー!」


「わわ!」


 ここで映像伝達の魔道具がグイッ! と迫る。

 そうだった。私達はともかく、“魔専アステリア女学院”。レモンさんにユピテルさんは有名人だったんだ!

 エメちゃんも名前が知れ渡ってるみたいだね。確かに考えてみたらエルフとのハーフなんて注目の的だよ。


「あーっと! 勿論もちろんお忘れ無く! ボルカ・フレム選手! オッドアイの植物魔法使い、ティーナ・ロスト・ルミナス選手も居ますよー!」


「わ、私も……!? ボルカちゃんは分かるけど……」

「いやいや、ティーナも試合じゃすげえ目立ってるだろー。あの範囲の植物魔法は全国区だぜ!」


 “魔専アステリア女学院”で一纏めにされたけど、私とボルカちゃんも個々でそこそこ知られてるみたい。

 まだまだルミエル先輩には遠く及ばないけど、少しずつ近付けてるのかな!


「早速インタビューと行きましょう! まずはジュピター・ユピテルさん!」

「……。そうだな。みんな手強い相手。勝てるように努力致す」


「ルーナ=アマラール・麗衛門さん!」

「精進し、手厚く勝負致そう」


「ボルカ・フレムさん!」

「みんな強いので頑張りたいと思いまーす!」


「……あれ?」


 いつもの調子で話すと思いきや、当たり障りの無い返しをしていた。

 ユピテルさんの性格はまだよく分かってないけど、ボルカちゃんがこんなにあっさりしているなんて。


「それでは、ティーナ・ロスト・ルミナスさん!」

「え、えーと……頑張ります!」


 なので私もそんな感じで返答する。

 元々粋な言葉なんて出ないし都合良かったかも。

 せっかく出れるチャンスなのに何でだろう。ボルカちゃんは小粋な返答しそうなものだけど。

 それについて聞いてみたところ、


「向こうも色んな人からインタビュー聞かなきゃならないし大変だろ? それに、深入りしてくるタイプの人も居るからちょっと苦手なんだよなー。デリカシー無いタイプの相手だともう大変だぜ」


 との事。

 確かに分からなくはない。あまり踏み込まれるのは嫌だもんね。

 だけど本筋は向こうに気を使って。一人一人に聞かなきゃだから大変だよねって事。これもボルカちゃんの優しさかな。

 そんな感じでインタビューは終わり、試合も観戦を続ける。

 そして私達の試合の番がやって来た。


「そんじゃ、今回もメリア先輩を差し置いてリーダーになったアタシだけど、前回は一回戦にレモン達と当たって負けちまったからな。そのチームと当たったらなんとか勝つ。他のチームにもなんとか勝つ。ルミエル先輩だけの“魔専アステリア女学院”じゃないって事を見せてやろうぜ!」

「「「おおおー!」」」

「おー」


 ボルカちゃんの激励を胸に会場へ。

 一回戦は単純な力比べ。個々と団体、両方の実力が肝。

 頑張るぞー!


《一回戦、第三試合! “魔専アステリア女学院”vs“際興大業学園”!!》


 そして試合が始まった。

 相手は際興さいきょう大業おおわざ学園だって。なんか強そうな名前。

 名前の由来は国際的な業務を中心とした学校らしく、他国との交流も深いとか。

 レモンさん達やユピテルさん達と一回戦で当たるような事は無かったのはラッキー。だけど何度も言うようにここまで勝ち上がって来たチームは全部が強豪桁違い。

 油断せず一気にやるよ……!


《スタァァァトォォォッッッ!!!》


 司会者さんの言葉と同時に試合が開始される。多分会場の方ではまたお客さん達が大歓声を上げてるんだろうなぁってのが分かる。

 何はともあれ、今回の相手に勝たなきゃね!


「いつも通り──“樹海生成”!」


 やる事は同じ。本格的な試合自体は久々だけど、練習はしてるし模擬戦は何度もおこなった。

 体調も万全。一気に畳み掛けるよ!

 樹海をステージ全体に張り巡らせ、意識を持たせる。これで敵が来れば即座に迎撃態勢に入れる!


「“エクスプロージョン”!」

「……!」


 その瞬間、植物のどこか一角が爆発によって吹き飛んだ。

 何の魔導を使ったかは分からないけど、魔力の質からして爆発魔法の類い。

 いきなりそんな大技を使ってきて大丈夫なのかな……。


「“メテオ”!」

「オイオイ、初っぱなからぶっ放して来るな」


 次いで空から隕石が降り注ぐ。

 爆発魔法に隕石魔法。名前の通りスゴい大技を使用してくる。

 だけど私達も負けてられないよ!


「隕石だって……質量があればただの石!」


 ママに魔力を込めて伝い、森の植物へ。

 自分の植物魔法とステージの植物を操り、降り注ぐ隕石を巨大な手のようにして受け止めた。

 衝撃波は凄まじく、抑え込んでもなおほとばしるけど、何とか抑え込めている。


「見つけたよ! 南西と南東に分かれて移動してる!」

「分かりました! みんな! 南西方面と南東方面に居るって!」

「「「了解(ですわ)!」」」


 ティナとメリア先輩を先行させ、ティナ越しに情報を得て近場のみんなと共有。

 二手に別れた感じかな。だけど一人一人が強力な魔導を操るってなったら更に細かく分断するかも。仲間達を巻き込んじゃうもんね。

 それを考慮して私達も行動を開始する。

 数の差なら植物魔法があるからこっちが圧倒的に有利。でも向こうには強力な魔導があるから五分五分かな。ちゃんと考えて動かなきゃね。

 向こうが個人ならこっちはチームで挑む!


「見つけたぜ!」

「見つけたよー!」

「ボルカ・フレムとメリア・ブリーズ」

「相手にとって不足は無しだ」


「見つけましたわ!」

「その様ね」

「ルーチェ・ゴルド・シルヴィアにウラノ・ビブロス」

「依然問題無し」


 他のみんなは見つけたみたい。だけど人数は二人ずつ。つまりもう一人は既に私の近くに居るって考えた方が良さそう。

 だったら一気にけしかける。先手必勝ってイェラ先輩に教わったもんね!


「“フォレストゴーレム”!」

『………』


「“エクスプロージョン”!」


 ゴーレムを生み出した瞬間、爆発魔法が炸裂。ゴーレムが傾く。

 やっぱり近くにひそんでいた。でも私を狙わなかったって事はまだ位置は見つかっていない。これはチャンス。


「薙ぎ払って!」

『ウオオオォォォ……!』


 ゴーレムが巨腕を振り、手の空洞を風が通って音が鳴る。

 一撃で数百メートルの範囲を蹴散らした。あれ? 拳でも蹴散らしたで合ってるんだっけ?


「“エクスプロージョン・チェイン”!」

「……!」


 ドン! ドドン! と大規模な爆発が連鎖して巻き起こる。

 あのレベルの爆発をこんなに連続して使えるなんて……これが全国レベル……!


「でも、負けてられないよね!」

『ウオオオォォォ……!』


「……っ。“エクスプロージョン・クロス”!」


 爆発で吹き飛ばされた箇所は即座に再生させ、周りを薙ぎ払って視界を良くする。

 十字の爆発が起こってゴーレムは崩れ落ちたけど、全然問題無い! そして今の爆発で相手の位置は特定出来たよ!


「“再生リサイクル”!」

『………』


「……! そんな……こんなのが中等部一年生に……!」


 爆発によって崩れたゴーレムの欠片はそれぞれがゴーレムとなり、その人の周りを囲む。

 即座に爆発魔法で消されるけどその欠片から更に再生。消されて再生を繰り返し、数百体が集った所で魔力を込める。


「“ラージエクスプロージョン”!!」

『『『…………』』』


 全てのゴーレムが巨大な爆発魔法によって消し飛ばされた。

 ドーム状の爆炎が辺りを飲み込むように広がり、巨大な煙が舞い上がる。

 全てのゴーレムは消されちゃったけど、どんなに爆撃されようといずれ植物は実を結ぶもの!


「“ガイアゴーレム”!」

『………』


「な……! 消し飛ばしたゴーレムが……そのまま土地に……!?」


 足元、つまりステージを巨大ゴーレムとし、小さな相手へ手の平を打ち込む。

 最後の最後まで爆発魔法で抵抗し、巨躯の存在に成す術無く打ち倒された。


「やった!」


 これで私の勝ち。転移の魔道具で控え室に戻った相手。ティナを通じて私は他の様子も見てみる。


「“メテオラッシュ”!」

「ハッ! 遅いぜ!」

「……っ!」


「“大噴火”!」

「その炎、そのまま借りるよー!」

「私の炎を逆に利用して……!?」


 降り注ぐ隕石を全てかわし、相手の前に躍り出たボルカちゃんは炎剣で斬り伏せて意識を奪う。

 メリア先輩は火山みたいな爆炎を風で操ってお返しし、酸素不足で相手は意識を失った。


「“龍火”」

『ガギャア!』

「そ、そんな……ドラゴンなんて聞いて……!」


「“マシンガンシャイニングボール”! ですわ!」

「乱射された光球……!」


 ウラノちゃんは既に龍を召喚して業火で相手を飲み込み、ルーチェちゃんは指先から光球を連射し、ドドドドド! と雨のように、しかし正面に降り注ぐ連続爆破によって相手の意識を奪い去った。

 これによって対戦相手は全滅。自然と私達は会場へと返される。


《勝者、“魔専アステリア女学院”ンンン!!! その強さはまだまだ健在です!!!》

「「「ワアアアアアァァァァァッッッ!!!!!」」」


 結果、私達の勝利!

 これで一回戦は突破したね! 私達“魔専アステリア女学院”、団体戦は順調なスタートを切った!


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