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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部一年生
111/457

第百十一幕 新人戦・都市大会

 ──“新人戦・都市大会”。


《さあ! やって参りました! “多様の(ダイバース・)戦術による(タクティクス・)対抗戦(ゲーム)”! 新人戦、都市大会です!!》


「「「ワアアアァァァァッッ!!!」」」


 数日後、ダイバース新人戦の都市大会がやって来た。

 寒空の下にあるけど熱気を帯びており、会場は既に白熱していた。

 都市大会のルールも地区大会と同じであり、最初に団体戦。後に個人戦って感じ。と言うか新人戦の全体ルールがそれなんだね。

 なので今日は開会式。そして団体戦へ即座に以降。都市大会からはエメちゃんとも当たる可能性があるし、全体のレベルは高くなる。

 負けないように頑張らなきゃね!

 そして団体戦が始まった。



 ──“一回戦、チーム戦闘”。


「そーれ!」

「そこォ!」

「“光球”!」

物語ストーリー──“騎士ナイト”」「いざ参ろう」

「“ダウンバースト”!」


「「「「「ぐっはあああ!!!」」」」」


 一回戦は恒例のチームで行う戦闘。

 私がステージに植物を張り巡らせ、炙り出したところでボルカちゃんが炎剣で斬り、ルーチェちゃんが光の球で吹き飛ばし、ウラノちゃんが召喚した存在で倒し、メリア先輩が風魔法でまとめてやっつけた。

 まだまだこのやり方は通じるね!



 ──“二回戦、迷宮脱出”。


「右側には何も無かったよ!」

「風を感じる方向は左側!」

「そこから少し先に行くと炎が揺れてるからモンスターが解き放たれてるぜ!」

「光の道標で活路は見えましたわ!」

「全ての情報を一纏めにすると……ゴールはこの先ね」


 二回戦は脱出ゲーム。

 私がティナを先行させて道を見つけ、メリア先輩とボルカちゃんが風や気配から大凡おおよその場所を特定。記した場所には光魔法で道とし、最終的な出口をウラノちゃんが持ち前の頭脳で完全に突き止める。

 それによって簡単にゴールする事が出来た。

 これはまだ初日。明日からも頑張るぞー!



 ──“二日目・三回戦、犯人を暴け!”。


物語ストーリー──“名探偵”」

「成る程。真実に辿り着いたぞ」


 三回戦はロッジで起きた事件を解決する高難易度なゲームだったけど、私達は証拠を集めるだけでウラノちゃんの本からなる登場人物がパパッと解決しちゃった。

 スゴいよね~。



 ──“四回戦、激走! ほうきレース”。


「ほうきの操作なら私に任せてー!」

「炎の加速もスゲェんだぜェーッ!」


「な、なんて速さだ……!」


 四回戦のレース対決はメリア先輩とボルカちゃんで1-2フィニッシュ。私達も負けじと突き進み、見事に突破した!



 ──“団体戦、決勝。バトルロワイアル”。


「“樹海包囲網ジャングルジム”!」

「そらよっと!」

「“ライトニングレーザー”!」

物語ストーリー──“兵隊ソルジャーズ”」「「「…………」」」

「“ウィンドブラスト”ー!」


「「「ガッハアァァァッ!!!」」」


 そして五回戦となる決勝、ルールはバトルロワイアル。他チーム全てが敵と言う、前にも決勝戦でやったゲームだね。


 攻略法は一回戦とほぼ同じ。私が植物魔法で全体を包囲し、閉じ込めた場所でボルカちゃんが炎剣を振るい、ルーチェちゃんが光のレーザーで撃ち抜き、ウラノちゃんが兵隊さんを召喚させて数で圧倒。追い詰めたところでメリア先輩が一掃した。


 でも今回はエメちゃんが居なかったの。どうやらエメちゃんのチームは準決勝で敗退しちゃったんだって。

 理由はエメちゃんの孤軍奮闘だったからとか。確かにスゴく強い人が一人居ても、チーム戦だとどうしても穴が出来ちゃうよね。

 そんな感じで団体戦の決勝も見事突破。代表決定戦への切符を掴んだ!

 次はいよいよ個人戦だね!



*****



 ──“個人の部”。


《さあさあ! 昨日さくじつの都市大会の盛り上がりは冷める事を知らず! 今もなお余韻に浸っている事でしょう!! しかし! 新人戦の一番の目玉と言っても過言ではないのはこちら! 個々の実力が試され、それによって雌雄を決する!! 個人戦だァーッ!!!》


「「「ワアアアアアァァァァァァッッ!!!」」」


 一際大きな歓声が上がり、会場が揺れるような錯覚を覚えた。と言うか本当に揺れてるよね。音ってそう言うものだもん。

 そんな感じで個人戦の挨拶も終わり、私達は早速トーナメントへ。

 今回も前と同様、ブロックごとのトーナメント戦となって勝ち残った人が代表決定戦に上がれる感じ。行ける人数は各自トーナメントで二人ずつかな。

 強敵と言える存在はボルカちゃん、ウラノちゃん、そしてエメちゃんだね。他の人達も各地区大会を戦い抜いた人達だから全員が強敵。

 頑張るぞー!


「あ、都市大会は運営さんが決めるんじゃなくて“くじ引き”なんだ」

「地区大会も間違いなく本気だったけど、此処からが真の本番って事かもな。ティーナ、決勝で待ってるぜ!」

「決勝って……確かに決勝戦ならどっちも残れるけど……なるべくボルカちゃんや知り合いとは戦いたくないなぁ……」

「ハハ、ティーナらしいや!」


 そんな感じで言葉を交わし、なるべく同じブロックにならないように祈りながらくじを引く。

 地区大会ではバランス調整の為に運営側が割り振っていたけど、ここからはくじ運が全てを左右するんだね。くじにはブロックと番号が書かれていて、それに準じた場所に記すとか。

 どうか仲の良い友達とは同じブロックになりませんように……!


「こ、これです!」

「はい。ティーナ・ロスト・ルミナス様はCブロックですね。番号は6番となります」

「Cブロック……!」


 書き込まれた名前を見、他の参加者達も確認。先に引いたボルカちゃんはBブロック……つまり、ギリギリ同じブロックにならず済んだ!

 やった! これで後は他の人達が違ければ……!


「ウラノ・ビブロス様。Cブロックとなります」

「……ぇ……?」


 その希望は粉々に打ち砕かれた。

 ウラノちゃんのブロックもC……。

 で、でもまだ決勝戦で当たるならみんなと代表決定戦に……! 5以外の数字が出れば……!


「番号は5番です」

「ぇえ……!?」


 そして、一回戦の相手に決まっちゃった……。

 ど、どうしよう……。と言っても戦わなくちゃならないもんね……。ルーチェちゃんに引き続きウラノちゃんと当たるなんて……。私ってくじ運悪いのかな……。あ、地区大会はくじ引きじゃなかったね。

 そんな私の近くには今しがたくじ引きを終えたウラノちゃんが。


「フフ、一回戦で当たったわね。正直あまり乗り気じゃない気概で挑んでいたけど、貴女とならちょっと楽しみよ」

「うげ……意外と乗り気……そんな性格じゃなかったよね……」

「たまにはこう言う日もあるのよ。張り合いが無くて退屈していたから丁度良いわ」

「張り合いって……まだ一回戦。確かに団体戦は余裕を持って勝ち上がれたけど……」


 陰鬱な私の気持ちとは裏腹に、珍しく乗り気なウラノちゃん。この半年で親しくなったと思うけど、こんな姿は見た事ない。……あ、でも刀とかお城とか見てる時はこんな感じだったかも。


「それじゃ、良い試合にしましょうね」

「う、うん。なるべく頑張ってみる!」


 試合が始まるまでは別室で待機。いつも通りだね。

 今は一回戦だからルールは単純なバトル。気絶するか降参させるかが試合の決め手。ウラノちゃんの本魔法。ダイバースを体現させたかのような多様の戦術がそのまま宿っている力。でも同時に二つの物語を出せなかったりと弱点はあるから、そこを突いて頑張らないとね。


 とは言え、向こうも私達の事はなんでもお見通し。知り尽くして知られ尽くしている相手だから。……って、ルーチェちゃんの時もそうだったね。その時はゲームのルールで勝てたけど、今回は実力勝負……! 不安だなぁ……。

 試合が進んで行き、私達の一回戦が始まった。


《Cブロック! 都市大会予選! 一回戦を始めます!!》

「「「ワアアアアアァァァァァァッ!!!」」」


 会場へ入場。お客さん達盛り上がりはスゴいけど、今回も複数の試合を同時に行うから私達目当ての人はそんなに居ないんじゃないかな。

 映像伝達の魔道具で全ての試合を見る事が出来るとは言え、虫の亜人さんとかじゃなくちゃ目はそんなに多くないもんね。

 だから落ち着いて目の前の相手、ウラノちゃんに集中しよう。

 転移の魔道具に触れ、私達は会場からステージへと移行した。



*****



「ここが……今回のステージ……?」


 眼前に広がった光景は、無数の本棚。積まれた本類。そう、つまりは図書館。

 試しに本を手に取ってみたけど中身は無地。二個三個と取ってみても全部同じ。多分棚の本全てがそうなんだろうね。雰囲気作りって感じ。

 でもウラノちゃんと戦うステージが図書館なのは何の因果か……ふふ、少し難しい言葉を使ってみました。


(まずはウラノちゃんを探さなきゃね)


 広いステージなら植物で覆い尽くそうって思ってたけど、多分ここでそれをしてもあまり意味がないよね。遮蔽が多過ぎるもん。

 だから私は警戒して歩み出す。自分の周りには植物で囲み、どこから何が来ても対処出来るような態勢。物語の数だけウラノちゃんの魔法には力が宿る。常に気は張ってなくちゃならないけど、気疲れしちゃう可能性もあるから半々くらいで。これも先輩の教えだね。


(私の探す方法はティナを先行させるか植物で炙り出すか……向こうが探す方法はワンちゃんの鼻とか気配探知に鋭いキャラとかそんな感じかな。図書館の外とかに行けたりするのかも。今のところ窓とかは見えないけど……)


 私が勝手に図書館ステージって判断しているだけで、街ステージの中にある図書館に配置されたって可能性もあるからその辺も踏まえなくちゃだけど……こんなに広い図書館が他にあるかな。

 どんなに広くても窓くらいは見えると思うけど……。

 ううん。けどけど疑問を浮かべてる暇があるならウラノちゃんの捜索優先だね。


「あ、そだ」


 そして私は思い出した。ボルカちゃんが使っていた探知の火を。

 それを使えばウラノちゃんの事を見つけられるかな……でもこの力は温存して、別の試合でいざという時に不意を突いて使ってみたりしたいけど……あー、でも手を知り尽くされているウラノちゃん相手だから今がいざという時とも言えるよね。

 どうしても使うべきかどうか……答えは今──


『発見。排除スル』

「え!?」


 決断を下そうとした直後、なんだかメカメカしい鉄の何かが言葉を発してピカピカ光ってる。

 ナニ……コレ? そう思った瞬間、レーザー的な何かが発射されて周りに張っていた樹を焼き抜いた。


「……っ!」


 考えてる暇なんてないみたい……! 十中八九ウラノちゃんが本魔法で召喚した何か。多分生き物の探知能力とかが備わってるんだろうね。

 これが自立型だったらウラノちゃんが近くに居るかも分からないけど、一先ず放置したら何もかもが失敗! だから、


「破壊させて貰うよ!」

『ガガ……』


 木々を伸ばし、機械を破壊した。

 近くに居ても居なくても今の攻撃で見つかっちゃったかな。でもそれなら好都合。本魔法から生まれる存在はそんなに力を有していないらしいし、次々に仕掛けてくるならいずれウラノちゃんに当たる!

 私とウラノちゃんによる新人戦、個人戦の一回戦。○○戦が多いね……とにかく、それが始まった。

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