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ロスト・ハート・マリオネット ~魔法学院の人形使い~  作者: 天空海濶
“魔専アステリア女学院”中等部一年生
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第百幕 プチ祝勝会

「おめでとう! ボルカちゃん! 残念でしたね……メリア先輩……」

「感情の起伏が激しいなー」

「心配してくれてありがとー!」


 ボルカちゃんが残ったのは嬉しいけど、メリア先輩がここで離脱なのは悲しい。

 ルーチェちゃんもそうだし、仲間同士で倒し合うのは複雑だよね。

 そこへウラノちゃんが口を開いた。


「既に終わった雰囲気だけど、まだ準決勝。それに勝ったら決勝が待っているんだから油断は禁物」


「そ、そうだよね。ここまで勝ち上がった人達が相手だもん!」


「けどま、アタシ達ならやれるっしょ! 手強いのはそうだと思うけどなー!」


 残った私達三人。でもまだ終わった訳じゃなく、試合は残っている。でもあと一回勝てば都市大会までは確定だから、次が一番の勝負どころかな。

 それから残りの個人戦を終わらせ、私、ボルカちゃん、ウラノちゃんの三人はブロック優勝という形で無事都市大会への切符を掴むのだった。



*****



 ──“ダイバース部室”。


「やりましたねぇ~。これでチームは団体戦で都市大会出場決定~。個人戦でも三人が決定ですぅ~」

「そうだねー。個人戦で行けないのは残念だけど、その分団体戦では主力としてやってくぞー!」

「ですわー!」


 新人戦、地区大会が終わり、私達はちょっとした祝勝会を開いていた。

 会場は部室で、お菓子とか色々持ち込んでお祝いしてるの。

 メリア先輩とルーチェちゃんも、団体戦で主力の一角だから気合いを入れ直していた。

 私も主力。ボルカちゃんもウラノちゃんも。みんなが主力だから今回はもっと良い所まで行けるよね。


「そう言えば、高等部でも新人戦はあると思いますけど、レヴィア先輩はどうなるんですか? 個人戦は良いとして、団体戦の方とか……」


「ん? ああ、それについてだけど、新人戦では個人戦の部があるからチーム人数が一人しか居ない場合は団体戦が免除されるの。その分個人戦で目立たなきゃならないから大変ではあるけどね」


「そうだったんですか」


 人数が一人となってしまったレヴィア先輩だけど、ちゃんと決まっているんだって。

 団体戦は出られなくて個人戦で活躍すれば相応の評価が得られるみたいだね。


「ま、私もまだ高等部の一年生だから、私の卒業までで部員が一人だけと言うのは今年だけだけどね。来年以降は何人が入ってくるかしら」


「あ、確かにそうですよね。そうなるとルミエル先輩達の次の年には誰も入って来なかったんですね」


「そうらしい。今でこそ名門“アステリア女学院”を名乗れているが、元々はダイバースの部活自体無かったと言う話もあるからな。先輩達が一代で築いた部活動なのかもしれない」


「確証はないんですか?」


「まあね。創立の事とかはあまり話さなかったからな。でも実際、ダイバースとしては元々あんまり名前を聞かない学校だったし、先輩達が立ち上げたでも立て直したでもとてつもない事だよ」

「ふふ、そうですね♪」


 どちらかは分からないけど、どちらにしてもスゴい偉業には変わらない。それに、人数の少なさもそう言った理由なら納得が行くかも。

 スパルタ鍛練と数年前までの知名度云々。そうなってもおかしくないかもね~。

 そんな感じに他愛の無い話や部活の創立秘話を聞きつつ、プチ祝勝会は終わりを迎えた。

 都市大会は来月。だけど来月頭には最初に体育祭とかあるよね。

 イベントは目白押し。今度の体育祭は楽しみだな~。



*****



 ──“学院寮”。


「いや~。無事、新人戦の地区予選は終わったな~!」

「私の個人戦も終わってしまいましたわ!」

「だからと言ってやけ食いは体に悪いよ……と言うより、よく食べられるね。プチ祝勝会でも夕飯でも食べたのに」

「やけ食いだから満腹中枢が刺激されるよりも前に手が進んでいるのね」


 夕食後、お風呂も入り終えた私達は寮の部屋でプチ祝勝会後のプチプチ祝勝会をおこなっていた。

 先輩達は先輩達で一緒に過ごしてるらしいよ~。私は食べたばかりでお腹いっぱいだけど、今言った理由からお菓子をパクパク食べてるのはルーチェちゃんだけ。

 ボルカちゃんは少しずつ摘まんでいる感じかな。


「まあまあ、団体戦の方は全員で行けたんだから良いだろ~。本選じゃ負けちゃったし、新人戦もある意味リベンジマッチだ」


「それは当然ですわ! だからこうして食べて食べて体を大きくしなければ!」


「魔法が主体ならそんなに大きくする必要も無いんじゃ……ルーチェちゃんは身体能力中心でもないから」


「逆に、明日辺り体重が増えましたわ~って騒いでる姿が鮮明に見えるわ」


「確かに……想像には難しくないね」

「感情に身を任せたら大変だしなー」

「うっ、確かに否定は出来ませんわね」


 ウラノちゃんに言われてお菓子を食べ進める手を止めた。

 やっぱり体重は気にするんだね~。ボルカちゃん辺りはホントに燃費が良いから気にせず食べてるけど、ルーチェちゃんはあんなに動かないから気掛かりなんだ。


「けれどこの気持ちは何処に持って行けば良いんですの~!」

「それこそ団体戦か、来月の体育祭だな。まだ競技は分からないけど、息抜きにはなると思うぜ? 特にダイバースとか、運動量が多い部活動の人達は活躍の場だからな!」

「そうですわね! よーし! やりますわよー!」

「夜だから少し静かにね」


 鬱憤を晴らすべく、来月の体育祭に向けて気合いを入れるルーチェちゃん。

 順序的には新人戦の都市大会の方が後なんだもんね。ちょっとした息抜きって感じになるかも。

 聞いた話じゃ体育祭はクラス対抗。気合いのあるルーチェちゃんはより一層、スゴく頼りになりそう!


「体育祭って、基本的にどんな競技があるの?」

「そっか。ティーナはそう言うのも初めてだもんな。基本で言えばクラス対抗(ほうき)リレーは王道だな。後は魔導玉入れとか綱引きとか……魔法も魔術も何でもありだから難易度は全部が高いぞー!」

「ほうきのリレー……私ほうきにあまり乗った事無いから大変かも……」

ほうきは十五歳からだから中等部は大体そんな感じだ。全員条件は同じだな。それに、今言ったのはよくやる事が多い一例ってだけで、様々な競技からランダムに選ばれるんだ。参考程度に留めて置いた方が良いぜー」

「うん、そうする」


 競技の種類は多種多様。その中からランダムで選ばれて一日を掛けて学院内で優勝を競い合う。

 うぅ……楽しみだけど不安もある。ブルブルと私の体に武者震い的なものが走った。


「けどま、今年の中等部一年生の部はアタシ達が優勝してやろーぜ! 体育祭ってのは言わば規模を校内サイズに縮めたダイバースみたいなもの。本職のアタシ達がやらない訳にはいかないぜ!」


「そうだね!」


「競技には学院全域対抗ダイバースもあるから、ルミエル先輩達と戦う可能性もあるんだけどね」


「え゛……!? ウラノちゃん……それ本当……?」


「そうよ。中等部も高等部も関係無くダイバースをするの。各学年の人数に合わせて四~五人でチームを作ってね。当然、その分野でもルミエル先輩達は負け無し。初等部の頃からね」


「そうなんだ……」


 私も気合いを入れていたけど、思わぬ事柄に驚愕してしまった。

 ルミエル先輩達と戦う可能性がある。それはとても不安。不安しかない!

 と言うか、なんでこんな全域で流行ってるのにダイバース部の部員数は少ないんだろう……。やっぱり高過ぎるレベルに付いて行けないとかなのかな……。それか授業の一環でもやったりするから部活までは……的な考えの人が多かったり。ホントにルミエル先輩達が一代で築き上げた……。

 何はともあれ、学院による大規模体育祭。それはスゴく大変な事になる可能性が浮上していた。と言うかほぼ確定!


「ふふふ、良いじゃないですの! ルミエル先輩達が居るのなら、卒業前に泥を付けてやりますわー!」

「ハハ、確かにな。かくれんぼとか謎解きとかでなんやかんや直接的な対決は無かったし、ルミエル先輩達と戦える良い機会だ!」

「二人ともスゴくやる気満々……」

「やる気が空回らないで欲しいけれど、頼もしくもあるわね。基本的にルミエル先輩を前にすると怖じ気付いちゃう人が多いから」

「それはよーく分かるよ……私もその一人だもん!」

「そこに自信を持たない」


 来月に控えた体育祭。それはまた波乱が起きそうな予感。全然息抜きな感じじゃないかも!

 でもボルカちゃんもルーチェちゃんもやる気満々だし、私もちゃんと頑張ろう! 確かにルミエル先輩と手合わせ出来る可能性があるのは貴重な機会だもんね!

 何はともあれ、今回は一応新人戦の祝勝会。私達の新人戦、続きは来月の中旬くらい。今度は目先の体育祭に集中しなきゃね!

 初めてのダイバース新人戦。及び祝勝会は、幕を降ろしていくのだった。

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