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幼女に迫るポリ公の魔の手! ルナは逃げ切ることができるのかの巻③

7話です! よろしくお願いします!

さすが国家の犬である。その嗅覚は伊達ではなく、ほぼドンピシャで事件の匂いを嗅ぎ当てられた。


(ま、まずいぞ! これ入ってくるやつじゃないか!?)

ルナが慌てていると、警察官はさらに無線で報告をする。

「えー、逃走した女の子を捜索中に、異臭がする民家を発見。住人のえー、『安西』さんから応答はなく、匂いから中に人か動物の死体があるものと思われます。事件事故の可能性を考え、これから家屋に入ります」

「!?」

慌てて部屋に引っ込むルナ。

キョロキョロと隠れる場所を探すがまず目に入るのは、布団で仏になっているおばあちゃんである。

そこで、ふと思い至るルナ。

「……これってもしかして我のせいになったりする?」

口に出した瞬間、脳に溢れる悪い妄想。


入ってきた警察官が、おばあちゃんを発見。

さらにその後、押し入れに隠れたルナを発見する。

「現行犯で逮捕する!」

「ち、違う! 我は何もしとらんのじゃ~!」

手錠をかけられ護送されていくルナ。


囚人服を着せられたルナが、法廷に立っている。

そして裁判官が告げる。

「不法入国と公務執行妨害と家屋侵入と、亡くなったおばあちゃんをガクガクした罪で……」


「死刑」


「いやじゃああああああああああああああ!!!!」


ハッとして妄想から現実に戻ってくるルナ。

「だ、ダメじゃ……! 警察は贈収賄とヤクザが友人なので信用してはいかんと魔界インターネットにも書かれておった……! このままでは我も無実の罪で、死刑になってしまう!! いや、我は不老不死だけども!」

魔界インターネットに毒されたルナは被害妄想に陥っていた。

そんなところに警察官の最後通告。

「こんばんは~、お邪魔しますよ~?」

ドンドンと引き戸を叩く音。

いよいよ追い詰められるルナ。

(う、うおおお!? どどどどどど、どうする!? どうするんじゃ!?)


パニックになるルナ。

そして再び目に留まるのは、ホトケとなった見ず知らずのグランマザーである。

「そ、そうじゃ……! 我って吸血鬼じゃん! 家主を甦らせれて、警官を追い返すんじゃ!」

吸血鬼には尋常ではない膂力、不死身の肉体、絶対的な魔力の他にも能力がある。

それは血を吸った相手を自分の下僕に変える力だ。


自身の種族を思い出したルナは、瞬く間におばあちゃんに駆け寄る。

「死してなお、我に仕えることを幸福と思え!」

なんかかっこいい悪役のようなセリフを言ってから

あんぐりと歯を剥き出しにしておばあちゃんの首筋に近づける。


が、


「くっっっっっっっっっさぁあっぁぁぁぁあああっぁぁぁっぁああっ!?!!!???」


おばあちゃんは色々と熟成が進みすぎており、もんどりを打つルナ。

警官の接近による緊張と長時間部屋にいた慣れのせいで、鼻がマヒしていたが、

顔を近づけると加齢臭と腐臭のダブルパンチが、人間以下のステータスになったルナの鼻をぐにゃぐにゃに曲げたのだ。

「おっうぇっっっっ!? む、むりむりむりむり!! ぜったい無理じゃってこれ!」


いままで美少女の血ばかり嗜んでいたルナには、熟成ダブルミーニングされきったおばあちゃんの血を吸うのはマジで無理であった。


しかし、この絶叫は当然、外にいた警察官に聞かれている。

「なんだ、今の声は!? 誰かいるのか!」

引き戸がガラガラと開く音。警察官も痺れを切らしたのだ。

もはや一刻の猶予もない。

「んあぁ~……!! くっそぉ、吸ったらぁ! もうどうとでもならんかい!」


鼻をもげるほど摘まんだルナは、おばあちゃんの首筋にがぶりと噛みつく。

そして思いっきり血液を吸い上げた。


「!?>!mcfすdfぱおうぇじfcぬsだ;mksdんhbfヴぇあおfgy!??!??_!_!」

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おばあちゃんの血が口内に入った瞬間、目の前には地獄が広がっていた。

(あれ……? 我はいつの間にワープを……?)

ぼんやりとして意識の中、地獄の鬼たちが集合してくる。

(え、なんじゃなんじゃ?)

そうこうしていると鬼たちが、牛乳を拭いたぞうきんやシュールストレミングを取り出し、笑顔でルナの口や鼻に突っ込んでいく。


「ンほおおおおおおおおおおおおおおお!!????!?」

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「んが!?」

意識が戻ったルナは、自分が気を失っていたことに気づく。

そして自分が劇物を口に含んでいたことも思い出す。

(んんんんんんごおごごおおおおおおお!!?? まずっ! ま、ままままず……いや、マズイとか不味くないとかそんな次元じゃないわ……! 終末じゃ! 世界の終焉が我の口内に!! うぉええええええ!)


味覚を超越した味……というか、衝撃を叩き込まれ、泣いているルナ。

しかし、吐き出せば下僕にすることができない。

ルナは白目をむきながら、気合で血を飲み込む。

「よ、よみ……甦れえ!!」


ルナが唱えると、おばあちゃんの死体がぼんやりと発光する。

しかしルナは下僕化を見届けるまで意識を保つことができず、顔色はホトケとなったおばあちゃんと同じく土気色となってひっくり返ってしまうのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

続きは明後日くらいに投稿予定です。

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