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異世界に舞い降りた夜の女王は、転移失敗してた上に職質されてピンチ

4話です! 1600文字くらいでさらっと読めます。

よろしくお願いします!

「――しも。――しもし」




遠くの方から声が聞こえる。




(誰じゃ……? 我を呼ぶのは……あれか? 神からチートがもらえる流れか?)




「――もしもし。もしもーし? 君、大丈夫?」


ぼやける意識の中、目を開けると警察官がルナの顔を覗き込んでいた。


「……おぬしが神か? 我はチートとかいらんぞ……」


「あ~、やっぱり飲んでる? ちょっと身分証とか見せてもらえるかな」


「……はぁ~? 身分とか、我は夜の女王にして世界の支配者だが?」


「あちゃ~」


警官が困ったなという顔になる。




「というか……」


ルナはキョロキョロと周りを見る。


周囲には街頭とビル、それにたくさんの車と人間が足早に歩いていた。


人間たちはルナをチラリと見ることはあっても、誰も足を止めない。


酔っ払いが職質を受けるのなど、ここでは当たり前のことなのだ。


「ここが……異世界か……? なんというか……アニメで見たことあるような、ないような場所じゃな……」




ブツブツ言っているルナに警官はもう一度質問する。


「あのね、こっちも仕事だから答えてくれる? 君は未成年に見えるけど、身分証とか持ってない?」


「……おあん? 未成年っておぬし……我のパーフェクトプロポーションのどこ見てそんな……」


ルナはそう言って自身の胸を持ち上げようとするが、スカスカと手が空を切る。


「……あれ? 我のおっぱいは?」


そう言いつつ下を見ると、ぶかぶかの服を身にまとった貧相な身体が目に入った。




「んお!? な、なんじゃこれ!? 身体がちぢ……縮んどる!? ど、どうなっとるんじゃ!?」




焦るルナをよそに、警官は半笑いで酔っ払いをあしらうように続ける。


「ふっ……いやいや、それは流石に誤魔化せないでしょ。未成年飲酒なら親御さんに連絡するからね」


「あ! 今バカにした! 今のはもう完全に我のことバカにしたじゃろ!」


「してないしてない(笑)」


「はいアウト~! もう許さんぞ、痴れ者は処刑じゃ!」


ルナが警官に向かって手をかざすが、何も起きない。




「!? 我のヴァンパイアスーパー爆裂真空魔波がでない!?」


(縮んだ身体といい……まさか魔力が失われておるのか!?)


愕然とするルナ。




しかしこのまま人間如きに舐められたままでは、夜の女王の名が廃る。


(クソっ……この人間、あまり美味くなさそうじゃが仕方ない! とにかく血を補給じゃ!)


ルナはあんぐりと口を開けると、警官の手に嚙みつこうとする。


「普段は美少女の血しか口にせんが、緊急事態じゃ! 我に血をささげよ、眼鏡のおっさん!」


「うわっ。ちょっと君、何するの」


警官は何の苦もなく、襲い来るルナを捕縛する。




「んなっ!? こなクソ……! 人間如きが我を抑えられるわけが……! あれ、ちょ……腕力までなくなって……待て待て! タンマ! 一旦落ち着け! なんか話違う! 異世界転移ってこんなんじゃないじゃろ!?」


ルナはじたばたともがく。


(ほ、本当にマズイぞ……! まさか我って魔力がない状態では、すべてのステータスが人間以下なのか!?)


3000年生きた中でそんな状態になったことがないので、余計驚くルナ。


「公務執行妨害だよこれ。ちょっとおとなしくしててくれる?」


「え、そのセリフ……おぬし、まさか『ポリ公』か!?」


「そんな言い方する人、令和にいるんだ……見たらわかるでしょ警察です」


ルナは魔界インターネットで吸収した偏った知識によって、警察という存在に捕まると、一生お天道様の元を歩けない身体にされることと、お母さんが泣くことは知っていたのだ!


「いや、我は吸血鬼じゃから元々お天道様の元は歩かないし、親もおらんけども……」


「一人で何言ってるの?」


独り言をいうルナを、こいつ脱法ドラッグもやってんじゃないのかと警官は怪しんでいる。


(い、いかん……! この状態で捕まったら、我の世界征服の野望が転移後5分くらいで潰える……! かくなる上は……!)

最後まで読んでいただきありがとうございました!

続きは明日更新予定です。

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