炎天下のティッシュ配りってなんで給料あがらないじゃ……辛さが違いすぎるじゃろ!の巻
ケンケンガクガクの問答の末、結局ルナたちは3人でバイトに行くことになった。
時刻は13時。照りつける太陽は吸血鬼どころか一般人でも灰になるほどの紫外線を発している。
「もう嫌じゃー!!」
そう言ってルナは手にもっていたポケットティッシュを地面に叩きつけた。
「ルナ様、まだ2時間しか経っていませんが」
「この灼熱地獄の中で2時間もティッシュ配ってたら上等じゃろがい!」
汗をぬぐいながらルナはがなり立てる。
「しかし、ノルマが終わらないと報酬が貰えませんよ」
「いや、わかっとるなら手伝わんかい!!!」
ルナはすでにティッシュを配り終え、軒先でアイスを食べているマリラに切れる。
「嫌です」
「無碍すぎぃ!」
ルナが素早くツッコむ。
「主の頼みなんだから、もう少し考えて答えろ!!」
「わかりました」
頷いたマリラは目をつむる。
マリラの熟考を腕を組んで待つルナ。
セミの声。雑踏を行きかう人々。街頭テレビの清涼飲料水のCMが聞こえる。
少しだけ風が吹いて、アスファルトからのぼる熱気をほんのちょっと入れ替えた。
マリラは一向に目を開かない。
「……」
「…………」
「……………………」
「いや、考えすぎじゃろ!!」
痺れを切らしたルナがツッコむ。
「風が気持ちよくて」
「そういうエモいのとか、どうでもええんじゃ! はよ、こっち来て手伝わんかい!」
「嫌です」
「結局それかい!」
マリラはいくら言ってもルナの仕事を手伝いそうにない。
大きなため息をついて、肩を落とすルナ。
ふと周りを見渡すルナ。
「そういえば、堵々子はどうしたんじゃ?」