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最強吸血鬼と愉快な仲間たちによる日本征服会議②

18話です。

よろしくお願いします!

「それでじゃ。我はこの生き馬の目を抜く異世界・日本でマリラが迎えに来るまで生き抜かねばならん」

ルナはひとしきり騒いだ後に、何事もなかったかのように話を戻す。

(あ、まだ続くんだこの会議)と能丸は内心で思った。


「ネンキンが貰えたら一番ええんじゃが、能丸の話ではギョーセーとかいう謎の組織が邪魔をして我には金をくれんらしい」

「そもそも見た目で追い返されるというか……ご迷惑だから市役所行っちゃだめだからね」

「ふん! 堵々子はもらえてなんで我が貰えんのじゃい! まったく……」

ブツブツと不満を言うルナ。


そこで能丸は、ついに違和感に気づく。

「……あれ? 堵々子さんって、この堵々子さんのことですよね?」

横で茶をすすっている堵々子を手で示す。

「そうだよ~。アタシが堵々子。さっきも挨拶しただろ?」

「なんで年金もらえるんですか……?」

「そりゃあアタシが、96とか97? くらいのババアだからさ」

「……えっと、ルナさんもそうですけどそういう設定なんですよね?」

能丸は、いまだにルナが吸血鬼であることを設定だと思っているのだ。


「おい待たんか、能丸! おぬし我が吸血鬼であること信じておらんかったのか!?」

びっくりするルナ。

「え……そりゃあまぁ……まだ中学生くらいだし、そういうお年頃なのかなって、合わせてたけど……」

正直な感想を述べる能丸。


「はぁ!? おまっ……! サイズは小さくなっとるが、隠しきれぬ高貴なオーラが出とるじゃろうがい!!」

キレるルナを能丸は初めて会ったときと同じくしげしげと眺める。

やはり、サイズが合ってないだぼだぼの白Tの裾にはジャムをこぼした跡があり下はジャージといういでたちである。

「……ちょっと難しいかな」


「なんでじゃい!!!!」

地団太を踏むルナ。


能丸としては最大限オブラートに包んだ表現だったが、ルナは怒ってしまった。

「だって……吸血鬼とかおとぎ話でしょう?」

「現にここにおるって言っとるじゃん!? 現実を直視しろ!!」

「現実を見た結果なんだけど……じゃあ、何か吸血鬼っぽいことできないの?」

「は? 不老不死の肉体と魅了の瞳を持ち、身体を霧に変え、コウモリに変身し、血を吸った者を下僕として使役できるうえに、無限の魔力と圧倒的膂力で、全てを支配することができるが?」

舐めんじゃねぇぞと胸を張るルナ。


「今は?」

「……………………」

能丸の問いに何も答えられないルナ。


「やっぱりそれだと中二病の女の子かなぁって……」

「んがああああ! 不敬じゃ不敬!! 堵々子もフォローしろや! 我の部下じゃろ!?」

「え? ああ、悪い悪い」

テレビから目を離さず、ぞんざいに答える堵々子。


「んもおおおおお!!」

ルナは叫びながら大の字になって寝っ転がる。


それ見て、ため息をつく能丸。

「堵々子さんも大変ですね……この設定に付き合うの」

「まあ、孫みたいでかわいいもんさ」

そう言って笑う堵々子。

(堵々子さん、ルナさんのこと孫って……設定守るのすごいなぁ)と内心思う能丸。


「そういえば、堵々子さんはどうやってルナさんと知り合いに? 私と同じように、道端でいきなり絡まれて……って感じですか?」

「あー、ルナちゃんが家に不法侵入してきて死んでるアタシを蘇らせた感じだね」

「どんな感じですか……設定の方じゃなくてですね」

「いや、ホントホント。ほら」

そう言って堵々子は自分の首をポコンと取り外した。


「ヒュッ……!?」

能丸は急なスプラッターホラーを目撃し、目と口を外れるほど開いて硬直する。


「あっはっはっは! 顔やば! ちょいとルナちゃんも見なよ!」

「なんじゃも~……あん? どうしたんじゃ、能丸は」

「アタシが頭もいだら固まっちゃった」

「あ、そうじゃ! 堵々子がアンデッドじゃということを見せればよかったんじゃ! おい、能丸! これで信じたじゃろうが! 我を敬わんかい!」

ガクガクと能丸の肩を揺らすルナ。


その衝撃で意識が戻った能丸は、もう一度堵々子を見る。

ちゃぶ台に頭を置いたままテレビを見て笑っている堵々子。

「あっはっはっは!」


「……………………噓でしょ」

能丸は白目をむいたまま、弱弱しくつぶやくのだった。



最後まで読んでいただきありがとうございました!

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