表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

心のささくれ

心のささくれ~クリスマス、妹に申し訳ない事したの巻~

作者: 山本大介

 子どもとはいえ・・・おーいですね。


 私は3兄妹の長男、年子の妹と8歳離れた妹がいる。

 子どもって、時折、罪な事をしてしまう。

 あれは、私が小学高学年の頃か。

 いや~、たまに妹に今でも恨みがましく言われる・・・それはもっともで申し訳ない。


「ねぇ、ねえ、サンタさんの正体知っとる?」

 下の妹に無邪気に言い寄る私。


「知らない」

 あきらかに不機嫌そうな妹。

 でも、そんな姿を見るのが、子どもって楽しい。


「ねぇねぇ」

「こらっ!大助」

 母親に怒られ、私はすごすごと退散するニヤニヤと笑いながら。

 

そして、クリスマスの朝。

「サンタさんきた~!」

 と、喜ぶ妹たち。

 私は思っていたプレゼントと違っていたことに腹をたてた。

(なんで・・・なんで・・・あんなに言ったのに)

 怒りがこみあげてくる。

 正体はすでに知っていて、プレゼントを貰う矛盾・・・今思えば、そうなのだが、子ども思考というのは短絡で浅はかで、


「なんで、これなの!」

 と、思わず母に詰め寄る。


「いい加減にしなさい!」

 と、ぴしゃり。

 

・・・・・・。

・・・・・・。

・・・・・・。

 その時、何でかなあ。

 どうして、そんなことしたんだろう。


 下の妹の顔の前に立ち言った。

「あのね、サンタの正体は〇〇だよ」


「・・・へっ」

 妹は聞きたくない言葉を聞かされ絶句する。

 みるみる顔が歪む。


(しまった!)

 浅はかな言葉を言ってしまった兄は瞬時に、とんでもないことをしてしまった事を悟る。


「・・・ははは」

 私はにへらと笑う事しかできない。


「大助っ!」

 母の雷が落ちた。


 じんわり、胸の奥に重い何かがおりたような。

 私は、それを誤魔化すかのように、逆ギレをして、その場を離れた。

 親に対する?自分自身に対する怒りか情けなさか、それは今では分からない。

 多分、私は泣いたろうな、だけど一番傷ついたのは間違いなく妹である。

 クリスマスが来るたんびに思いだす。

 心のささくれ。

 またひとつ。



 うん、まあ、ごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ほろ苦い思い出ですね。 我が家は子供から「ねー。サンタさんてお母さんでしょ!」とつっこまれウソがつけないのであっという間にバレました。 それまで夜中にこっそりプレゼント置いたり苦労してたので…
[一言] あぁああ……。 まぁ、子どもの時はね。なんか色々やらかしちゃいますよね。 思い出すたびに、胸が苦しくなる思い出。ね。私もたくさんあります(笑
[良い点] 子供の頃って、そういうことがどうしてもありますね~… 時折思い出しては「あ~…なんであの時あんなことを…あぁあ」となること多々ありますねm(_ _)m 読ませて下さりありがとうございま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ