3話 アレンside
夜遅く、急に屋敷が騒がしくなった。
「アレン様、失礼します。」
普段穏やかな執事長があわてて部屋に訪れてきた。
「どうした。」
執事長はよほどのことがあったのだろう事の顛末を話した。
「実は、ソフィア様のところに向かっていたはずのサーシャからの情報なのですが」
サーシャとはお姉様の侍女のことだ。
「クリストファー様から婚約を破棄され、追放されたとのことです。」
その言葉に驚いた。お姉様が第2王子との婚約はあまり良く思っていなかったのは知っていいたが、まさかこんなことになるとは思っていなかったのだ。
「情報を詳しくまとめてくれ、僕はお姉様のもとに向かう。」
急いで、お姉様の部屋の前に向かった。
「お姉様、少しよろしいですか?」
ノックをして、返事を待っていたが人の気配がなかった。
「お姉様、入りますよ。」
まさかと思い、部屋を開けると部屋の中には誰もいなく、机の上には手紙が1通置かれていた。
その手紙を読み終わるとすぐに執事長のもとに向かった。
そこには屋敷で働いているほとんどの人が集まっていた。
「急ぎ、お父様とお母様にこのことを知らせるために伝令を、お姉様が部屋からいなくなっていて手紙が置かされていた。」
すべての真相はこの手紙の中に事の次第が書かれていると、執事長に手紙を渡した。
その手紙を読んだ執事長は、顔が強張っていった。
「急ぎ伝令を送ります。」
と行動を起こし始めた。
「お姉様がどこに向かったか想像はつくか?」
とサーシャに聞いた。
サーシャはお姉様とは長い付き合いだ。
「申し訳ありませんが、わかりません。」
「そうか」
サーシャは、覚悟を決めたように話しかけてきた。
「アレン様、ソフィア様の事を探しに行かせてください。」
1人だと不安だが、サーシャなら大丈夫だろう。
「わかった。お姉様のことは任せる。情報が入り次第教える。」
「では、早速失礼します。」
そう返事して、サーシャは部屋から出て行った。
サーシャもそうだが、屋敷の使用人たちは護身用として様々な魔法を魔法を扱えるよう訓練されている。
中でもサーシャは、武術の腕はごろつきや盗賊どもでもかなわないだろう。
「はぁ・・・」
ため息をはきながら、手紙の内容を思い出していた。
「私のことは心配しないでくれ、って書かれても急にいなくなられたら心配になるでしょう。ましてや、行き場所も書かれていないと特に。」
と言葉をこぼすと、その言葉を聞いていた使用人一同は、その言葉に同意するように頷いていた。
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