1話
「お姉様、なんか嬉しそうですね。学園で何かあったんですか?」
家に帰り、部屋で荷物の整理していると弟であるアレンがたずねてきた。
「ちょっといろいろあったのよ。」
アレンの方を見ずに鞄に荷物を詰めながら答えた。
「いろいろとは?」
怪訝そうな声が聞こえたが私はその言葉を聞かなかったことにした。
「ところでお父様とお母様は?」
荷物の最終確認をしながら尋ねた。
「質問に答えてくださいよ。お父様とお母様は、王様と王妃様と一緒に湯治に行ってますよ。帰ってくるのはしばらく後だと思いますが。・・・お姉様?」
よし、この国をでるのは今晩にしよう。
理由としては、時間がたてば情報がアレンや親たちの耳に入る。誰にも邪魔されずに国を出れるのは今晩しかないからだ。
「今日疲れたからもう休むわ。」
そう言ってアレンを無理矢理部屋から追い出す。
「まったくもう、お姉様。朝には必ず教えてもらいますからね。」
そんな声が聞こえてからすぐ、足音が遠ざかっているのが聞こえてきた。
アレンが寝たら行動を起こそう。
実行にうつすまで後数分となったところで、動きやすい服装に着替えてから、ふと思い出した。
「あ、学園の方に侍女置いて来ちゃった。」
侍女は、私に物を届けに来てくれていた事を思い出した。
置いてきた侍女は、幼馴染みのような存在だった。
「まぁ、あの子なら大丈夫でしょ。きっと情報も耳に入り次第家に戻ってくるでしょう。」
彼女とは長い付き合いだから知っているが、常識人とみんなが思っているが実際はぶっとんだ事をするタイプだと言うことを。
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