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---木陰での昼寝---

強い日差しが照りつけるなか、人々がせわしなく働いているのを眼下に見ながら私は木の上の木陰でまどろんでいた。

「みんなこの熱い中頑張るねえ~」

私は竹筒の水を一口飲む。

ここは風通しが良いので涼しく、更に私以外が働いていると言う情況に愉悦を感じてしまった。

病んでるな私・・・

これも全部あいつらのせいだ!と海の方角を見ながら心の中で毒突いた。

いらだちがこみ上げてくるが、癒やしである末弟の顔を思い出して押さえ込む。

さて、現在私は木の上で通りを行く人たちを眺めている。

ここは少し暗いし枝葉が生い茂っていて下から私が見つかる確率は高くない。

捜し物があるのだが、深夜の情報収集だけでは限界があった。

だから見つかる可能性を冒してまで日中に部屋から出てきた。

まあ最近閉め切った室内が暑すぎるという理由も少しある。

私は光とは相性が悪く、昼夜反転生活をしているので少し眠い。

あくびをした瞬間に強い風が吹き私の身体を傾げた。

危うく滑り落ちそうになったが体にロープを巻き付けてあったおかげで落下することはなかった。

さすが私!

転ばぬ先の杖、先見の明、いやこれはもう未来予知と呼べるかもしれない。

その後も船をこぎつつ周囲を観察した。

身分を表すかんざしに色々な飾りが付いているが、きっとあれが誰に使えているかを表しているのだろう。

とは言ってもどの飾りが誰を示すのか、そもそもこの後宮に何人の妃がいてその者たちの名前はなんというのかすら知らないから現状では役に立たない情報だ。

数人が重そうな荷物を運んでいた。

あ、あのカゴに入っているのは紫芋だ、焼いて食べるとおいしいのよね。

次に通りを通過したのは身なりの良い服を着た侍女ときらびやかな箱を担いでいる数人だ。

先頭を歩く侍女以外は身分を表すかんざしを付けていない。

他の人は雰囲気から商人だろう。

しかしさすが後宮、出入りの商人も全員女性なのか。

その後も洗濯カゴを抱えた幸薄そうな少女、やけに威張り散らした厚化粧女、地味系など色々な人が通りを行き交う。


ん、見つけた!


あれは間違いない。

大勢の人の中に探している物の場所を知るための手がかりを発見した。

考えなしに後を追おうとして体を固定していたロープに止められる。

あぶないあぶない、私は日の光と相性が悪いから、今ここから降りたら隠れていたのがばれて騒ぎになるだろう。

私はその人物が通りの角を曲がって見えなくなるまで見つめていた。

あっちには確か・・・

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