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---暗躍---

悪魔のような聖女に呪いの腕輪をはめられ脅された。

それでも言いなりになるのではなく協力する条件を交渉した。

聖女と違い他の者たちは比較的常識人だったので、その者たちの口添えもあって聖女に協力する期限を決めさせた。


あれからもうすぐ二年が経つ。

約束の期限まではあと少しだ。


今回のアリスからの命令は、とある高位神官の屋敷に侵入して不正に関する書類を魔法具で複写して持ち帰ることである。

何日も闇に潜み屋敷に侵入を試みた。

しかし屋敷の警備が厳しくすでに六日がすぎている。

腕の魔法具は定期的に浄化魔法をかけて貰わないと呪いが進行する。

前回の命令を終えて返ったとき腕輪の浄化をして貰ったが完全に浄化はしてもらえず、これで十日程度は大丈夫だと言われた。

そしてアリスは笑顔で今回の仕事を私に命令した。

つまり聖都に戻る日数を考慮すれば、残りの日数は今日と明日しかない。

殺せ、死ね、悲しい・・・呪いの腕輪から頭に響く言葉がだんだん酷くなる。

早くしないと。

魔法で姿を隠したまま書斎へと向かう。

書斎を守る術式は解析済みだ。

魔力を繊細に操作して術式を欺瞞し書斎に侵入した。

引き出しの二重底、壁の隠し金庫などがないかを探す。

幸いに見つけた隠し金庫は魔法ではなく物理的に隠されていただけだった。

室内の魔力反応を捜索された場合には魔力反応がでないため有効であっただろうが、私にとっては術式を解析するために時間をかける必要が無いのでありがたい。

特殊な形状の金属棒を数本鍵穴に差し込む。

カチリと音がして金庫が開いた。

急いで中身を取り出しアリスから渡された文書を複写する魔法具を使う。

終わったら速やかに中身を戻して金庫に鍵をかける。

書斎を出て一階に向かう途中で警備と思われる男がやってきた。

飾り物の鎧の影で息を殺して通り過ぎるのを待つ。

男はこちらに気付かず目の前を通り過ぎていく。

殺せ、死ね、悲しい・・・頭に響く呪いの言葉に意識が乱れて隠蔽魔法が揺らいだ。

その瞬間男の視線がこちらを向いた。

焦るな、動いちゃ駄目だ。

私は自身の魔力を蓄えておいた魔石を握り込み隠蔽の為の闇を深くした。

魔石が魔力を失い砂のように崩れ去る。

男はランプをかざしてこちらを見たが、しばらくして去って行った。


聖都へと馬を走らせる。

頭が痛い。

腕輪から少しずつ何かが私の体に侵入してくる。

魔力で魔法具の術式を破壊したい衝動に駆られるが、その瞬間に発生するだろう呪いの効果に耐えきれる自信は無い。

死ね、無価値、壊せ、苦しい・・・頭に響く声がだんだん酷くなる。

呪いに耐えながら馬から落ちないようにしがみついた。

お願い速く、速く走って・・・

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