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---聖女の悪魔---

私は木の上にいたはずなのに、気がついたら小さな部屋のベッドに寝かされていた。

ベッドで寝られるなんて久し振りだ。

布から少し藁が出ていてチクチクするけれど、獣を警戒して木の上で寝ていたからこの程度のベッドでも天国のようだ。

それはともかく今の情況を整理してみよう。

たしか木の上で寝ていて起きたら木の下にオオカミがいたため降りられなくなった。

それで枝を折って投げつけたり邪悪なオーラを放ったりしてみたが効果が無く、仕方がないので気配や魔力を極力抑えた状態で隠蔽魔法を発動してオオカミが去って行くのを待つことにした。

それでそのあとどうなったんだっけ?

ああそうだ鎧を着た人たちがやってきてその後・・・眼前に迫る大きなハンマー

そこまで思い出して恐怖に身震いする。

頭が少しズキズキするが死んではいない。

手で触れてみると包帯が巻かれているのがわかった。

寝ている間に治療されたのだろう。

それは良い。

私は腕と足をバタバタと動かした。

それとともに鈍い金属の音と木の軋む音が部屋に響く。

両手両足に金属製の拘束具がはめられ、その先端はベッドの木枠に固定されており、さらに右手首には何かの魔法具の腕輪がはめられていた。

どうしてこうなった!!


ジタバタしていると部屋の扉が開いて三人の鎧を着た者たちが入ってきた。

「言葉は理解できるか?」

中央の人物が私を見てそう言った。

人はみな天空の神々が与えてくださった言葉を話す。

地方によっては多少の訛りはあるが、言葉が通じないことはない。

何言ってんだこいつ?

私は質問の意味が理解できなかった。

「人型とは言え魔物は人語を解さぬか・・・」

中央の人物はさらに理解不能な言葉をのたまった。

魔物?だれが・・・私が?

「誰が魔物じゃ!」

あまりのことに叫んでしまったが、これは仕方がないだろう。

だが拘束され逃げられない状態でこの人たちの心証を悪くするのは命取りだと判断し速やかに言い直した。

「大きな声を出して申し訳ございません。私は魔物などではなく人です。阿己羅国からブレスターン王国に旅をしています」

その後拘束されたまま色々なことを尋問された。

逃げられないときは逆らわない。

平身低頭で対応する。

そして話す内容は真実のみで、自分に都合が悪い部分は話さないか焦点をずらす。

これが今まで学んだ生存術である。

現状がいかに深刻であろうとも、いずれ機会はやってくるのだから。

だけど今回の情況はかなりまずいかもしれない。

「これほどの闇の魔力の持ち主に出会えるとは、この出会いこそ天啓、神が我らに不正を正せとのお告げでしょう」

中央の人物が両手を天に伸ばし語る姿に狂気を感じた。

言ってる意味がわからない。

右側の男性が中央の人物に問いかけた。

「聖女アリス、この者を密偵としてお使いになるのですか?」

この変な人が聖女なの、それに密偵って情報を探るあの密偵よね。

ここは聖マリシア教国、神を頂点に神殿が支配する国

聖女とは他国の高位貴族並みの権力を持ち、私の闇属性と相性の悪い光の属性魔力の者がとても多い。

この聖女、アリスと呼ばれた女性がこの場の最上位の人物であるようだが、彼女が考えていることが理解できそうにない。

これが噂に聞いたことがある狂信者とか言う者なのだろうか。

「当然ではありませんか。闇に紛れる魔法を得意とする闇の魔力保持者と言うだけでも珍しいのに、これほどの魔力量の者が意味も無く我らの前に現れるなどあり得ません」

アリスが私の方を向いて微笑んだ

「悪事を犯した者はそれに見合った罰を受けなければならないわ。そのための証拠を集める為に協力してほしいの」

優しげな声だが瞳には狂気が宿っているように感じる。

「い、嫌です」

よし、言ったぞ、なんかとっても怖いけどちゃんと断った。

「あら、それは残念ね。悲しいけれど解放してあげるわ」

アリスがそう言うと他の二人が私を拘束していた鎖を外した。

あっさり解放されたことは不気味だが、今はこの場から逃げることだけを考えよう。

男性から私の持っていた荷物を受け取り、中身にお金がある事だけ確認して扉へと向かう。

扉を開けようとしたその時、アリスの楽しそうな声が響いた。

「行ってしまうのね。ところでその腕の魔法具は付けた者にしか外せないの」

そういえば鎖は外してくれたがこれは腕に付いたままだ。

振り返った私はアリスからの視線に寒気がした。

「その魔法具、適切に処ししないと半月ほどで呪いが発動して腕輪をはめている人は廃人になってしまうの。手伝ってもらえないなんてとても残念ね」


この女は聖女じゃない、きっと悪魔だ。

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