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ドラゴン商店は素材屋さん  作者: しまねこ


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アクセの素材確保?

 気が済むまで貰った眷属達を順番に撫でてやり、光と影の珠はちょっと考えて手の中で一緒に転がしてみた。すると何だか嬉しそうに、時々跳ねたりしながらコロコロと転がってる。

「何これ、可愛い」

 その様子を見て和んでいて、ふと我に返る。



「ねえ、こっちの光と影の子達はいいとしても、他の子達って何かお世話とかしなくて良いの? 何を食べるの?」

 一瞬、何を聞かれたのか分からなかったようで、マーカスを先頭に揃って目を瞬く。

「だから、言ってるだろうが。そこらのペットじゃねえんだから、世話なんていらないよ。強いて言えば、ミサキの魔力を常に安定させておく事だな。そうすれば、同調している眷属達も常に最良の状態を保てる」

 呆れたようなマーカスの説明に、今度は私が目を瞬く。

「ええと……それってつまり、地脈から繋がってる状態を保てって事?」

 私の質問に、ちょっと考えたマーカスは不親切チュートリアルちゃんを振り返る。

「ビオラ、お前は相変わらずだな、ミサキに詳しく説明したのか?」

「ええ? 彼女はとっても優秀なんだもの。ちゃんと理解してるわよ?」

 ビオラと呼ばれた不親切チュートリアルちゃんは、口を尖らせて文句を言っている。いやいや、あなた全然説明していないでしょうが。

「そういう問題じゃないんだがな。まあ、優秀な事は認めるよ」

 何か言いたげな私に気付いて苦笑いしたマーカスが、大きなため息を吐く。

「魔力を保つ為と言っても、常に地脈とつながっている必要は無い。だがさっきのように、大量の魔力を消費した状態を長く放置していると体力も弱るぞ。そうなると眷属達にも悪影響を及ぼすからな。まあ、そうならない程度には常に魔力を貯めておくようにすればいい。今はどうだ?」

 そう言われて考える。確かに沢山魔力を使ったけど、魔力は完全に回復しているのが分かった。

「別に、大丈夫みたいよ?」

 その言葉に、三人だけでなくラディウスさんとファイサルさんまでが感心したような声を上げる。

「へえ、こりゃあ凄い。あれだけ消費しておいて、このわずかの間に完全回復したのか。もしかしてナディアよりも凄い魔力なのかもな」

 また感心したようにそう言われて、笑って誤魔化す。

 彼らはナディアさんを知っているけど、私は名前以外は知らないんだもの。その彼女と比較されても困るだけなんだけどなあ。



 小さくため息を吐いて、とりあえず眷属達には杖の中に入っててもらう。

 どうやら不親切チュートリアルちゃんよりも、彼らの方が話は通じるみたい。この際だから色々と教えてもらいましょう。

 マーカスはちょっとやる気になった私を見て満足気に頷き、火口を見渡した。

「じゃあ後は魔晶石だな。採取場は前と同じ場所にするか」

 そう呟き、杖を握ったまま奥にある大きな丸い窪みのある場所へ向かった。

 そこは、やや不自然なほど綺麗な直径10メートルくらいの半円球の窪みになっていて、何なのか気になっていた部分。そっか、あの窪みには何か役目があるのね。

 当然のように全員がついて行くのを見て、私も慌てて後を追った。



 だけど人の姿でいると、この火口がとても広いのが分かったわ。すぐそこだと思っていた窪みが、歩いて行こうとしたらものすごく遠くてびっくりしたもの。




 マーカスは、右手に杖を持って窪みの横に立って大きな魔晶石を取り出した。それは私のと違って綺麗な紺色をしている。そしてその魔晶石を丸い窪みの縁の部分に置いた。

 小柄なデボラさんが、マーカスが置いた位置から少し離れたこれも窪みの縁に魔晶石を取り出して置く。

 順番に全員が窪みの縁に沿って、囲むように大きな魔晶石を置いていく。

 何が起こるのかと興味津々で見ていると、それぞれが自分の魔晶石に手を当てて目を閉じた。

「出ろ!」

 マーカスが一言、大きな声でそう叫ぶ。

 すると次の瞬間、彼の杖から光が放たれた。

 様々な色の光がフラッシュするみたいに弾けて、目の前が真っ白になる。

 咄嗟に目の前に手をかざして目を閉じる。ドラゴンの時と違って、人の姿だと普通に目が眩んだわ。



 光が収まった時、丸い窪みの内側の壁面はびっしりと綺麗に分かれた五色の魔晶石で埋め尽くされていた。



「綺麗、五等分された円グラフみたい」

 小さくそう呟くと、聞こえたらしいマーカスがまた大笑いしてる。

「我らの魔晶石は、ここに届けておくからな。必要に応じてここから集めてくれ。無くなったらまた出てくるから、遠慮なく使ってくれていいぞ」

 まだ座り込んで笑っているマーカスに変わり、ファイサルさんが教えてくれる。

「あ、ありがとうございます。どれもすごく綺麗。そっか、魔晶石は各自の守護石に倣った色になっているのね」

 近寄って窪みを覗き込むと、それぞれもらった守護石の色と同じ色の大小の魔晶石が輝いていた。



「へえ、これだけあれば、ちょっとしたアクセサリーなら作れそうだわ」

 小さくそう呟いて、綺麗な青い魔晶石を一つ触ってみる。

 すると、ぽろっと外れて手の中に転がった。

「あ、やっぱり穴が空いてる。ええと私の赤と水の魔晶石が紺色……あ、水色っぽい薄い色もあるわ。土は茶色、あ、これも濃淡がある。へえ、オパールは虹色なのね、そしてクリスタルみたいなカットされた透明と真っ黒。うん、緑色が無いのがちょっと悲しいけど、これなら何とかなりそうね」

 嬉しくなってそう呟くと、慌てたように女性三人が走り寄ってきた。

「ねえねえ、今聞き捨てならない事を言ったわよね。アクセサリーが作れるって、どういう事?」

 モデルのようなラディウスさんが、まるで少女のように目を輝かせて私を見ている。その隣では、デボラさんとモルティさんも同じく目を輝かせて私を見ている。

「ええと、石に穴が空いてて紐に通せるなら、色を工夫すればアクセサリーになるかと思って……」

 あまりの食い付きっぷりに引きつつも、何とかそう答える。

「貴女はアクセサリーを作る職人だったの?」

 デボラさんの質問に、苦笑いして首を振る。

「そうじゃ無いけど、趣味でアクセサリーを作ったりはしてたわ」

「良いわね! 是非作って! お願い!」

 三人の声が重なる。

「ええと、だけど紐が無いわ、革紐か蝋引きした綿か麻の糸がいるんだけど……」

「これで良ければ使ってくれていいぞ」

 そう言ってファイサルさんが差し出してくれたのは、恐らく麻の蝋引き糸。これならなんとかなりそうね。

 どれだけあるのよこれ! って突っ込みたくなるような、棒に筒状に巻いた糸の塊を受け取り、

 周りを見回して困ってしまった。さすがにここで作業するのは無理!



「ええと、作るのは構わないけど、ここで作るのはちょっと無理があるわね。机も椅子も無いし、道具もないもの」

 いくら何でも、せめてハサミとピンセット程度は欲しい。

 困ってそう言うと、不親切チュートリアルちゃんがパタパタと羽ばたいて目の前にやって来た。

「それなら人化した時のナディアが使ってた部屋へどうぞ。あそこなら椅子も机もあるし、確かハサミやピンセットもあったと思うわよ」

「部屋? 今の私が入れる部屋があるの?」

 思わず叫ぶように尋ねる。だって、ここ火山の火口よ?

 今の言葉を要約すると、火山の火口であるここに人間用の部屋もあるって事よね?

 安全的にどうなのそれ? あ、でもそれって魔女の部屋っぽくって良いかも。

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