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寄る辺ない花

作者: 明日



ここでしか咲けない花がある

荒野の果て 峻険な崖の上

そこがどんなに荒れた土地でも



そこでしか咲けない花がある

根を伸ばせない固い土でも

雨の降らない乾いた国でも


わたしはここを選んだ


そう わたしはここでしか咲けない

鳥も虫も寄りつかぬ

荒れ果てた寒さの中でしか



かつては花畑の中で咲いていた

ふかふかの土

思い切りよく飲める雨

隣のあの子は綺麗だった


赤い花がいい? 黄色い花が好き?

それなら誰かは私に気付いてくれた?


わたしは赤にも黄にもなったのに




太陽に近いこの山の上でわたしは咲く

澄み切った青空も涼しい風も独り占めにして


蕾が開いたあの日

わたしは胸をはって咲き誇ったわ

手に取られたのは隣の子だけれど



蕾の中でわたしは信じる

荒野を越えて

崖を登って


微笑み迎えるわたしを手折ってくれる




その日まで待ちましょう

それまではわたしはこの荒野で一人咲く



誰の目にも留まらずに




満開の花畑の中で

貴方に手折られる夢を見ながら



ここでしか咲けない花がある


夢は夢のままで

この身が萎れるその日まで




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