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小百合

寝室では、床に臥しテレビを見ていたヨネが、

皆の笑い声に気付いてあたふたと起き上がり、

居住まいを正して正座して待つ。障子が開いて


清一と亜紀、後ろから小百合が入ってくる。

清一と亜紀があいさつをする。


「母さん、ただいま」

「おばあちゃん、こんにちわ!」


ヨネ笑顔で、

「ああ、おかえり、おかえり」


小百合、二人のリュックを抱えて、

「お荷物は奥の部屋へ運んでおきます」


ヨネと清一が同時に、

「小百合さん、ありがとう」


皆で笑い、小百合が礼をして出て行く。

清一が不安げにヨネにたずねる。


「母さん、元気?じゃないよね。どうしたんだよ?」

「朝、立ちくらみがしての。今日一日床でゆっくり

しとったんじゃ。もう大丈夫じゃ。亜紀の顔を見たら

元気が出てきたハハハ」


ヨネが亜紀の頭をなでて笑うと、

亜紀もにっこりと微笑んだ。

「小百合さんとヨシおばさんが交替で賄いに

来てくれているんでしょう」


「お前には連絡せなんだが、ちょうど一ヶ月ほど前に

ひどい喘息の発作が起きてのう、死に掛けたんじゃ。

そのときヨシに飛んできてもろうて助かった。


それからは一人じゃとても心細うてのう、わしから

頼んでこっちへ越してきてもろうたんじゃ」


「そりゃ心丈夫じゃないか」

「妹の所も5年前に亭主が死んで女二人じゃろが」

「じゃ、賄いは全部小百合さんが」


「小百合も知ってのとおり、お前と一緒じゃ。結婚して

すぐに連れ添いに先立たれて実家に帰って来よった。

店のほうは交替で見とるようじゃ」


「清二は?」

清二の一声に、ヨネは敏感に反応して顔の相が変わった。

脇でおとなしく手遊びしていた亜紀も思わず手を止めて

ヨネの顔を見上げた。

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