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帰郷

救急車が動き出しサイレンの音が遠ざかると、

村人が立ち話を始めた。


「こんな大きなお屋敷、清二夫婦が越してくりゃええがね」

「あの嫁とじゃうまくいかんじゃろう。誰か一人つい

といてやらんと、もう75じゃ。喘息の発作が怖いよの」


その日の夕方、症状が回復して病院から戻って床につい

ていたヨネはそばで見守っているヨシに話しかけた。


「なあヨシ。わしももう年じゃ。一人じゃ心細うてなあ、

こういう事あるとよけいに。お前さえよけりゃあ、小百合

とこっちへ越してこんかな。一度相談してみてよな。

一人で飯食うのももう耐えられん」


そういうわけで、一ヶ月前にヨシと小百合が越してきた。

その日もヨシが店に出て小百合がヨネを見ながら、今日

清一と亜紀が帰ってくるということで、朝からあちこち

部屋を掃除していた。


一年ぶり、白馬の山々を見ながら清らかな空気を胸いっぱい

に吸い込んで、やっと清一と亜紀は塩山邸に着いた。父と娘、

踏み石を踏んで玄関へ入っていく。亜紀はとても楽しそうだ。


玄関口で清一が、

「ただいまー!」

と言って二人でたたずんだが、誰も出てこない。


二人顔を見合わせて大声でもう一度、

「ただいいまー!」

亜紀が見上げて笑う。


奥からいとこの小百合が可愛いエプロンをつけて出てきた。


「すいません。奥の厨房にいたもんですから、

お帰りなさいませ、清一お坊ちゃま」

「何だ、小百合さんか、お袋は?」


清一と亜紀、玄関を上がり奥へ進む。廊下を歩みながら

小百合が、

「ちょっと具合が悪くて休んでおられます。

こちらです、お坊ちゃま」


清一が笑いながら、

「その、お坊ちゃまと言うの止めてくれない」

「はい、それじゃ・・清一兄様」


三人とも吹き出して笑い声が響く。

「清一さんでいいよ。・・エコーランドの店のほうは?」

「母と交替で見てますよ」

「そう」

三人ヨネの寝室に近づく。

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