表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

調書

清二の気迫に押されて春子は策をひねり出した。

数日後の晩に新発売の缶チューハイを持って

塩山邸を二人で謝罪に訪れる。


ヨネは春子が引き止めておく。清一と清二が二人

きり乾杯をすることができればもう殺ったも同然。


時間は小百合とヨシバアが床についた頃、10時

が一番いい。後は二人で清一を病院に連れて行く

といって担ぎ出せばこっちのものだ。


全てはうまく行くと思えたのだが・・・・。


数日後の長野県警本部。刑事課で田中刑事が

鑑識の山本と話している。


「で、清二の胃の中の薬物は?」

「青酸カリでした。致死量に達しています」

「ということは、死因は溺死ではなく服毒死」

「はい、そうです」


「で?」

「さらに靴の裏が白馬台高校の毒物窃盗犯のものと

ぴったり一致しました」


「ふむ、まちがいないな」

田中刑事、タバコに火をつけて、


「皮手袋、シアン化カリウムの空き瓶と、まだ

未使用のシアン化ナトリウムの瓶とが車のトランク

から見つかっている」


田中刑事、くわえタバコで報告書を書き始めた。


「塩山清二は死を決意して白馬台高校に青酸カリを

盗みに入った。数日後の深夜ドライブをしながら


青酸カリを口に含み、ごくりと飲み込んでから猛

スピードで湖に突っ込んだ。覚悟の自殺という訳だ」


田中刑事、調書の下書きをしながら山本を見上げる。

山本は疑問ありげにしぶしぶうなづく。


その晩、神城の清二宅で通夜が執り行われていた。

棺の前に喪主の春子。隣に堀金留吉が座っている。


向かいに田中刑事が座っている。最後の弔問客が帰って

堀金留吉が春子に声をかける、

「春子、わしは家で飯食ってくる」


と言って立ち上がり、田中刑事に目礼をして出て行った。

田中刑事も時計を見、周りを見回した後、

「じゃ、私もこれで失礼させていただきます」


と言って立ち上がった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ