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清二の決意

翌日の午後、青木湖湖岸の駐車場に清二と

春子が乗った高級乗用車が止まっていた。


車は泥だらけで汚れている。今日は清二が

運転席、春子は助手席でタバコを吸っている。

清二が思案顔で語りかける、


「どうやって兄貴をるかだ」

「事故に見せかけることよ」

「事故?」


「そう、たとえば眠り薬とか青酸カリとか

飲ませた後で車ごと湖の底に沈めるのよ」

「なるほど」


「もし車が発見されても、死体は腐ってて

毒殺とは分かりゃしないさ。事故。夜スピードを

あげすぎてカーブを曲がりきれずに湖にがけから


ざんぶとダイビング。あるいは、目の錯覚で

柵を乗り越え湖へ、なんとでもなる」


「よし、それでいこう」

本気まじ?」

「ああ、もちろん。今までの苦難の人生に決着を

つけるんじゃ」


春子は黙って次のタバコに火をつけた。


その晩清二はこっそりと白馬台高校の理科室に

忍び込んだ。かつて中退する前に理科の実験に

出たことがあった。その時化学担当の教師


(今の教頭)が注意事項を話した。

「ここの劇薬を扱う時だけは重々注意してください。

特にこの青酸カリとか」


この時誰かが質問をした。

「どれが青酸カリですか?」

「このシアン化カリウムというのが青酸カリのことだ。

こちらのシアン化ナトリウムも同様に劇薬だ」


清二は二度と実験に出る事はなかったが、

この日の事は鮮明に覚えていた。

「あれが青酸カリだ。あの鎖は番線カッターで切れる」


清二は皮手袋をはめ、番線カッターを持って忍び込んだ。

すぐに劇薬棚は見つかった。瓶の位置もそのままだ。

清二は鎖を一気に切断するとすばやく二瓶を掴んで逃走した。


得意げに瓶を見せた時、春子は驚き血の気が引いた。

「あんた、ほんとに本気なのね?」

「ああ、本気で決着をつけると言うたじゃろが」

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