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堀金観光開発

清一には5才年下の弟清二がいる。

共に白馬台高校の出身ではあるが、

清一が優等生だったのに比して


清二はひねくれものの悪だった。

それには原因があった。幼い頃から

利発だった長男清一を、ヨネは


心底愛し英才教育を施し、塩山家の跡取

り息子として多大の期待をかけてきた。

逆に清二には塩山家の面汚しとして


人目もはばからず虐待した。

清二は中学校に上がると益々非行に走り

ヨネの手に負えなくなっていった。


清一は母の過度の期待と弟の存在とにいたた

まれなくなり、東京の大学に入学と同時に何

かと理由をつけては故郷に帰らなくなった。


卒業後東京の出版社に就職してからはなお

さらだ。30歳で家族には内緒で結婚した。


亜紀が生まれて5年後に病弱の妻が死んだ。それ

からの5年間は父と娘の生活がずっと続いていた。


清二は高校を中退して隣村の堀金観光開発の

作業員としてバイトを始めた。社長の堀金留吉

が塩山家の次男と知って、それとなく手なずけ


ていったのだ。数年後清二は堀金の娘春子と

駆け落ちをする。二人は数年東京あたりで同棲

した後、神城に戻って堀金の許可の下所帯を持った。


そして昨年入退院を繰り返していた塩山の父が

亡くなった。葬式で兄弟が10数年ぶりに再会した。


白馬の隣村が飯森と神城である。五竜岳と大小遠見岳

の山並みが見事に美しい。


堀金観光開発は神城の五竜ゴンドラ乗り場を下った

留吉の所有地の中にある。


事務所で留吉と春子と清二がソファーに座って話している。

奥で女事務員が帳簿をつけている。

堀金留吉は葉巻に火をつけながら、


「清二、この間ばあさんが倒れたんだってな?」

「ああ、喘息の発作がきつうて」

「うちの家に電話くれりゃ、すぐ飛んで行ってやったのに」


春子は憎憎しげにそういいタバコに火をつける。

テーブルにコーヒーが出ていて清二はコーヒーを飲む。

留吉が煙たげに葉巻を吸いながら。


「お前達があそこに住めば一番ええんじゃがのう」

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