表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第3章 私達は幸いなる少数
70/79

シネマ・コンサート神戸公演台本 F PART

F PART「ENIGMA」

陽一:

 夜、小火のあった旧部活センター棟前に戻っていた。

 玄関は規制用テープが張り巡らされている。


 (MUSIC)OST:REIKA’S ENIGMA,II

 教師と私服刑事が話をしながら旧部活センター棟の方へ来るのが見えた。


教師:

 「伊那澤、とっくに下校時間は過ぎているだろうが早く帰りなさい」


陽一:

 「すいません、先生。警察の人から事情聴取があると思ったので」


私服刑事:

 (怪訝そうに手帳を手繰った)「伊那澤くん?特に名前は出てないけど警察官に言われたのかい?」


陽一:

 「あ、そうなんですか。友達にそう言われたんですが何かかつがれたのかもしれません。失礼しました」


私服刑事:

 「何か気になる事があったら連絡して。もう今日は遅いから帰りなさい」


陽一:

 「はい。それでは失礼します」

 (MUSIC)C/O


<バイク置き場>

玲佳れいか

 (MUSIC)OST:PRESENTIMENT

 制服姿。顔色は良いとは言えない。心配していたらしい。

 「無事で良かった。ねえ。バイクで送ってくれる?少し話したい事もあるし」


陽一:

 バイクからヘルメットを手にすると玲佳れいかに渡した。

 バイクのメーターの表示をタッチしてナビゲーションモードにした。目的地入力状態にする。

 「玲佳れいかちゃんの自宅の住所をこいつに言って」


玲佳れいか

 「三重県鈴鹿市桜桃台……」


陽一:

 バイクのディスプレイ「目的地設定しました。距離……推定到着時間…」と表示が出た。

 バイクにまたがる。


玲佳れいか

 バイクの後ろにまたがると陽一の腰にしがみついた。


陽一:

 バイクをゆっくりと走らせた。

 (MUSIC)F/O



<2車線道路>

警察官:

 (左側1車線塞いで検問。陽一に停まるように合図した)

 (MUSIC)OST:YOUTH STORY

 「エンジン止めて。君たち、どこの学校?」

 (注:電動バイクなのでエンジン音不要)


陽一:

 (環境音)ボタンを押す音。エンジン停止のチャイム音。

 バイクのヘッドライトやディスプレイは点いたまま。

 「鈴鹿中央です。すいません。学校で火事があって遅くなって危ないなと思って。この子を家に送りたかったんです」


警察官:

 微笑む(青春だな)。

 「あの学校の生徒さんか。学校で火事だなんて大変だったね。今回は見逃す。ちゃんと彼女を家まで送ってやれよ。あと普段はやっちゃダメだぞ」


陽一、玲佳れいか

 (見逃してくれた)

 『はい。もちろんしません』


 (環境音)ボタンを押す音。

 (MUSIC)F/O


警察官:

 車が来ないのを確認すると行くように手で合図。

 (効果音)陽一のバイクの風切り音


玲佳れいかのマンションの前>

陽一:

 バイクを止める。玲佳れいかが降りる。

 バイク電源ボタンを押してシャットダウン。

 (環境音)ボタン音

 ヘッドライト、ディスプレイも消える。


 (MUSIC)OST:SO LONG,SO LONG

 ヘルメットを脱いだ玲佳れいかがそれを陽一に返した。

 サイドミラーに被せる陽一。


玲佳れいか

 陽一を見つめる。

 「陽一くん、送ってくれてありがとう。私、実はしばらく遠くに行くから会えないのよね」


陽一:

 「転校?」


玲佳れいか

 (自分を納得させるように)

 「うん。そう、転校」

 「きっと、陽一くんは私の事を忘れちゃうと思うのよね」


陽一:

 (怒り、笑い?)

 「そんな訳がない。図書室であれだけ怒られたのに忘れられる訳がない」


玲佳れいか

 (笑う)

 「それ言う?ま、あんたらしくていいや。何年先になるか分からないけどまた逢えるとしたら逢ってくれる?」


陽一:

 (不安感が出てくる)

 「もちろんだよ。でも普段でもメールやメッセなりやりとりできるよね?」


玲佳れいか

 (言いづらそうに)

 「ちょっとそういうのができないんだよね。オフラインになるような外国に母さんがいて、そこに帰らないといけないから」


陽一:

 (考えを深めつつ言葉を慎重に選ぶように)

 「それは香久耶かぐやさんや理里香りりかさんたちと似たようなもの?警察官の人とのやり取り、知り合いのように聞えたけど。しかも君の方が立場は上に聞えた」


玲佳れいか

 「香久耶かぐやさんや理里香りりかさんとの出会いは夢のような出来事だけど現実。でも夢のようなもの。私と君の事も現実だけど、これはこれで違った意味で夢。今はまだそう。警察官の人は他の仕事している人。悪い人じゃない。正義側にいる人だけど詳しい事は言えない」


 陽一に近付くとそっとキスをした。


 「陽一くんの質問には答えたいけど、私が知っている全ての事を説明しようとすると」


 何か言おうとするがえずくようにストップが掛かる。何回も。


陽一:

 「無理しないで、玲佳れいか。いいんだ、いいんだよ。何も言わなくても」


玲佳れいか

 無理して微笑む。

 「……いつになるか分からないけど、ここに戻ってくるから。そして君の世界にずっといるから。また会う日まで元気でいて。戻ったらスマフォに連絡する。その時は、そうねえ『麗しの図書委員より』と書いて送るから。これでいたずらじゃないって分かるでしょ?」


陽一:

 足元に水滴が落ちて染みができる一方で笑っている。

 「また会える日まで玲佳れいかも元気で。さよならは言わない」


玲佳れいか

 「うん。男の子らしくていいね。じゃあ、またね」

 笑ってマンションの自動ドアの奥へと入って行った。

 (MUSIC)F/O


陽一:

 振り返らない玲佳れいかの姿を見送ると天を仰いだ。

 しばらくしてヘルメットをかぶりバイクの電源を入れてヘッドライト、ディスプレイが点灯すると去って行った。


玲佳れいか

 エレベーターの中で涙を流している。エレベーターが止まりそうになった時涙を拭って一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ