表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第2章 千切れる糸
46/79

2021年3月20日土曜日 10時50分

西田摩耶にしだまや


 ふーちゃんにも言ったけど私の実家は阪神電車で御影駅から2駅ほど三ノ宮よりの所にあった。駅を出て北へ20分ほど歩くと実家のあるマンションに着いた。六甲キャンパスにほど近い。実家に帰る時は山登り、出る時は結構早歩きで降りていける。


 見通しの悪い場所にある信号のない横断歩道にさしかかった。「危険」とか看板出ているけど、片側一車線道路で飛ばして通っていく車は多い。冬ちゃんはこういうのはしっかり守っていて安心だけど世の中、冬ちゃんのような運転する人ばかりではないのだ。

左右確認してさっさと渡って少し歩くとマンションに着いた。


 鍵は持っているけど両親が驚くと困るのでチャイムを鳴らした。


「はーい。どなた?」


お母さんだった。


「摩耶です。鍵は持っているからいいよ」


鍵を開けて玄関から入って自分の部屋へ向かうと母が「あらら」と私の様子を見に廊下に出て来てくれていた。


「急に帰ってきてどうかしたの?」

「うん。今日、公会堂でライブ出演するんだけど付けようと思っていたアクセサリーを部屋に置いたままにしてたから」

「お昼、食べていける?」

「ごめん。もう引き返さないと。あっちで弁当出るしリハもあるから」

「慌ただしいわねえ。また皆美みなみちゃんとかバンドの子を連れて来なさい。ご馳走したいし」

「分かった。また連絡するし。ごめんね」


 アクセサリーは姿見の脇に置いているアクセサリー入れに入っていた。それをさっと身につけると母に見送られて家を出た私はライブ会場へと引き返した。

中谷ちゅうやちゃんは幼馴染みでご近所さんだった。母にとって私の交友関係で一番なじみのある子なんだよね。


 駅まで20分、電車10分で着くから40分見ておけば大丈夫なはず。そんな事を思いながら見通しの悪い信号のない交差点に差し掛かった。


 左右見て車が来ない事を確認して渡った。渡り切ったところでふと予備のギターのピックを家に置いていたのを思い出し、念のため持っていこうかなともう一度左右を確認してマンションに引き返そうと渡り始めた。


 すると見通しの悪いカーブから猛スピードの車が走って来た。私は目を見開いた。逃げようにも車が早すぎた。間に合わない事だけは直感で分かった。急ブレーキ音が聞こえた。


「こういう時は何も出来ないんだな。中谷ちゅうやちゃん」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ