表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第2章 千切れる糸
PR
40/79

2020年8月(2)

古城こじょうミフユ


 ブラス・フリート&コメット・ストリングスとの初めての顔合わせの日、練習スタジオには琴乃さんの運転の車で向かった。


「琴乃さん、私、大丈夫ですかねえ?」


心配になって聞いてみた。

彼女は車を運転しながらちょっとこちらを見てから言った。


「音痴の事?そんなの言わなきゃ分かんないよ。それに練習している曲は大丈夫でしょ?」

「それはそうなんですけど」

「あなたの歌声込みでティエンフェイのことを評価してるんだから自信を持ちなさい。向こうだって同じ大学生バンドなんだからさ。カラオケ音源練習だってしてるんだから大丈夫」


 そう、ブラス・フリートの演奏バージョンの音源は琴乃さん経由で提供を受けていて摩耶まーやたちに指導してもらっていた。彼女達からは「冬ちゃん、これならいけるよ」と太鼓判も押してくれていた。


「めっちゃ上手い子たちでプロデビューもしてますよね。特にトランペットの子、なんで音大で吹奏楽か管弦楽のソリスト目指さずに一般大なの?とか言われているとか」


ブラス・フリートは琴乃さんのイベントなどで既に客演したりしていた。


「ふふん。冬ちゃん、音楽疎いという割りによく知ってるわねえ。ホーレイシア、ホーちゃんってみんな呼んでるけど、あの子は音楽より学術研究とか実践にもっと興味があるみたいだから。会えば分かるわ」


 スタジオに入ると視線が私達に集中した。フリート&コメットのみんなはもうセットアップして私達の到着を待ち受けていたのだ。琴乃さんが彼らに声を掛けた。


「おはよう。早いね、みんな」


 トランペットを片手に持った黒に近いブロンドのポニーテール、まだ子供っぽさが少し残る顔立ちの子がいた。微笑んでいるけどこちらをじっと見ている感じ。そこまで睨まれるような事まだ何もしてないよね?ね?


「おはようございます。琴乃さん。……あなたがティエンフェイのチセさん?」

「はい。そうですけど」


 彼女は笑顔をONにするとさっと右手を差し出してきた。


「はーい。私はホーレイシア・コリングウッド。見ての通り、通りすがりのトランペッターだから。日本育ちで英語はDadとしか話せない程度なので。よろしく」


彼女と握手を交しながら、おい、どこが通りすがりやねん、なんて事を思った。中谷ちゅうやちゃんやマミちゃんからうつされた関西弁で思わず頭の中でツッコミをいれてしまった。どうなる事やら。


 改めてスタジオ内にいるバンドメンバーを見渡した。トランペット、トロンボーン、ヴァイオリン、チェロ、コントラバスの奏者が揃っていた。


ホーレイシアはさっとみんなを紹介してくれた。


「トランペットは私、トロンボーンの井上光、ヴァイオリンの米山薫子よねやまかおるこ、チェロの松本祥哉まつもとしょうや、コントラバスの高山輝羅理たかやまきらり、ドラムの平川野梨花ひらかわのりか。金管パートがブラス・フリートのメンバーで、弦楽パートがコメット・ストリングス・カルテット。ドラムの平川さんは普段は他のバンドで演奏してます」


 私はみんなを見回した後一礼した。


「私はティエンフェイのヴォーカルをやっているチセこと古城ミフユです。皆さんとの演奏、楽しみにしてました。よろしくお願いします」


 フリート&コメットのみんなが拍手と挨拶をくれた。


 ブラスフリート&コメットの人達との合奏は楽しかった。事前練習はしていたので琴乃さんの新曲も問題なかった。それよりも『Finest hour in my life』金管・弦楽編曲版もカラオケ音源でどんな感じか分かっているつもりだったけど、トランペット、トロンボーンやヴァイオリンの生の迫力は違っていたのは新鮮な体験だった。

 アンプはティエンフェイのライブでも使っていたし、金管・弦楽編曲版でもそれは同様なんだけどしっかり歌わないと負けそう。必死で食らいついていった。この演奏は摩耶まーやが聞いたら喜ぶだろうな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ