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私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第1章 私達の最良の時
3/79

2020年1月(2) 

古城こじょうミフユ


 私は2019年春に神戸総合大学深江キャンパスにある海事科学部グローバル輸送科学科航海マネジメントコースに進学した。未来の航海士の卵という中々珍しい大学生でもある。


 大学では女子学生寮に入った。狭いながら昔と違い個室。深江丸の船長に言わせれば「わしらの頃は6人部屋とかだったから変わったところやなあ」とは高校生の時の体験航海で話を聞いていたけど確かにプライバシーがあるのは気が楽。船によってはプライバシーのかけらもない世界もある。このあたりは乗船実習で体験して行く事になるんだろう。


 そんな訳で女子学生寮生活は平穏なはずだったんだけど、グローバル輸送科学科の1回生女子20名(ここ数年、女子学生の人気が高くなっていて1/4が女子なのだ)が新年会と称してやったカラオケ懇親会で長編アニメ映画『バードさんの日本旅行記』の主題歌『Around the World』を私が歌った事から妙な事になっていった。


 歌い終わってみんなからおざなりな拍手を貰って席に戻ると中谷なかたにさんがえらく私に興味を持って隣にやって来た。


「ねえ、古城さん。『バードさん』の歌、とても良かったよ。古城さんって歌は得意なん?」

「全然ダメ。妹にも音痴だって断言されるぐらいダメ」

「えー。でも今の歌は良かったのに」

「ありがと。あの曲は好きだし、カラオケとか行く時マシな持ち歌も欲しかったから練習してなんとか恥ずかしくない所まで来たけど、他の曲だとどうも音程取れないんだ。どうも音程って良く分かんなくて。ちゃんとした音感がある妹に言わせれば天才的音痴。天性のものって言われちゃった」

「ふーん。そうなんだ」

「だから他の曲を歌えって言われても無理なのよね」


この時は中谷なかたにさんの魂胆は見抜けなかったな。


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